“たった5分” で理想の自分に近づける。「朝の3行日記」がイメトレと脳活性化に最高だった!

朝に書く3行日記のイメージ

スキージャンプ選手として20年以上のキャリアを持ち、史上最多計8回の冬季オリンピックに出場した葛西紀明選手は、理想の自分を思い浮かべて成功体験をくり返し脳に記憶させる「イメージトレーニング」を取り入れていたといいます。この有効性は、同選手の活躍により証明されているはず。

すると最新の研究では、特定の行動をイメージするだけで、行動した際と同じように脳が活性化するとわかったのだとか。

脳が元気になり、仕事力も高めてくれそうな習慣ならぜひ取り入れたいところですが、トレーニングと聞くとなんだか面倒くさそう……。そこでズボラな筆者が、限りなく簡単にイメージトレーニングできる方法はないかと探したところ、ありました!

今回は、毎朝たった5分間ほど、ワクワクしながらイメージトレーニングできる「朝の3行日記」を、筆者が実践しながら紹介します。

咀嚼はイメージでもいいらしい!?

まずは、イメージトレーニングの効果を科学的に証明した研究の紹介から。

東京都健康長寿医療センターの堀田晴美研究部長ら研究グループは、咀嚼によって「マイネルト神経」という脳の神経細胞が活性化され、「大脳皮質」の血流量が著しく増えることをつきとめました。

「マイネルト神経」とは、認知機能(理解・判断・論理など)に重要な、大脳にある神経細胞のこと。「大脳皮質」とは、大脳の表面に広がる厚さ2mmほどの神経細胞のことで、視覚・運動・言語・記憶・思考などさまざまな脳機能の中枢となる部分です。

じつは以前から、咀嚼が脳の働きに有益であることや、咀嚼で脳の血流量が増加することはわかっていたのですが、その仕組みは不明でした。一方で、歩行によりマイネルト神経が活性化され、脳血流が増えることはわかっていたそう。

そこで、歩行と同じリズム運動の咀嚼も、同様のメカニズムではないかと予想し、研究を行なった結果、予想が的中したわけです

しかし、今回注目しているのは、もうひとつの発見のほうです。

咀嚼するための筋肉が動いていない状態で、咀嚼と関係する脳領域を刺激する実験も行なったところ、実際に咀嚼していないにもかかわらず、大脳皮質の脳血流は同じように増加したそうです。つまり、「咀嚼をイメージ」するだけでも、実際に咀嚼しているときと同様に、脳が活性化されると示唆されたわけです。

(この研究成果は、2019年12月17日に、脳循環代謝の国際ジャーナル 『Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism』に掲載されています)

東京都健康長寿医療センターが、咀嚼によって「マイネルト神経」という脳の神経細胞が活性化され、「大脳皮質」の血流量が著しく増えることをつきとめたイメージ

イメージすることの恐るべき威力

もう少しイメージパワーの事例を紹介しましょう。

能力開発の第一人者として知られるアメリカの教育者、 ロバート・グリスウォルド氏は、著書『一流の人に学ぶ お金の引き寄せ方』(かんき出版)のなかで、こんな実験を紹介しています。

アメリカのマクスウェル・マルツ博士が、イメージトレーニングでバスケットボールのシュートが上達するかどうか、75名の選手を対象に20日間にわたって実験を行なったところ、イメージトレーニングだけのグループは、実際に練習していたグループと、技術力の向上率がほぼ変わらなかったそうです。

また、ベン・ホーガンや、ジャック・ニクラウスといったゴルフ界のレジェンドたちは、脳が筋肉に指令を送る様子を想像して、スイングのイメージトレーニングを行なっていたそうです。すると実際にスイングをしたとき、筋肉のほうがスイングの仕方を思い出したのだとか。

たとえば「ダンスをするとき、足をしっかり上げず注意されてばかりいた生徒が、足をしっかり上げて踊る自分を何度も思い浮かべていたら、実際に踊ったとき自然と足が上がっていた」といったことに似ているかもしれません。

これらのエピソードから推測されるのは、イメージトレーニングだけで「手続き記憶」ができあがった、ということです。

「手続き記憶」とは、同じような経験の繰り返し(いわゆる練習)で獲得できる記憶のこと。自転車の乗り方を覚える、楽器の演奏を覚える、泳ぎを覚える、など “体で覚える” 記憶のことです。

つまり、イメージトレーニングには、記憶をつくってしまうほどの力がある、ともいえます。

イメージトレーニングが、あらゆる脳の領域に影響しているイメージ

なりたい自分になる方法

イメージトレーニングの驚くべき力がわかりました。ただし、メンタルトレーナーの田中ウルヴェ京氏いわく、「イメージトレーニングは、ただぼんやりと空想することではない」とのこと。

イメージトレーニングは、「なりたい自分」をはっきりさせ、そのために必要な「今取り組むべきこと」を明確にして、的確に行動するための手段だと同氏は述べます。「自分の夢」のロジックを明確にするわけですね。映画俳優で元アメリカ・カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー氏も、以前テレビでこう発言していました。

「どんな人間になりたいか考えろ。それが見つかれば、何をすればいいかわかる」

なりたい自分に近づくためには、より具体的な “こうなりたい” が必要なのです。

とはいえ……、いきなり具体的にイメージトレーニングするのは難しいかもしれません。そこでイメージトレーニング初心者におすすめしたいのが、株式会社朝6時 代表取締役の池田千恵氏が提案する「朝の3行日記」です。

たとえば、「今日は効率よく仕事を終えられたので定時で帰り、ジムでひと汗かいた。気持ちよかったー」などと、“今日これから起こるといいな” と思う事柄を、朝の時点で日記として書くそうです。

今日のことなので、より具体的で実現可能な内容になりやすく、実現までに時間がないので、必然的に「どうしたら実現できるか」と懸命に考えることになるはず。

ミリオンセラー作家で、行動習慣の専門家でもある佐藤伝氏も、「前日を客観的にまとめ、その日の計画性を生む「朝日記」は、成功への可能性を高める魔法のアイテムだと説いています。

では、筆者もさっそく挑戦してみましょう。

朝、リラックスしながら3行日記を書く女性

「朝の3行日記」をやってみた

池田氏は「朝の3行日記」について、まだ終わっていないその日1日を “良い予感で予測する日記” だと説明しています。こうなったらいいな、と思うことを3行書くだけなので、5分もかからず書けるとのこと。

「気楽に始められるもの」と説明されているので、筆者も気負うことなく書いてみました。

株式会社朝6時 代表取締役の池田千恵氏が提案する「朝の3行日記」を手始めに少し書いてみた。

――はたして、こんなどうでもいいことを書いて「なりたい自分」になれるものかどうか不安でしたが、1日の終わりに確認してみたところ、3つのうち2つは達成できていました。

さらに数日間続けてみます。

株式会社朝6時 代表取締役の池田千恵氏が提案する「朝の3行日記」をちょっと書いてみた。

少々、やることリストを書いているような気分です。

とはいえ「〇〇する」ではなく、「〇〇だった、良かった~」という口調なので、やることリストのようなプレッシャーはいっさいありません。それどころか、達成感を覚えている自分を想像し、ワクワクしてしまいます。

こうして続けてみたところ、次のことに気がつきました。

「朝の3行日記」を書いてみた結果

株式会社朝6時 代表取締役の池田千恵氏が提案する「朝の3行日記」を一通り書いてみた。

「朝の3行日記」は今日やることリストのような要素もありますが、先述のとおりプレッシャーがなくむしろワクワクするので、「今日すごくやりたいことリスト」と呼ぶほうがしっくりくるかもしれません。

また、たびたび仕事が停滞していた日の翌日は、徹底的に効率よく仕事を終えようと1日を予測しているので、昨日の反省がしっかりと反映されていると感じました。これは、佐藤伝氏が朝日記のメリットとして述べた「前日を客観的にまとめる」ことにも通じるのではないでしょうか。

さらに「朝の3行日記」は、どうも行動せずにはいられない感覚をもたらすようで、達成率が確実に上がるような気がします。認知的不協和が起きているせいかもしれません。

認知的不協和とは、矛盾を抱えた状態や、矛盾で生じる不快感を表す社会心理学用語です。一般的に、人はその不快感を解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられています。

たとえば「朝の3行日記」の場合、“こうなったらいいな” が過去形で書かれているので、もしも――

  • 今日、Aを実行したと記録されている
  • 今日、Aを実行できなかった

――となると矛盾が生じ、不快感が生まれてしまうので、

  • 今日、Aを実行したと記録されている
  • 今日、Aを実行した

となるようAを実行して矛盾を解消し、不快感をなくすわけです。

そうしたことから、朝活でなりたい自分を思い浮かべて「朝の3行日記」を書いてみた結果、「昨日の反省が反映された、楽しい今日の予測を、どうしても実行しようとする」現象が生まれました。

ぜひお試しあれ。

***
科学的に明らかになったイメージトレーニングの効力と、ワクワクしながらイメージトレーニングできる「朝の3行日記」を実践しながら紹介しました。気楽にササっとできてプレッシャーがないのでおすすめです。 

(参考)
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所|<プレスリリース>「咀嚼にともなう脳血流増加の神経メカニズムを解明」  
生命機能研究科セミナー|おもろい研究!君ならできる、ここでできる |大脳皮質の普遍的な単位回路の発見 
ロバート・グリスウォルド著,弓場隆訳(2017),『一流の人に学ぶ お金の引き寄せ方』, かんき出版.
本郷陽二著(2008),『頭がいい人の一日15分勉強法』, 経済界.
NIKKEI STYLE|朝3行日記で育む なりたい自分イメージトレーニング  
日立ソリューションズ|第5回 なりたい自分になるためのイメージトレーニング術|田中ウルヴェ京のメンタルトレーニング実践講座  
東洋経済オンライン|40代で「最強のメンタル」に変わるイメトレ法  
e-ヘルスネット(厚生労働省)|認知機能  
脳科学辞典|マイネルト基底核
脳科学辞典|手続き記憶 
Wikipedia|認知的不協和

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