「疑う習慣がない人」がずっと二流止まりなワケ。

クリティカル・シンキングの大切さ01

いつも “最適解” にたどり着けないまま、妥協して判断を下し、「うまくいかない」と嘆いてばかりいる人はいませんか。なかなか成功にたどりつけないのは、「クリティカル・シンキング」ができていないからかもしれません。

クリティカル・シンキングが欠けていると、「正しい思考」ができなくなってしまいます。今回は、プロが教える、クリティカル・シンキングのスキルを磨く習慣を紹介します。

“正しく考えられない” ことの根本原因

マッキンゼー・アンド・カンパニーの元パートナーであるヘレン・リー・ブイグ氏によると、組織において生じる問題には「共通する根本原因」があるとのこと。根本的な原因とは、クリティカル・シンキング(批判的思考)の欠如です。

差し迫った問題に対し、「すぐに決めなければ!」などと結論を急いではいませんか。たしかに、じっくり考える時間を取れないまま、直感や信念で決断しなければならない場面もあるでしょう。

しかし、いつも「直感」や「信念」ばかりを判断の基準にするのはNG。特にビジネスにおいては、物事を論理的に考え抜き、あらゆる角度から評価しなくてはなりません。論理的な思考・多角的な視点を獲得するには、クリティカル・シンキングが役に立ちます。

テクノロジーの著しい進化にともない、ビジネス環境は激変しています。IT革命以前の定説や成功体験は通用しなくなり、新たな価値の創造や戦略が常に求められるようになったのです。 クリティカル・シンキングは、大きな変化を続けるビジネス環境において、物事の本質を見抜く助けになります。

  • なぜそうなったのか?
  • どうしてこうなのか?
  • それはどういう意味を持つのか?
  • このことを考える必要性はあるのか?
  • これは今やるべきことか?
  • 自分が今やるべきことは何か?

上記のような問いを常に持ちつづけ、常識にとらわれずに思考を続ける力が、今後のビジネスパーソンには必要不可欠なのです。

そしてブイグ氏によれば、次に示す3つの重要な「精神的習慣」によって、クリティカル・シンキングを鍛えることができるのだそう。順番に見ていきましょう。

クリティカル・シンキングの大切さ03

1. 前提を疑う

何らかの商品企画を依頼され、先方から「Aタイプは売れなかったので、ほかのタイプでお願いします」といわれたとき。相手の言葉をうのみにして仕事を進めたら、多くの可能性を失ってしまうかもしれません。あるいは、根本的な問題に気づかないまま、何をしても成果を出せず、あなたの評価を下げてしまうかもしれません。

  • Aタイプはなぜ売れなかったのか?
  • 商品自体ではなく価格設定が原因ではないか?
  • 商品自体ではなく販売方法が原因ではないか?

と、まずは前提を疑ってみましょう。また、

  • もしこの商品自体のニーズが減っていたら?
  • もし卸先の客足が減っているのだとしたら?

などと別の可能性を考えてみるのもひとつの方法です。

クリティカル・シンキングの大切さ04

2.論理的に推論する

「特定の主張がもたらす連鎖」にも注意が必要だと、ブイグ氏はいいます。

ブイグ氏が関わった大手ランジェリー会社は、「どの国の顧客も好みは同じようなものだ」と考えていました。しかし実際には、イギリス、イタリア、アメリカの女性が好むランジェリーは、それぞれ大きく違っていたそうです。つまり、「どの国の顧客も好みは同じ」といった主張・思い込みをもとに商品を作っても、売り上げは伸びないということ。

また、人はよく “前後即因果の誤謬(ごびゅう)” に陥ります。「Aが発生し、その後Bが発生した。したがって、Aが原因となってBが起きた」と考えてしまうのです。 たとえば「今月の成果が上々なのは、先月に打ち出した施策が成功したからだ」と考えていたら、実は「半年前から仕込んでいた長期的な施策が、ようやく功を奏しはじめていた」のが真実だった、ということです。

  • この主張を裏づける根拠はあるか?
  • この結論は本当に正しいか?

と、常に論理的な推論を行ないましょう。

クリティカル・シンキングの大切さ05

3.思考の多様性を追求する

周囲がみな同じ考え方だと、思考が凝り固まり、新しい情報に基づいて信念を変えることが少なくなると、ブイグ氏はいいます。同じ意見の人の話を聞けば聞くほど、意見は極端に偏っていくのだとか。そのため、自分の居心地がいい “狭い枠” から踏み出すことは、とても大切なのだそう。

たとえば、違う部署の友人、あるいは違う職業の友人をつくったり、同期だけではなく先輩や後輩とも交流したりすることで、より豊かな洞察力が手に入るとのこと。また、チームメンバーに意見を求めるときも、あえて自分の好みは明らかにせず、メンバーから個別で意見をメールしてもらうのもいいそうです。メンバーが集団思考に陥ることを防げるでしょう。

大切なのは、思考の多様性を追求すること。そして、いつでも異なる視点に立つよう努めることです。

***
クリティカル・シンキングの要素や重要性、磨き上げるための精神的習慣3つを紹介しました。

  1. 前提を疑う
  2. 論理的に推論する
  3. 思考の多様性を追求する

ぜひこのスキルを磨き、正しく考えて最適解を導き出してくださいね!

(参考)
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|クリティカル・シンキングを磨く3つの基本的習慣 前提を疑い、論理的に推論し、思考の多様性を追求する
グロービス経営大学院|クリティカル・シンキング(批判的思考)とは・意味
カオナビ人事用語集|クリティカルシンキングとは? 重要性、メリット、考え方、方法について【ロジカルシンキングとの違い】
Wikipedia|前後即因果の誤謬

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