雑談のプロがやっている「5Sの相槌」テクニックがすごい。

雑談上手になるための5つのテクニック01

あなたは「雑談」が得意ですか? 「おはようございます!」「よろしくお願いします!」とあいさつしたものの、あいさつのあとに会話がつながらない……と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

雑談力は、仕事仲間とよい関係性を保ったり、組織の中でうまく立ち振る舞ったりするために欠かせないスキルです。ほんの少しのコツを実践したり、意識の持ち方を変えたりすれば、誰でも雑談力を磨けますよ。

本記事では、簡単に雑談を盛り上げられる5つのテクニックをご紹介します。

会話を盛り上げるコツは「相手に話させる」こと

なぜか雑談が続かない。盛り上がらない。あなたの会話が盛り上がらない原因は「自分が話そうとしすぎている」せいかもしれません。社員研修の支援を手がける株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループの代表である安田正氏は、次のように述べています。

どんなに話し上手な人でも、気の利いたことや相手が思わず聞き入るようなことはなかなか話せるものではありません。では、雑談が上手な人はどうしているかというと、「話すことより聞くことを意識」しているのです。割合としては、「話す」が2、「聞く」が8というところでしょうか

(引用元:STUDY HACKER|雑談上手は「2:8」を意識する。初対面で相手の心をつかむためのシンプルなルール。 ※太字は筆者が施した)

話のタネが何も思い浮かばなくても、相手に質問したり、話を促したりすることならできるはず。会話のキャッチボールを成立させるためには、相手が捕りやすく返しやすい球を投げることが大切なのです。

自分が話そうとするのではなく、まずは相手に話してもらうだけなら、口下手な人でも実践できそうですね。では、相手に話してもらうためには何を心がければよいのでしょうか。相手に話してもらうための簡単なテクニックを5つご紹介します。

雑談上手になるための5つのテクニック02

【テクニック1】会話のキッカケは「親しき仲に」

最初に困るのが、話題の提供です。「何か話さなきゃ! でも、いったい何を……?」と迷っているうちに、気まずい沈黙が生まれてしまった経験は、誰しもありますよね。

会話のタネに困ったときは「し・た・し・き・な・か・に(親しき仲に)」という言葉を思い出してください。「し・た・し・き・な・か・に」とは、精神保健福祉士・産業カウンセラーの大美賀直子氏が提唱する、会話に適したテーマの頭文字の語呂合わせです。

し = 仕事
た = 旅
し = 趣味
き = 気候
な = 仲間
か = 家族
に = ニュース

「連休はどこかに行かれました?」(旅)、「もうすっかり夏ですよね。今年は海に行かれるんですか?」(気候)のように、初対面の相手や共通点の少ない人とも共有できる話題が、仕事・旅・趣味・気候・仲間・家族・ニュースの7つなのです。

あいさつのあとの第一声は、仕事・旅・趣味・気候・仲間・家族・ニュースから話題を選んでみましょう。

雑談上手になるための5つのテクニック03

【テクニック2】一問二答

うっかり犯しそうなNG行為が、相手の質問に「一問一答」で返してしまうこと。例えば、相手がせっかく質問してくれたのに、

Q:「部活は何やってたの?」
A:「野球です」

と一言答えただけでは、そっけない印象を与えてしまいますよね。相手次第では、あなたのシンプルすぎる答えで会話がストップしてしまうかもしれません。

何か話すときには、必ず「二言以上」言うように心がけましょう

Q:「部活は何やってたの?」
A:「野球です。顧問の先生がすごく厳しい人で、入部したら必ず頭を丸刈りにする決まりだったんですよ

悪い例の「シンプルすぎる答え」にもう一言つけ加えるだけで、かなり印象が変わりますよね。情報が増えたことで、相手も「じゃあ、中学生のときは丸刈りだったの?」「ほかにはどんな決まりがあったの?」など、話を広げやすくなります。

『声に出して読みたい日本語』の著者である齋藤孝教授は、一問二答について以下のように解説しています。

強調するまでもなく、雑談はキャッチボールです。「趣味は?」と聞かれて「別に」と答えるのは、ボールを投げてもらっても、それをただ受けているだけというのと同じ。相手が提供してくれた話題にただ返答するだけでは、雑談にはなりません。「一問二答以上」。話に何かプラスαのオマケをつけて投げ返してこそ、初めて雑談になるのです。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|共通の話題がない人との「場つなぎ」雑談、上司や取引先との会話は「一問二答」で乗り切る ※太字は筆者が施した)

ボールを受けるだけでなく投げ返すのに必要なのが「二言目」なのです。どうしても思い浮かばない場合は、「○○さんは?」などと相手に質問するのもありですよ。

「二言目」を考えるコツについては、次のテクニック3も参考にしてみてください。

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【テクニック3】連想ゲーム式に話題を出す

話題に詰まったら、「連想ゲーム」式に次の話題を考えてみましょう。つまり、相手(もしくは自分)の話の中に出てきた単語から別の単語を連想し、連想した単語を次の話題として使うのです。

たとえば、「もうすっかり夏ですね」という話題になったとすれば、次のような連想が考えられます。

  • 夏→→「今年は海に行かれるんですか?
  • 夏→サマーソニック(音楽イベント)→「今年のサマーソニックには、○○が出演するらしいですね

連想によって、自然に次の話題へ移ることができますね。コミュニケーション講師の吉井奈々氏によると、上記の例のようにとにかく話をつなげていくことで、相手の興味関心が明らかになりはじめ、自然と話が盛り上がっていきやすいのだそう。

もちろん、自分の中に話題の引き出しがなければ、連想できる言葉が少なくなってしまいます。日頃から本やインターネット、テレビなどで情報収集し、幅広いトピックをインプットしておくようにしましょう。

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【テクニック4】知らない話は、知っている話に誘導する

4つ目は、自分がまったくついていけない話題を振られたときの対処法です。

同僚がゴルフの話を始めたとしましょう。しかし、あなたにはゴルフの経験も知識もなく、話を合わせるのが困難です。

自分がついていけない話題になってしまったら、テクニック3を応用し、連想ゲーム式に自分が話せるテーマへ誘導しましょう

相手:「最近、ゴルフ始めたんだ」
自分:「本当! いい運動になるでしょ?」
相手:「そうだね。1ラウンド回ると、脚がパンパンになるよ」
自分:「それはいいね、僕も何か始めたいな。最近太っちゃってさ」
相手:「え? そんなふうには見えないけどな」
自分:「入社した頃はもっと痩せてたんだよ。いいダイエット法、知らない?」
相手:「ああ、それならたとえば……」

上の例では、「ゴルフ→運動→ダイエット法」と連想して、最終的にはダイエットの話題に落ち着いています。吉井氏によると、連想方式ならば、自分の得意な話題に持っていきながらも、相手が提供してくれた話題を尊重している印象を与えられるとのこと。

あらゆる話題を自分の土俵に乗せようというわけではありませんが、話がかみ合わないときや会話がいまいち弾まないときは、話題を転換する手段として使ってみてください。

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【テクニック5】相槌には「5S」を使う

「5S」とは、言葉に乗せる “感情” に関するテクニックです。

話し方講師や司会者として活躍する村松加王里氏によれば、5Sは「驚き(Surprise)」「茶化し(Spoof)」「残念(Sorry)」「疑念(Suspect)」「共感(Sympathy)」の頭文字にあたる、5つのSを集めた概念なのだそう。相手の言葉に相槌を打ったり返答したりする際、驚き・茶化し・残念・疑念・共感のいずれかの感情を乗せることで、コミュニケーションがより親密なものになります

同僚が「最近、仕事がうまくいっていなくて……」と打ち明けてきたときの返答を考えてみましょう。

【驚き】「えっ、本当に!? 何かあったの?」
【茶化し】「なーに言ってんの! 大丈夫だから自信持ちなよ」
【残念】「それは大変だね……。きっとそのうち良くなるよ」
【疑念】「そうかなぁ? 私は、思い過ごしだと思うけどな」
【共感】「本当につらそうだよね。あなたが担当している取引先って、すごくいい加減らしいもんね」

感情が乗ることで、会話がより生き生きとしたものになることがおわかりでしょうか。

特に、最後の「共感」に関しては、相手の心情を察知して、なるべく具体的に言語化してあげることが大切です。上の例では、「取引先がとてもいい加減である」という悩みの理由を代弁しています。相手の感じているであろうことを言葉にすることで、相手に「私もあなたと一緒の思いですよ」というメッセージをより明確に伝えることができるのです。

***
雑談を弾ませる、5つの簡単なテクニックをご紹介しました。仕事だけでなく、プライベートでも活かせるテクニックばかり。お手軽なので、ぜひ試してみてください!

(参考)
STUDY HACKER|雑談上手は「2:8」を意識する。初対面で相手の心をつかむためのシンプルなルール。
All About|会話が続かない?雑談力とネタに効く7つのキーワード
ダイヤモンド・オンライン|共通の話題がない人との「場つなぎ」雑談、上司や取引先との会話は「一問二答」で乗り切る
All About|雑談の苦手意識がなくなる!話が弾む鉄板ワザ
プレジデント・オンライン|雑談下手が生まれ変わる「5S」の相槌
All About|雑談が苦手なら「連想ゲーム」上手になろう

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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