みなさんには、仕事に関連する本を普段から読む習慣がありますか? 読む習慣がある人は、どんなふうに本を読んでいるでしょうか?
読書習慣の有無や本を読む目的、さらには生活スタイルなどによって、最適な読書方法は変わってきます。試しに、以下のチャートをやってみてください。
たどり着いた先が、あなたにおすすめの読書方法かも!? 詳しく見ていきましょう。
【1】あの有名メンタリストが実践する「スキミング」
「普段から本を読んでいて」「広い知識を身につけたい」という人には、メンタリストDaiGo氏が実践する「スキミング」をご紹介しましょう。
DaiGo氏は、なんと毎日10~20冊の本を読んでいるのだそう。もちろん、それらすべての本のすみずみまで精読するのは不可能です。そこでDaiGo氏は「スキミング(=拾い読み)」という方法を使い、本当に読む価値があると判断した箇所だけを読んでいるのだそう。具体的なやり方は次のとおりです。
まず、本を読む前に「手に入れたい知識」や「本を読むことで達成したい目標」を決めます。勉強法に関する本を読むというシーンを例に挙げると、「参考書の選び方のコツを知りたい」「記憶力を上げる方法を知りたい」といった具合ですね。本の中で “自分が読むべき箇所” を絞るのが狙いです。
次に、表紙や帯、目次など、本の中身が要約されている箇所を読み、概要をつかみます。そして、本文全体に目を通しつつ、自分が知りたい内容にぶつかったら熟読し、それ以外は読み飛ばしていくのです。
大切なのは、その本が熟読の対象なのか、速読(手早く読むという意味)の対象なのかを明確に分けることです。1冊の中の重要な箇所とそうでない箇所を判別するために速く読み、重要なところは何度も熟読しましょう。
(引用元:東洋経済オンライン|「速読しないで多読する人」の超合理的なやり方)
その本を読む目的をあらかじめ絞り、読み飛ばしてもいい箇所は読み飛ばすようにする――この方法を使えば、さまざまなジャンルの本に目を通して広い知識を身につけることが可能になりますね。
【2】1冊から多くを学び取る「アウトプット読書術」
「普段から本を読んでいて」「深い知識を身につけたい」という人には、「アウトプット読書術」をおすすめします。
勉強のとき、教科書や参考書をただ黙読するよりも、ノートに書き出したほうが覚えやすかったという経験はありませんか。これは、書くといったアクションを通して「筋肉」が使われることに理由が。精神科医の樺沢紫苑氏は次のように述べています。
筋肉や腱を動かすと、その運動は小脳を経て、海馬を経由し、大脳連合野に蓄積されます。
小脳を経由するので、経路が複雑となり、多くの神経細胞が働くことで記憶に残りやすい。
(引用元:樺沢紫苑公式ブログ|なぜアウトプットは、記憶に残るのか? ※太字は筆者が施した)
また、興味深い研究結果もあります。プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者らが2014年に発表した論文によれば、パソコンでメモをとった場合と手書きでメモをとった場合とで記憶の具合を比較したところ、「手書き」のほうがよい成績を収めたのだそう。
手書きの場合、書く内容を吟味したり要約したりといったことが求められるため、脳が活性化されると考察されています。「アウトプット」という点では同じですが、パソコンか手書きかでこんなに違いが出てくるのですね。
1冊の本を精読して確実に深い知識を手に入れたいという場合は、普段の読書に「ノート」や「メモ帳」の存在を加えてください。それらをかたわらに置き、重要だと思った箇所を書き出したり、内容を自分なりにまとめたりしてみてはいかがでしょうか。
【3】本を読みっぱなしにしない「KWL表」
「普段あまり本を読まなくて」「時間はそれなりに確保できて」「長文に抵抗を感じない」という人は、「KWL表」を書いて読書の魅力を体感しましょう。
KWL表とは、アメリカの教育学者ドナ・オーグル氏が、教科書やテキストを効果的に読ませるための教育の手法として考案したものです。具体的には、ノートの紙面を「K列(What I know=知っていること)」「W列(What I want to learn=知りたいこと)」「L列(What I learned=知ったこと)」に3分割します。そして、本を読む前にK列とW列に書き込んでおき、本を読んだあとにL列に書き込むのです。
本を読む前にK列を埋めるのは「本が扱う内容について事前に持ち合わせている知識を明確にするため」、W列を埋めるのは「読書の目的意識を高めるため」です。そのうえで本を読んでL列に書き込めば、新しい知識をどれだけ得られたかを視覚化することができます。
読書経験があまりない人は特に、「本は学びに最適なツール」であることを強く実感できるのではないでしょうか。
【4】読書への抵抗感が薄れる「目次読書法」
「普段あまり本を読まなくて」「時間はそれなりに確保できるが」「長文に少し抵抗を感じる」という人は、「目次読書法」をやってみてください。
これは、著述家の松岡正剛氏が編み出した方法です。その名のとおり、本文を読み始める前に、目次に目を通します。松岡氏の考えを学んだ “読書術ナビゲーター” の小川玲子氏は、「目次を制すれば本は読めたも同然」と語ります。
目次というのは、いわば本の構成地図であり、また著者や編集者の『こう読んでほしい』という意図を知るヒントが詰まっています。特にビジネス書の目次には大抵、大小の小見出しがついているので、目を通せば概略がつかめる。
(引用元:日刊ゲンダイDIGITAL|仕事に勉強に…中身がスイスイ頭に入る「目次読書法」のコツ)
加えて松岡氏は、著書『知の編集術』のなかで、この目次読書法のおもしろさを説いています。それによれば、あらかじめ目次を確認して本に書いてある内容を想像してからページをめくると、自分の予想とは食い違う記述があり、「その違いを見比べることが、読書をおもしろくさせて加速させる」とのこと。
というわけで、まずは目次を読んで内容を想像し、それをどこかにメモしておくのはいかがでしょうか。そして、それと照らし合わせながら本を読むのです。そうすれば、クイズ感覚で楽しみながら読書をする効果が生まれるかもしれません。読書時間は確保できるものの文章に抵抗を感じるという人は、ぜひお試しあれ!
【5】朝に取り組むのがおすすめ「10分間読書」
「普段あまり本を読まなくて」「時間をあまり確保できない」という人には、気軽な「10分間読書」を紹介しましょう。おすすめは、朝に取り組むこと!
作家・評論家で『仕事に効く! 朝10分の読書術』などの著書を持つ中島孝志氏は、毎朝10分間読書をすれば、頭のなかが整理されてスキルアップにつながると語ります。
中島氏によれば、「朝は脳がフラットな状態であるためインプットの質が上がる」のだそう。これに関しては、脳科学者の茂木健一郎氏も同様のことを述べています。茂木氏いわく、朝に目覚めた直後は脳がリセットされているため、新しい記憶を収納するのに適した状態になっているとのこと。加えて中島氏は、「朝に読書をすることで頭がさえ、仕事を始める時間には “戦闘モード” になれる」という効果も紹介しています。
読書のためのまとまった時間を普段なかなかつくれないとしても、朝の10分程度だったら確保できるのではないでしょうか。難しいテクニックは必要ありません。気軽に始められる「10分間読書」をきっかけに、読書習慣を身につけましょう。
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以上、おすすめ読書術を5つ紹介しました。ぜひ、ご自身に合ったものに取り組んでみてください。
(参考)
東洋経済オンライン|「速読しないで多読する人」の超合理的なやり方
樺沢紫苑公式ブログ|なぜアウトプットは、記憶に残るのか?
Mueller, P. A., & Oppenheimer, D. M. (2014), The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking, Psychological Science, pp1-10.
日刊ゲンダイDIGITAL|仕事に勉強に…中身がスイスイ頭に入る「目次読書法」のコツ
松岡正剛(2000),『知の編集術』, 講談社.
STUDY HACKER|“読んで終わり” にならない最高の紙習慣! 「KWL表」で読書の学びが圧倒的に深まるワケ。
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【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。