「頭が働かない」と感じたら、たった10秒 “これ” をして! 脳の疲れがたちまちとれます

目が疲れてきた様子の、ノートパソコンで作業するチェックのシャツを着た女性

「目」と「脳」にはきわめて密接な関係があるのだとか。だから目が疲れると、思考力も低下してしまうそうです。

日々パソコンやスマートフォンで目を酷使しながら、「どうも頭が働かないなぁ」と悩むビジネスパーソンに、脳の疲れを和らげる疲れ目解消のワザを紹介しましょう。

目は脳の一部だった!?

ボシュロム・ジャパンの「目の構造とはたらき」によれば、人間の網膜(眼底一面に広がっている薄い膜状の組織)には約1億3,000万個の受容体(受け皿)があり、網膜でキャッチされた情報は約100万個の神経線維をもつ視神経を通り、脳に送られるのだとか。

その網膜は、間脳が側方に突出してできた眼胞(※)を起源としているため、発生学的に「目は脳の一部」と言えるそうです(※眼の発生の最初に形成される部分)

ちなみにWikipediaには、「視神経の神経線維の数(約100万個)が、網膜にある受容体(約1億3,000万個)に比べ少ないのは、網膜内ですでに十分な前処理が行われていることを示している」とあります。だからこそ、目が脳に与える影響はとても大きいのです。

目と脳の人体解剖学的イラスト

見たものを補正する脳

目がどれほど脳と関係が深いか示す証拠はまだあります。

第一薬品工業株式会社の健康情報によれば、カメラに例えると私たちの目の「角膜と水晶体」はレンズの部分、そのレンズのピントを合わせているのが「毛様体筋」、そしてフィルムに当たるのが「網膜」なのだそうです。

「私たちが見たもの」を網膜が電気信号に変換して脳に伝えると、脳はそれらを取捨選択したり、平面を立体としてとらえたり、盲点(誰にでも起こる視野の欠損)を補正したりしているのだとか。脳は目から情報を受け止めて認識するだけではなく、さまざまな処理を行なっているのです。

次項では、脳が盲点を補正する働きを一緒に体感してみましょう。

左目を覆い、右目の検査をしようとしている女性

脳の「補正=創造」を体感しよう!

下の画像を使って行ないます。下方にある手順に沿ってチャレンジしてみてください。

脳の補正機能実験用の画像

(※第一薬品工業株式会社|健康情報|目と脳の不思議| 人は目だけでなく脳で物を見る!を参考に、パワーポイントの背景を利用し筆者が作成)

  1. 左目を左手で覆ってください
  2. 右目だけで青い星印()を注視してみてください
  3. 視線を青い星印()に固定し、モニターに近づいたり離れたりしてください
  4. 盲点に入ると、“盲点”と書かれた白丸印(〇)が視界のなかで消えるはずです
  5. すると、消えた白丸印(〇)があった場所に “黒いパズルピースの背景” があることを視界内で確認できるはずです

実際の画像では、「盲点」と書かれた〇印の下は見えていません。しかし、なぜか〇印が消えるとその下に絵柄が現れます(※右目だけで印を注視している状態のときに限る)。これは、脳が周辺状況から「こんな感じだろう」と映像を創り出しているから起こる現象なのだそうです。

メガネのレンズでクリアになった風景

疲れ目に効く超簡単なストレッチ

これまでの内容や前項のチャレンジで、目と脳の密接なつながりを実感できたのではないでしょうか。加えて吉祥寺森岡眼科院長・森岡清史氏の説明を聞くと、ますます目の疲れをためないよう心がけることが大切だとわかります。

たとえばパソコンやスマートフォンなどの使いすぎで目の筋肉がこわばると、血流が悪くなり、眼精疲労を起こすそうです。すると活動時に優位になる自律神経の「交感神経」が過剰に働いて、顔から首の筋肉が緊張し、脳への血流を制限してしまうのだとか。

脳への血流が悪くなれば思考力が低下するのは当然のこと。しっかりと頭を働かせるためにも、森岡氏おすすめの「疲れ目に効く超簡単なストレッチ」を習慣づけましょう。

■ つり革ストレッチで目を「動かす」

目を頻繁に動かすと、目の筋肉にたまった疲労物質(乳酸と活性酸素)を流すことができるそうです。パソコン作業に集中して疲れたら、パソコンから目を離して3メートルくらい先を、10秒ほど見るだけでも効果があるのだとか。ちなみに森岡氏のおすすめは、電車に乗っているときに次の2ステップを繰り返すことです。

  1. つかまっている “つり革” の根元を見る
  2. つり革の輪を通して3メートル以上先の遠くを見る

ものすごく簡単なわりにはしっかりと効果を感じますよ。ぜひお試しください。

■ タオルを置いて目を「温める」

目のまわりを温めると、毛様体筋がゆるみ血流がよくなるのだそう。ただし、急速に温めると反動で急速に温度が低下し、目の筋肉が再びこわばることがあるそうです。

東京都市大学教授の早坂信哉氏によれば、人間の体は体温を一定に保とうとするので、急激に熱くすると一瞬だけ体温は上がるけれど、その後は急速に体温を下げようとするのだとか。

だからこそ森岡氏は、蒸しタオルなど特別なものはいらないので、乾いたタオルを目の上に置くだけでもいいとアドバイスしています。たった30秒からでいいそうですよ。

こちらも驚くほど簡単ですが、実際にやってみると想像以上に効果を感じます。視界をふさぎ、一時的に情報をシャットアウトできることも脳の疲れには最適でしょう。よろしければ、今日からでも始めてみてくださいね。

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専門家が教えてくれた、「脳の疲れ」を和らげる疲れ目解消のワザを紹介しました。夕方になると目がかすむのは目と脳が疲れている証拠。数分間でも、数十秒間でも、動かしたり、温めたりしてあげましょう。

(参考)
FNNプライムオンライン|眼の疲れは思考の低下にも繋がる…疲労回復の方法は? 特集「不健康診断ーーその我慢が落とし穴」第2回
MBSコラム|「熱いお風呂は体が温まる」は間違い!湯冷めしにくい温度はズバリ...! - 5分で読める!教えてもらう前と後
第一薬品工業株式会社|健康情報|人は目だけでなく脳で物を見る!
三和化学研究所|目と健康シリーズ|12.網膜裂孔・網膜剥離
ボシュロム・ジャパン|目のすぐれている点
Wikipedia|視神経
Wikipedia|眼胞

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