失敗で落ち込み、頭が働かない。 不安だらけで、頭がいっぱい。 なんだか頭がぼーっとする……。
こんな状態では、とても仕事のパフォーマンスなんて上げられませんね。すぐに休みをとって回復したいところですが、忙しいビジネスパーソンはそうもいかないでしょう。そこで今回は、「たった10分」で頭をすっきりさせ、ハイパフォーマンスを取り戻す方法をピックアップしました!
失敗して落ち込んだら、10分間のコレ
ちょっとした失敗で気持ちが落ち込み、前進できなくなってしまったら、10分間だけ休憩して「柑橘系の酸っぱいジュースを飲み、指先を刺激しながら、『すっぱいブドウの法則』でポジティブに」なりましょう。詳細は次のとおり。
1.酸味は「肝」の働きを活発にする
中医栄養学の五味とよばれる味覚の中で、酸味は「肝」の働きを活発にするので、気分が落ち込んだときなどにいいそう。薬剤師・国際中医師の芳地智子さんによれば、柑橘系(オレンジ・グレープフルーツ・ユズ・スダチ・カボス)の、ほどよい酸味がおすすめとのこと。
2.「井穴」を押して気の流れを回復
東京医療専門学校鍼灸マッサージ科科長で鍼灸師の船水隆広氏によると、すべての指先には井穴(せいけつ)というツボがあり、血の出どころになっているそう。
この部分がかたくなったり、ふやけたりしていると気の流れが悪くなり、気持ちが落ち込みやすくなるのだとか。「手の指の、爪のつけ根」を、「反対の手の人差し指と親指」で両側から軽く爪を立ててつまみ、チクチク刺激してあげましょう。
3.「すっぱいブドウの法則」でポジティブに
「狐と葡萄」はイソップ寓話のひとつ。“木の高い所にある葡萄をとって食べたい狐が、なかなか届かないので「どうせあの葡萄は酸っぱくてまずいのさ!」と負け惜しみをいった”というもの。
それを引用したのが、心理学者のフロイトによる「すっぱいブドウの法則」です。満たされなかった欲求を理論化して考え、自分を納得させるのです。たとえば失敗して落ち込んだら、「この失敗で何を学んだか」を10分間考えてひとつ以上挙げます。そして、「それを学ぶために失敗した」と理論的に考えるわけです。得したような気になるので、ポジティブになれますよ。
不安なことだらけなら、10分間のコレ
この仕事が成功するかどうか、この企画が通るかどうかなど、未来に不安を抱えているせいで集中できないなら、10分間だけ「不安な気持ちに名前をつけ(ラベリング)、いま考えていることを紙に書き出すジャーナリング」を行いましょう。詳細は次のとおり。
1.感情のラベリング
「感情のラべリング」とは、感情に名前をつけることです。2011年のカルフォルニア大学ロサンゼルス校・心理学科による研究では、感情のラべリングでストレスおよび快感情の低下が確認されています。つまり、どんな自分の感情に対しても客観的になれるということ。
たとえば、不安レベルに応じて「大きいふあんちゃん」「小さいふあんちゃん」「普通のふあんちゃん」といった具合に名づけておき、不安な気持ちが生じたら「どの子かな~?」と名前を選んで呼んであげるのです。ちなみに、感情が生じる都度名づけるよりも、あらかじめ名づけておいて選ぶほうが、認知的負荷を抑えられ効果も高まります。
2.ジャーナリング
ジャーナリングとは、いま考えていることをそのまま紙に書き出していく行為です。それにより、ストレスに反応するホルモン・コルチゾールが減少するのだとか。
Psychotherapy Research(心理療法研究ジャーナル) に掲載された2010年ごろの研究では、文章を通して感情を表現した精神療法患者に、不安とうつ症状の大幅な減少が見られたそう。Behavior Modification (行動変容ジャーナル)に掲載された別の研究でも、感情豊かな文章は、一般的な不安障害症状の有意な減少と関連していると示されました。
シカゴ大学の研究でも、試験の10分前に不安や心配事を書き出すと、不安が減少することが分かったそう。試験結果も向上したそうです。10分間だけ、名前をつけた自分の「不安」に、「何が不安か」思いっきり語ってもらい、それを書き出していきましょう。
頭がぼーっとするなら、10分間のコレ
筑波大学体育系教授の征矢英昭氏によると、頭がぼーっとして仕事がはかどらないときは、脳の前頭前野などの機能が低下している可能性があるそう。そんなときは、10分間だけ休憩して、征矢氏が考案したフリフリグッパー体操で脳の快適度を高めましょう。脳の快適度を上げる適度な運動で、恒常的に気分がいい状態にしておくと前頭前野が活性化し、脳の認知機能が高まるそう。それにより、記憶力、集中力、注意力、計画力、行動力が高まり、仕事のパフォーマンスも上がるそうです。
フリフリグッパー体操
征矢氏が考案した「フリフリグッパー体操」は、まず足を肩幅に広げ、足先を内側に向けて立ち、好きな音楽を聴きながら、次の3つの動作をそれぞれ約3分強行います。
1.足踏み 足のつま先を地面につけたまま、かかとだけを左右交互に上げ下げして、身体の重心を交互に移動させる
2.腰振り お尻を突き出すようにして、腰を左右にリズミカルに振る。頭の位置は動かさず、呼吸はゆっくりと
3.腕の開閉 肘を曲げたまま、両腕を外側に広げるときは手を「グー」にして、両腕を閉じるときは手を「パー」にして、胸の前でパンとたたく。これを繰り返す。
気分を快適にすることが最重要なので、好きな音楽に合わせて歌を歌いながら行うのもおすすめです。
*** 頭がすっきりしないときは、ぜひ10分だけ時間をつくり、紹介した方法でハイパフォーマンスを取り戻してください!
(参考) 船水隆広著(2017),『深い疲れをとる自律神経トリートメント』,主婦の友社. クラシエ|Kampoful Life - 美と健康の漢方情報サイト|そのイライラ、不安。情緒不安定の原因と解消方法を伝授! エキサイトニュース|プチうつにはキウイ!?春は酸っぱいものと相性が良い理由 Everyday Health|Longevity Center|Journal Your Way to Stress Relief Study hacker|「心のもやもや」こそ言語化を。1日5分の『ジャーナリング』を1ヶ月間やってみて感じたこと。 Study hacker|「集中力を高める『王道ルート』。「不安解消+やる気スイッチオン」で集中力はつくれる! Study hacker|「不安もイライラも他人事に。心の弾力性 “レジリエンス” を高める「感情ノート」のすごい効果 プレジデントオンライン|1日10分で脳が活性化! 「ユル体操」のすすめ (征矢 英昭) Wikipedia|すっぱい葡萄 Wikipedia|防衛機制