クリエイティブな人間になりたい、そう悩む人も多いのではないでしょうか。 会議でなかなかアイディアが出せなかったり、学生さんの中には将来クリエイティブな職業に就きたいのにどうやってクリエイティブさを身につければいいのかわからない人もいるかもしれません。今回はクリエイティブな発想の身に着け方のお話です。
クリエイティブ=組み合わせ
よく「クリエイティブ」とは「0から1を生み出すこと」と勘違いしている人がいます。ですがこれは大きな間違い。「クリエイティブ」とは「既存の型を組み合わせること」なのです。 どんな斬新なアイディアでも0から生み出されるものなどありません。これは音楽を例にとって考えるとわかりやすいでしょう。音楽にちょっとでも関わったことのある方ならわかるでしょうが、音楽をやっている人間がビートルズの影響から抜け出すのは不可能に近い話です。直接ビートルズとは関わりのない世代でも、自分が影響を受けたミュージシャンをさかのぼると絶対どこかでビートルズに行き当たるはずです。
ここで、クリエイティブになるためには ①ビートルズ的存在になる ②ビートルズの影響を受けたことを認めつつコピーから始める
の2つの方法があります。こう考えると①の選択肢がいかに無謀でかなう望みの薄い賭けかがわかってもらえるでしょう。
クリエイティブになりたければ、まずは既存の型にはまることから始めましょう。一見正反対の行為に思えますが、実はこれこそが近道なのです。
日本人はマネがうまい
型にはまることをマネ、と感じて抵抗がある方もいるかと思います。特に、クリエイティブな人間を目指している方にとっては、これは受け入れられないことかもしれません。ですが、私たち日本人は国民性からみてもマネが得意な人種なのです。
例えばディズニーランドを例にとって考えてみましょう。ディズニーランドは世界各地にありますが、ここまで人気が出たのは日本くらいだそうです。パリのディズニーランドなどでは、逆に「アメリカ文化の象徴」として敬遠され、開業時に市民らによる抗議活動が起こったほか、現在でも業績不振が続いているのだとか。一方の日本では皆さんご存知の通りです。
欧米や他地域の文化を寛容に取り入れつつも、いつしかそれを日本独自のものへとしてしまう、それこそが日本の良さであり、クリエイティブを志す人が見習うべきことではないでしょうか。
1/100×1×100=1/10000
少し話はそれますが、私が最近就職活動を始めて、ある人から聞いた印象的な言葉があります。 それは、「10000人に1人のすごい人になりなさい。そうすればどんな会社だってあなたを選んでくれる。10000人に一人のすごい人になれないのなら100人に1人の特技を2つ身につけなさい。そしたら1/100×1×100で1/10000になれるから。」 たしかに10000人に1人の人間になるのは難しいことです。大学生のうちに会社を起業して利益を上げている人、自転車だけでアメリカ大陸を横断した人、大学のミスコンテストで優勝した人……そんな人が将来の夢を叶えやすいのは当たり前のこと。ですがたいていの人はそんな経験をしていません。
それならばちょっと頑張ればできる100人に1人の人になりましょう。例えばカラーコーディネーターの資格を取ってみたり、語学を学んで短期留学に出かけてみたり……そのような経験が2つか3つあればあなたは簡単に10000人に1人の人になれます。だってカラーコーディネーターの資格を持ちながらフランスへ留学してフランス語が喋れる人なんてそうそういませんから。
*** クリエイティブになったり、自分に唯一無二の価値を見出そうとするとなかなか難しいものです。そんな時は『型』に一度はまってみましょう。ですがずっと同じ型にはまり続けていても、クリエイティブな価値ある人間にはなれません。型は不変ではなく、時代の流れとともに変わるもの。しっかり自分なりにアンテナを張り巡らせ、これから育っていきそうなマーケットを探し、新しい型にはまることで、成長を持続できるのです。
(参考) 個性を捨てろ!型にはまれ! 三田紀房著 だいわ文庫 2009年第一版