視点を変えるのに効果ありすぎな3つの方法。キモは「色」と「なりきり」

視点を変える方法01

物事を考えるとき、「視点を変えよう」「多角的な視点で考えたほうがいい」とよく言われるけれど、どうすれば視点を変えられるのだろう……。

あなたは、このように悩んだことはありませんか?

「普段の自分とは違う視点をもつ」ということは、意識するだけでは難しいように思えるかもしれません。ですが、じつはちょっとした工夫でそれができてしまうのです。今回は、視点を変える3つの方法をご紹介します。

【1】創造力豊かな人物になりきる:クリエイティブステレオタイプ効果

まず紹介するのは、「クリエイティブステレオタイプ効果」を使う方法。この効果は、詩人や芸術家など、一般的にクリエイティブとされる人物になりきると、実際にクリエイティビティが高まるというものです。自分から離れて、クリエイティブな人の視点に立つと、豊かな創造力が得られるということですね。

この効果は、アメリカ・メリーランド大学が行なった実験で実証されています。実験では、学生96人を3つのグループに分け、それぞれに

  • 風変わりな詩人になりきる
  • 厳格な司書になりきる
  • 何にもなりきらない

という指示を与えました。そして、たとえば本やフォークなどの身のまわりにあるような物について、その物の本来の用途とは違う使い方を考えるという課題をいくつかこなさせたそうです。学生たちの回答は、いかにスムーズに思いつけたか、オリジナリティはどれほどであったかを合わせて、得点化されました。

その結果、詩人グループは有意に得点が高く、司書グループは逆に得点が低かったのです。指示を与えないグループはその中間であったとのこと。

これは、たまたま詩人グループの学生の発想力がもとから豊かだったというわけではありません。「司書グループの被験者を、次は詩人になりきらせる」というように、なりきる人物を変え、さらに課題を変えて試しても、詩人になりきると得点が高く、司書になりきると低くなることに変わりはなかったのだそう。

この実験結果からわかるように、「自分はクリエイティブだ」と思うだけで、クリエイティビティは大きく変わるのです。

参加者を楽しませる企画を考えるときには、天才的なエンターテイナーになりきる。人の心を動かすスピーチをしたいときには、しゃべりの名手になりきる。こういった具合に、何かを生み出したいときにはぜひクリエイティブな人物になりきってみてください。

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【2】考える対象になりきる:パーソナルアナロジー

次にお伝えするのは、「パーソナルアナロジー」という方法。自分が考えようとしている対象そのものになりきり、その対象としての視点を獲得するというものです。

これは、発明家で心理学者のウィリアム・J・ゴードン氏により考案された「アナロジー思考」のひとつです。「アナロジー」とは、日本語で「類推」という意味。アナロジー思考では、“未知のもの” に “既知のもの” を当てはめて類推するというやり方で発想します。とりわけパーソナルアナロジーにおいては、これから生み出そうとする製品やサービスなど「考える対象(未知のもの)」に、「自分(既知のもの)」を当てはめます

この発想法のやり方として、多くの人にとって一番わかりやすいのは、「製品を使う人や、サービスを受ける顧客になりきる」というものでしょう。しかし、パーソナルアナロジーのおもしろい点は、たとえば「新しい消しゴムを考案したいときには、消しゴムになりきる」といったように、発想しようとしている “物そのもの” の視点に立つところ。

「自分がどんな素材だったら、紙の上で動きやすいか?」を想像してみて、なめらかだけれどつるりと滑らないような材質を思いつく。「自分がどんな形だったら、抱きしめられたときに安心するか?」を想像して、曲線的で人の手にフィットする形を思いつく。どうでしょう、斬新な視点ではありませんか?

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【3】意図的に視点を切り替える:シックスハット法

最後に、グループワークでも個人でも使える「シックスハット法」という発想法を紹介します。医師・心理学者・発明家・コンサルタントのエドワード・デ・ボノ氏によって考案されました。

シックスハット法では、議論の参加者にあらかじめ「白・赤・黒・黄・緑・青」の6色のアイテム(本来は帽子。バッジ、カードなども可)を配布しておきます。6つの色には、それぞれ「この色を身に着けているときには、どのような視点で意見を述べるか」が決められています。そして、身に着ける色を変えると同時に視点も変えながら、話し合いを進めていくのです。

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6色それぞれの視点は以下の通りです。

  • 白:客観的な視点
    数字やデータに基づいた偏りのない視点。あくまでも客観的な事実のみについて考え、判断や意見、提案をしない。
  • 赤:主観的な視点
    直感で感じる、本能的な視点。ただの「好き嫌い」でよい。理由の説明はしない。
  • 黒:否定的な視点
    矛盾点やリスク、障壁などの問題点を洗い出す視点。感情的なネガティブさは赤に含まれる。
  • 黄:肯定的な視点
    メリットや価値を考える、プラス思考の視点。どのように実現できるかを探る。
  • 緑:創造的な視点
    新しいアイデアや代替案を、自由にクリエイティブに考える視点。
  • 青:俯瞰的な視点(プロセス管理)
    議論の全体を管理し、統括や提案を行う視点。グループワークにおいては、主にファシリテーターが務める。

視点を変える方法05
たとえば、「A案とB案のどちらがよいか」という議題で話し合いをする場合、シックスハット法では以下のように話し合いを進めます。

  • :今回はA案とB案のどちらを採用するかを話し合います。
  • :A案はこれまで用いられてきたもので、一定の成果を挙げています。B案はA案の改善点を考慮して発案された新しい案です。
  • :Aはいままで通りの利益が見込めますし、慣れているので実行はスムーズです。B案はA案を上回る利益を得られる可能性がありますし、マンネリ化を防げます。
  • :Aは成長が見込めません。Bは失敗するリスクがあります。
  • :AとBを組み合わせることはできる? Bの失敗リスクは○○によって下げられる?
  • :Bをやってみたい!

一巡したら、意見が足りないと感じる色を繰り返したり、2色以上に分かれて意見を出し合ったりと、工夫して議論を深めていくとよいそうです。

色を使って視覚に訴えることには、視点がより意識され、ぶれにくくなるというメリットがあります。また、強制的に視点を変えることになるので、ひとつの意見に凝り固まらず、多くの意見を出すことができます。グループワークではもちろんのこと、ひとりでアイデア出しを行なう場合でも、視点を順々に変えながらアイデアを出せるので、効率的ですよ。

色を使って視点を変えるシックスハット法、ぜひ実践してみてください。

***
いつも同じ考え方ばかりしているな、新しい視点が欲しい……と思ったときは、ぜひ「クリエイティブステレオタイプ効果」「パーソナルアナロジー」「シックスハット法」を試してみてください。これまで思い浮かばなかった考えが閃くかもしれませんよ。

(参考)
National Center for Biotechnology Information|The Creative Stereotype Effect
PLANiDEA insight|シネティクス法/類推法
Wikipedia|William J. J. Gordon
PLANiDEA insight|シックスハット法
アイデア総研|いつものブレストを進化させる”シックスハット法”がすごい
Wikipedia|エドワード・デボノ

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
早稲田大学文化構想学部在籍。福岡県筑紫女学園高校出身。高校時代から文芸部に所属し、小説を書いている。現在大学では、文芸・ジャーナリズム論系に進むためテクスト論を中心に日々勉強中。

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