「頭がよくて印象もいい人」の3つの特徴。あなたに当てはまるものはある?

頭がよくて印象のいい女性

“頭がいい人” に憧れを抱く方は多いかもしれません。しかし、頭がいい人のなかには「知識のひけらかしが多いから、あまり話したくない……」「威圧感があって、なんだか近寄りがたい……」と周囲から敬遠されてしまう人がいるのも事実。

頭のいい人を目指すなら、職場でさまざまな人と協力し合えるよう、「よい印象を与える知性的な人」になりたいものですよね。

今回の記事では、頭がよくて印象もいい人の特徴を3つご紹介。いまのご自身に当てはまるものはあるか、または、これから伸ばしていけそうなものはどれか――ぜひ、ご一読ください。

特徴1. 行間を読む力がある

あなたの身近に、「頭はいいけど、話が通じないな」と残念に感じる人はいませんか? 一方で「こちらの意図をわかってくれる」賢い人も存在するもの。両者の違いは “相手の意図を汲む力” の差です。

米国の心理学者、ダニエル・ゴールマン博士は著書『SQ生きかたの知能指数』のなかで、「言動の “行間を読む” 力」すなわち「相手の心を推測する力」の重要性に言及しています。

この感覚が欠如すると、他者を愛したり気遣ったり協力したり――まして競争したり交渉したり――できなくなり、ごく単純な社会的関係にも円滑に対応できなくなる。

(引用元:ダニエル・ゴールマン著, 土屋京子訳 (2007),『SQ生きかたの知能指数』, 日本経済新聞出版.)

たとえば、ミスをしてしまい気分が落ち込んでいる同僚に、アドバイスのつもりで自分の知識をひけらかしてしまう……。このような相手の心理を汲めない言動をとれば、頭がよくても「人の気持ちがわからない人」と見なされてしまうのです。

落ち込んでいる同僚に対して知識をひけらかしてしまう女性

また、株式会社人材研究所・代表取締役社長の曽和利光氏は、ビジネスにおいて「洞察力」が重要だとしています。洞察とは「『見えていないもの、言われていないこと』を推測する」ことだそう。前出のゴールマン氏が重要視している「言動の “行間を読む” 力」と似ていますよね。

洞察力があれば、例えばクライアントの「本音」を察知することで、取引拡大につなげることができるでしょう。上司や先輩、同僚の気持ちを汲み取ることで、仕事が円滑に進められたり、重要な仕事に抜擢されやすくもなります。

(カギカッコ内・枠内引用元:リクナビNEXTジャーナル|洞察力がある人は出世する!?仕事で活きる洞察力の磨き方

と曽和氏。

たとえば、上司から「あのクライアントは難しいから、うまく対応して」などと、曖昧な指示を受けたとしましょう。「相手の特徴やニーズを探りながら交渉すればいいのかな」と察知してその通りに実行できれば、上司に仕事の能力を評価されるほか、クライアントからもよい印象をもってもらえる可能性が高まるわけです。

そんな洞察力を高める方法として曽和氏が提案しているのが、「ちょっとした変化にも、『なぜこのような変化が生じたのか』と観察し、思考してみる」習慣をもつこと。(カギカッコ内引用元:同上)

筆者のほうで例を考えてみました。

<変化>
クライアントからのメールが、いつもとは違って感謝の言葉から始まっていた。
<なぜ?>
→先日の納品物に満足してくれたからだろうか?
→このあいだの提案に納得してくれたからだろうか?

初めのうちは予測が当たらなくとも、相手の言動の変化に「なぜだろう?」とあれこれ考える癖がつけば、しだいに洞察力が鋭くなるはず。頭の良さと印象の良さを兼ね備えるために、ぜひ試してみてくださいね。

相手の言動の変化に「なぜだろう?」とあれこれ考える女性

特徴2. まわりに対して優しくいられる

「頭がよくてすごいけれど、なんだか近づきにくいな」と思われてしまう人。「頭がいいうえに人柄もいいから、一緒に働きたいな」と思ってもらえる人。両者の違いは、“優しくいられるかどうか” です。

ニュースメディアの「The Conversation」に掲載された、米・英の経済学者らの研究報告で、「知能の高さ」は「協力的な行動」と関連性があると示唆されています。

実験では、792名を対象に「人々がなぜお互いに協力するのか」調査するためにゲームを実施しました。そのなかのひとつが「囚人のジレンマ」というゲーム。ルールを簡単に説明すると以下のとおりです。

【設定】被験者2名は犯罪の共犯者。両者は別々の部屋で尋問を受け、「相手を裏切って犯罪を犯したと証言する」か、「相手と協力して黙秘する」かの選択肢が与えられる。

  • 自分だけ相手を裏切って証言し、相手は黙秘した場合
    →自分は釈放され、相手は懲役3年
  • 互いに裏切って証言した場合
    →両者とも、懲役2年
  • 互いに黙秘した場合(協力し合った場合)
    →両者とも、懲役1年で済む

つまり、互いに協力し合うほうが両者にとってメリットがあるのです。調査の結果、協力傾向と関連性があったのは、性格特性ではなく意外にも知能の高さだったのだとか。

(研究内容は「The Conversation|How clever people help societies work together better」よりまとめた)

助け合っている従業員

ミシガン大学教授のウェイン・ベーカー氏によれば、人間は本来「助けられた恩に報いたい」という欲求を備えているのだそう。(カギカッコ内引用元:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー|「助け合う」チームをつくる5つの方法

多忙な同僚の仕事を手伝ったり、部下の悩みに耳を傾けたり――こうした親切な行為は、相手を助けることのみならず、のちに “自分も助けられる” ことにつながります。その結果、お互いにとってよい関係が築かれるのです。「情けは人のためならず」という言葉がありますが、その法則を賢い人は理解しているのでしょう。

とはいえ、優しさや親切心が “押しつけ” として受け止められてしまうのは避けたいもの。人から慕われる優しさと、そうでない人の優しさにはどのような差があるのでしょうか。

脳科学者の茂木健一郎氏は、「優しさ」は「知性」であると述べています。

優しさは他者性への向き合い方ですが、その他者は多様で時に異質です。ですから、優しくなるためには、自分の善意の押し付けではだめで、世界の中にはさまざまな方がいて、さまざまなことを望み、夢見て、悩んでいらっしゃるということをわかっていなければならない。

(引用元:茂木健一郎 公式ブログ|脳なんでも相談室。ツイッターで「優しさって、知性だからね。」とおっしゃったのが

つまり、相手に配慮するうえでは「相手の考えや価値観はさまざまだ」と理解することが必要なのです。

価値観の異なるさまざまな人々

そこで、心理カウンセラーの高見綾氏がすすめる「価値観の違いが起きた時に受け入れる方法」のなかから、次の3つをぜひ押さえてはいかがでしょうか。

  • 「『この人はそう考えるんだな』と受け止める」
    →「相手の生きてきたストーリー」を想像して、「あまり深刻にならずに」受け止める
  • 「相手を変えようとしない」
    →「自分の言い分ばかり話」すのはNG。「「今のあなたではダメ」というメッセージだけが相手に伝わ」ってしまうから。
  • 「違いを面白がる」
    →「新しい発想を取り入れるようなつもりで話を聞く」とよい

(カギカッコ内引用元:マイナビウーマン|価値観の違いは我慢するべき? 考え方が違う人を受け入れる方法

たとえば、

  • 「私は仕事の意味を感じられるとやる気が出るけど、あの人は習慣で淡々と働くみたい。そういうスタイルもあるんだな」
  • 「私はすぐ行動に移すけど、彼はロジックを理解してから動くんだ。なるほどなぁ」

このように違いを興味深く思えれば、相手の考え方を尊重し、優しく受け止めることができるはず。頭のいいあなたがもつその優しさは、相手に好印象を与えることでしょう。

互いに協力し合っている人達

特徴3. 否定ばかりしない

「でも、その企画はコストがかかるし難しいな」
「だけど、その案件は優先度が低いよね」

このような否定的な態度をとる人は、一見賢そうに思えるかもしれません。しかし、意外にも研究者らの見解では、否定するのは簡単なのだとか。頭がよくて印象もいい人は “むやみに否定しない” のです。

オランダのティルブルフ大学の心理学者らが調査したところによると、冷笑的(物事に対して否定的な態度)な人は、認知能力や学力の成績が劣ると判明したそうです。理由は単純で「否定することは簡単」だから。研究者らのコメントでは、「用心するに越したことはない」という心理で否定に依存しやすいとのこと。(Inc.|Science Says Positive People Are a Lot More Intelligent and Insightful Than You Might Thinkより)

もちろん重要な決定をするときには、否定的な態度をとる必要もあるでしょう。しかし、否定ばかりするというのは賢い人がやることではないのですね。

加えて、周囲の人たちに悪い影響を与えるという点でも、やはり否定的なコミュニケーションはよくありません。ここで注目したいのが「心理的安全性」という言葉。

『否定しない習慣』の著者でエグゼクティブ・コーチの林健太郎氏は、「否定しない」コミュニケーションによって、チームの「心理的安全性」が確保されると述べます。心理的安全性とは、「チームにおいて、誰が何を言っても、どのような発言や指摘をしても、否定や拒絶をされたりする心配がない状態」とのこと。(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|どんなメンバーでも「踊る会議」になる…「心理的安全性」を簡単に確保できるたったひとつのルール

林氏は、経営者やビジネスパーソンをコーチングした経験から、以下の「事実」がわかったと説明しています。

●否定されないと、ポジティブな感情になる
●否定されないと、もっとコミュニケーションを取りたくなる
●否定されないコミュニケーションでは、信頼関係が生まれる
●否定されないコミュニケーションでは、自己肯定感が高まり、自信が持てる

(引用元:同上)

こうした事実を見ると、“否定しない人” が周囲によい印象を与えることは明らかですよね。

否定しないコミュニケーションをとっている職場

ここまで読んで「そんなの当たり前だ」と思ったかもしれませんが、林氏によれば、人は「『否定する』ことを意識的にも無意識的にも行って」しまっているものなのだとか(カギカッコ内引用元:同上)。

そこでぜひ、“否定しない” つまり “肯定的な” 表現を積極的に使うようにしましょう。伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏によれば、「否定表現」「肯定表現」では、「相手に与える印象が大きく変わ」るとのこと。(カッコ内引用元:リクナビNEXTジャーナル|【否定表現 vs 肯定表現】どっちが仕事で成果を出しやすいのか?

具体例で確かめてみます。

  • 否定表現
    「期日までに資料作成してもらわないと困ります。前年度の資料を確認せずに作成を進めないでください」
  • 肯定表現
    「期日までに資料作成してもらえると助かります。前年度の資料を確認しつつ作成を進めてください」

高圧的で相手を萎縮させる否定表現と比べ、肯定表現のほうは柔らかな印象を与えますね。(具体例は同上資料を参考に作成)

つい否定表現を使いそうになったときは、肯定表現に言い換えることを意識してみてください。言い方や話し方で、あなたの印象は変わりますよ。

***
今回の記事を参考に、あなたの賢さを仕事のみならず、周囲とのよりよい関係の構築にも活かしてみてくださいね。

(参考)
ダニエル・ゴールマン著, 土屋京子訳 (2007),『SQ生きかたの知能指数』, 日本経済新聞出版.
脳科学辞典|心の理論
リクナビNEXTジャーナル|洞察力がある人は出世する!?仕事で活きる洞察力の磨き方
The Conversation|How clever people help societies work together better
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー|「助け合う」チームをつくる5つの方法
コトバンク|情けは人の為ならず
茂木健一郎 公式ブログ|脳なんでも相談室。ツイッターで「優しさって、知性だからね。」とおっしゃったのが
マイナビウーマン|価値観の違いは我慢するべき? 考え方が違う人を受け入れる方法
Inc.|Science Says Positive People Are a Lot More Intelligent and Insightful Than You Might Think
SAGE journals|The Cynical Genius Illusion: Exploring and Debunking Lay Beliefs About Cynicism and Competence
プレジデントオンライン|どんなメンバーでも「踊る会議」になる…「心理的安全性」を簡単に確保できるたったひとつのルール
リクナビNEXTジャーナル|【否定表現 vs 肯定表現】どっちが仕事で成果を出しやすいのか?

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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