「仕事が超絶速い人」の3つの思考習慣。“なぜか仕事が遅い” あなたの思考とどこが違う?

仕事が超絶速い人の3つの思考習慣01

仕事が業務時間中に終わらず、残業ばかりしてしまう……。
いつも頑張っているつもりなのに、なぜかいっこうに仕事が速くならない……。

こういった「仕事の遅さ」にまつわる悩みは、仕事をするときの「思考」を変えてみるだけで解決できるかもしれません。そこで今回は、仕事の速い人がどんな思考をしているのか、徹底的に解剖していきます

1. コンドル思考

出社したら、取引先から商談の件でメールが来ていた。どう返事をすべきか相談するために上司を探すが、なかなかつかまらず、返信に30分はかかった。相談ついでに、上司から「新人のつくった資料チェックしてあげて」と言われ、すぐに対応。ひと息ついたと思ったら、今日の社内会議資料の大きなミスを他部署から指摘され、慌てて修正……。

このように、そのつど発生した仕事だけで精いっぱいになると、仕事はとても遅くなるもの。なぜなら、目の前のこと “しか” 見えていないから。コミュニケーションデザイナーの吉田幸弘氏によれば、じつは仕事の速い人は、仕事全体を俯瞰してゴール地点を最初に確認する思考をしているのだそう。

吉田氏は、上空から地上を見渡すコンドルのように、仕事の目的や全体のスケジュールを最初に確認する思考を「コンドル思考と呼びます。対して、上の例のように目の前の仕事のことだけを考えるのは「カメ思考」。

童話の『ウサギとカメ』が示すように、地道に仕事を進めるのはよいことではあります。ですが、目の前しか見ていないと、全工程を把握していないせいで一工程に時間をかけすぎたり、目的を理解していないせいで重大な間違いをしたりなどの問題が起きやすくなると吉田氏。問題に後手後手で対応することになるため、結果的に仕事がとても遅くなるのです。

では、先ほどの例の場合、コンドル思考の人ならどう対応するかを考えてみます。

  • 商談に関するメールへの返信について、上司に相談したかったが、なかなかつかまらなかった
    →のちほど確認する旨だけすぐ返信し、上司の手が空くタイミングをチェックしたうえで、余裕をもって相談する。

  • 新人の資料チェックにすぐ対応した
    いつまでに必要な、なんの目的の資料かをまず確認。優先度が低ければ午後にまわす。

  • 今日の社内会議用資料のミスを他部署から指摘されて修正した
    →そもそもコンドル思考の人は、調整作業を見据え早めに他部署確認を終わらせている。そのため、当日に重大な指摘は入らない。

吉田氏いわく、コンドル思考を身につける方法は「この仕事はなんのために、いつまでにするのか」と逐一考える習慣をもつこと。たとえば「明日までに◯◯のデータを集めておいて」という指示も、社内用かプレゼン用か、新規提案用か改善用か、明日の何時までにどの程度完成させるのか、といったところまで考えて取り組みましょう。

仕事が超絶速い人の3つの思考習慣02

2. 仮説思考

営業で新規顧客の獲得率が伸び悩んでいる。何が原因かわからないので、「WEBや架電からの問い合わせ数」「競合商材との比較」「広告効果」など、時間をかけて手当たり次第に情報を収集。ひととおり情報がそろってから、ようやく問題解決策を考え始める……。

一見とてもよいやり方にも思えますが、情報収集にばかり時間をかけていては、仕事のスピードも質も上がってきません。仕事の速い人は、わからない問題にも先に「仮の答え」を想定しているのです。

グロービス経営大学院副研究科長の村尾佳子氏いわく、速くて質の高い仕事をする人は仮説思考を身につけているとのこと。これは、情報やデータから問題の答えを導くのではなく、「たぶんこうだろう」という答えを先に考えてから情報やデータを探す思考のことです。

『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』の著者・内田和成氏によると、仮説思考は以下のステップで行なうそう。上で挙げた「営業で新規顧客の獲得率が伸び悩んでいる」という問題を解決するケースを例にして説明します。

  1. 問題発見の仮説を立てる 
    a:WEBページで商材の魅力が伝わっていないのではないか
    b:競合他社の商材よりも価格が高いのではないか

  2. 1の仮説を検証する
    aの検証:WEBからの問い合わせ数を調べる
    →WEBからの問い合わせはほとんどないことがわかる
    bの検証:競合商材のリサーチ
    →価格は競合商材よりもむしろ安いことがわかる(問題解決の必要なし)

  3. 問題解決の仮説を立てる
    aの解決策:WEBページのレイアウトを改善するといいのではないか

  4. 3の仮説を検証する
    aの解決策の検証:実際にレイアウトを変更して問い合わせ数の変化を見る

このように、仮説と検証を繰り返しながら問題を解決していくのです。たとえ仮説を検証した結果、問題解決に至らなかったとしても、新しい仮説のヒントを得ることができます。WEBページのレイアウトを改善しても問い合わせ数が上がらなければ、商材の打ち出し方に問題があるのかも……と、別のことが見えてくるという具合です。手当たり次第情報を集めてからようやく検証を始めるのに比べると、問題解決への道筋がはるかにスピーディに見えてきます

村尾氏は、仮説思考を身につけると、主体的に動き、すばやい意思決定ができるようになると言います。変化が激しく先が読めない現代のビジネス現場において、仮説思考はますます重要になってくるそうです。

仕事が超絶速い人の3つの思考習慣03

3. エッセンシャル思考

上司から突然、資料用のデータ作成を頼まれた。でも本当は、いま手がけている企画が大詰めで手一杯……。上司の指示だから断れないし、大変だけど頑張ってやってみよう!

頑張る人ほどしがちなこの考え方は危険。キャパシティ以上の仕事を抱え込むことで、ひとつひとつの仕事が遅れる可能性があるからです。じつは、仕事の速い人は断り上手でもあります。

重要ではない仕事を減らし、少ない時間と労力で最大限の成果を出すという考え方をエッセンシャル思考といいます。コンサルティング会社THIS Inc.のCEOグレッグ・マキューン氏が提唱し、AppleやGoogleといった世界的企業にも影響を与えているもの。マキューン氏は、エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考の違いを以下のようにまとめています。

【エッセンシャル思考】

  • 上手にNoと言う
  • 本当に重要なことしか引き受けない

【非エッセンシャル思考】

  • 周囲の期待とプレッシャーに負けてYesと言う
  • なんでも引き受ける

とはいえ、先に挙げた例のように、指示された仕事を断るのは難しいもの。そこで大切になるのが「トレードオフ」という考え方。「もしその仕事を引き受けたら、代わりに何ができなくなるのか」を意識することです。上の例であれば、データ作成を引き受ける代わりに企画の詰めが行き届かなくなる、という具合ですね。

このトレードオフを上手に示せれば、重要ではない仕事を断りやすくなります。そのために活用したいのが、アメリカの心理学者ジョセフ・ウォルピ氏とアーノルド・ラザラス氏が提唱した「アサーション」という話法です。以下の「DESC」に沿って、自分の気持ちや状況を相手に配慮しながら伝えます。

  • D(Describe / 描写):客観的に事実や状況を述べる
  • E(Express / 表現):自分の意見や感じていることを表現する
  • S(Specify / 特定の提案):妥協案、解決策、相手に望むことを提案する
  • C(Choose / 選択):肯定的な結果と否定的な結果を伝えて選択肢を示す

上のシチュエーションにおけるアサーションを使った断り方は、以下のようになります。

  • D(描写)「いま手がけている企画が大詰めの状況です」
  • E(表現)「引き受けたい気持ちはやまやまですが、いまお引き受けすると代わりに企画のクオリティが下がってしまいます(=トレードオフを伝える)」
  • S(提案)「手をつけるのは来週でもかまいませんか?」
  • C(選択)「来週からでよければ私がやれます。今週中に終わらせなければならないものでしたら、ほかの方にお願いできますか?」

アサーションのよい点は、自分の意見を主張しつつも相手との妥協点を見つけられるところ。いつも指示や頼みを断れず、仕事がどんどん増えて遅くなる人には、まさにうってつけの方法です。

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経験や能力の差は簡単に埋まるものではありませんが、思考を変えることならすぐにでも挑戦できます。ぜひひとつでも取り入れてみてください!

(※記事中の人物の肩書は記事公開当時のものです)

(参考)
STUDY HACKER|「仕事が早く終わる人」3つの特徴。スタバ思考・コンドル思考・オーウェル思考って何のこと?
現代ビジネス|仕事が早く終わる人の特徴、「オーウェル思考」とは何か?
グロービスキャリアノート|仮説思考を鍛える3つの方法。仕事の効率化と質向上を目指そう
内田和成(2006),『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』, 東洋経済新報社.
グレッグ・マキューン著, 高橋璃子訳(2014),『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』, かんき出版.
平木典子(2012),『アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法』, 講談社.

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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