「月曜午前のタスク」を書き出すだけでサザエさん症候群から抜け出せるワケ。

ブルーマンデー対策01

1週間の仕事を頑張り、楽しく過ごした週末。今週も日曜日の夜、『サザエさん』のエンディングテーマがテレビから流れてきます。「サザエさんは愉快だな~♪」と朗らかに歌うサザエさんは、じつに愉快そうですね。

しかし日曜の夜には、前の週にやり残していた仕事を思い出したり、売り上げやノルマに頭を悩ませながら営業先に頭を下げる日々がまた始まることを思ったりして、愉快よりむしろ憂うつになってしまう方が多いのではないでしょうか。今回は、日曜日の夜の憂うつから抜け出し気持ちよく月曜日を迎えるために、『サザエさん』を観るよりも短い時間でできる極めて簡単な方法をご紹介します。 

ブルーマンデー対策、あなたはできてる?

月曜日の朝に大切なプレゼンが控えている。週明け早々に提出資料の締め切りが迫っている……。週明けから仕事上の重大な予定があるとき、せっかくの日曜日も仕事のことが頭から離れず、プレッシャーや忙しさの予感でもんもんとしませんか?

日曜日の夜に、翌日の仕事のことで頭がいっぱいになったり、職場の人間関係に悩んだりして憂うつな気分になることを、「サザエさん症候群」「ブルーマンデー症候群」と呼びます。

不動産情報サイトを手掛ける株式会社オウチーノが20代~50代のビジネスパーソン451人に向けて実施したアンケートによると、42.8%もの人が「ブルーマンデー」の経験があるそうです。世代別にみると、20代が48.7%、30代が51.4%と、約半数の若手ビジネスパーソンが日曜の憂うつを経験していることがわかります。

アンケートでも判明したように、「サザエさん症候群」「ブルーマンデー」はビジネスパーソンの多くを悩ませている問題であることから、StudyHackerでもこれまでに『憂うつな日曜日の夜。サザエさんを観る代わりにするべき3つのこと。』『月曜日からロケットスタートを切れる人は、必ず “この4つ” をやっている。』などの記事で、「サザエさん症候群」「ブルーマンデー」の対策法を紹介してきました。「軽い運動をして疲労を取る(アクティブレスト)」、「平日と休日で起床時間を変えない」といった方法が、「サザエさん症候群」「ブルーマンデー」対策の一例です。

しかし、先ほどのオウチーノの調査によれば、「よくブルーマンデーになる」と答えた人の中で実際にブルーマンデー対策を取っている人はたったの29.5%しかいません。7割超もの人は、悩んでいるのに対策を取っていないのです。意外ではありませんか? 

もしかすると、多くの人はブルーマンデー対策が「面倒くさい」とか「続けるのが難しい」と考えているのではないか。筆者はそう考えました。

実際、先ほどの29.5%の人が取っている対策の内容として多かったのは、「できるだけ早く寝る」「スポーツをする」といったもの。運動によるリフレッシュ効果は確かにあるでしょうが、もともと運動が好きな人はまだしも、運動が好きでない人には続けるハードルが高いですよね。また、早く寝るのは簡単なことではありますが、翌日の仕事のために本来使える休日の時間を毎週削ってしまうなんて、なんともやりきれないものです。

そこで今回は、「ものすごく簡単に、ごく短時間でできる」ブルーマンデーの対策法を紹介します。続けるのも簡単で、時間も取らない。どれも『サザエさん』を観るよりも短い時間ででき、『サザエさん』を観ながらできるものもあります。ブルーマンデー対策を始めたいけれどもなかなか腰が上がらなかった人や、対策したことはあるけれど続かなかった人も、ぜひ本記事で紹介する方法を取り入れてみてください。

ブルーマンデー対策02

超簡単なブルーマンデー対策法1.月曜日午前のタスク「だけ」書き出す

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司氏によれば、脳内物質の分泌の急な落差が憂鬱をつくるそうです。休日に楽しいことが多いと、脳内でエンドルフィン、ドーパミン、オキシトシンといった脳内物質が分泌されて、幸福を感じやすい状態になりますが、仕事に気持ちが向いた途端にドーパミンなどの脳内物質が分泌されなくなると、憂鬱な気分になりやすくなります。

脳内物質分泌量の落差を減らして脳を整える方法として前野氏がすすめるのが、「仕事の予定を書き出す」ことです。大切なのは、書き出すのは基本的に「月曜日の午前のタスクだけ」にすること。

人間は、自分が対処できる範囲の仕事だけしているときは幸せを感じるのだそう。できる範囲の仕事をイメージしてあらかじめ書き出しておくという行動は、幸福をもたらしていた脳内物質が急に分泌されない状態になるのを防ぐのに効果的なのです。

「月曜日1日のタスク」とか「翌週1週間分のタスク」を書き出せと言われたら面倒な気がしますが、「月曜の午前中のぶんだけ」なら、短時間で簡単にできそうな気がしませんか? ほんの10分程度あればいいのですから、食事後や入浴後、就寝前など簡単に時間を確保できますよね。

「プレゼン書類の作成」「顧客訪問」「打ち合わせ」というふうに、スケジュール帳でもメモ用紙でも裏紙でもいいので、月曜午前にする仕事を書き出してみましょう。「まず取り組むべきことが何か」ということだけに意識を集中すると、脳が整って気分が晴れてきますよ。同時に、慌てて月曜日の朝に確認する必要がなくなるので、余裕をもって1週間の仕事を始めることができるでしょう。

ブルーマンデー対策03

超簡単なブルーマンデー対策法2.手浴

手浴とは、38℃前後のお湯で手を温めることです。北海道大学保健科学研究院准教授の矢野理香氏らが、脳血管障害患者を対象に定期的な手浴を行なった結果、手浴には「リラックス効果」「ネガティブな気分の改善」「やる気の向上」といった効果があることがわかりました。手の血管には交感神経が集中しており、温めることで作用する神経が多いため、リラックスなどの効果が得られるそうです。

手浴は、手軽にできるブルーマンデー対策としてもおすすめです。上記の研究によると、手浴によるリラックス効果は、ほぼ温泉と同レベルとのこと。入浴をシャワーで済ませがちな方や、浴槽にお湯を張るのが面倒だと感じる方は、 洗面器にお湯を張ってほんの10分手をつけてみましょう。手を温めるだけで気持ちが晴れやかになり、リラックスして眠りにつくことができます。

じつは、嬉しいことに、手浴の効果は必ずしもお湯に手を浸さなくても得ることができます。寒いときにコンビニや自動販売機で買った温かい飲み物を握りしめると、手が温まるだけでなく同時にホッとして心も癒やされるのは、気のせいではなく、手浴と同じ仕組みによるもの。温かい飲み物やぬるま湯を注いだコップなどを握って手を温めるほか、濡れタオルを電子レンジで30秒ほど加熱したもので手を包めば、手浴の代わりになります。洗面器にお湯を張るよりもさらにラクですね。

また、手を温めるだけならオフィスでも簡単に行なえるはず。月曜の朝、出社はしたけれどやる気が出ない始業前や、仕事が始まったもののなかなか気分が上向かないときなどに、ぜひ手を温めるという方法を取り入れてみてください。

ブルーマンデー対策04

超簡単なブルーマンデー対策法3.腹式呼吸エクササイズ

医療法人東海理事長の医学博士・丸山浩然氏によると、腹式呼吸にはセロトニンという脳内物質を分泌させる効果があるそうです。セロトニンが分泌されると、精神が安定し、やる気や興味が湧きます。

また、セロトニンはうつ病とも関係が深いと言われています。丸山氏によれば、うつ病で自殺した人の脳を調べた結果、セロトニンが減っていたというデータがあるそうです。

そこで、日曜日の夜、ついダラダラと過ごしてしまう時間のほんの10分程度を使って、腹式呼吸をしてみましょう。憂鬱な気分を抑えるのに役立ちますよ。以下に丸山氏の腹式呼吸エクササイズのひとつを紹介します。テレビを見ながらでも、音楽を聴きながらでもやれる簡単なエクササイズです。

①へそに手を当てます。

②へそに手を当てながら、「あー」と声を出すイメージで、口を開けて大きく息を吸います。そのとき、お腹が手を押し返すように出ることを確認しましょう。

③お腹が押し返している手の位置そのままで、いったん息を止めます(口は開きっぱなしでかまいません)。

④ゆっくり10を数えたら、一気に息を吐きます(手で押さえているお腹はへこみます)。

(引用元:幻冬舎ゴールドオンライン|「腹式呼吸」が身体におよぼすメリットとは?

また、自然科学研究機構生理学研究所の柿木隆介教授によれば、5分程度の腹式呼吸でセロトニンの分泌が促されるそうです。10分は難しくても、5分ならもっと簡単に取り組めますし、オフィスでも休憩中やスキマ時間に簡単にできそうですよね。月曜の朝、席に着いたら5分だけでも、ぜひ腹式呼吸を取り入れてみてください。

***
多くの人が悩まされる「サザエさん症候群」ですが、簡単な方法で対策するだけでも意外と大きな効果があります。ぜひ紹介した方法を取り入れて、気持ちよく月曜日のスタートを切ってくださいね。

(参考)
オウチーノ|ブルーマンデー実態調査
新R25|休日は脳内をこう整えよ。幸福学者が教える「憂鬱な月曜を晴れやかに迎える方法」
Business Journal|「手浴」の驚愕の効能…温泉と同レベルのリラックス効果
矢野理香,石本政恵,品地智子,飯野智恵子(2009),「脳血管障害患者における手浴
―7事例の検討を通して―」,日本看護技術学会誌,Vol.8,No.3,pp.101–108.

幻冬舎ゴールドオンライン|「腹式呼吸」が身体におよぼすメリットとは?
柿木隆介(2015),『どうでもいいことで悩まない技術』,文響社.

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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