助言を “求める” のはもう古い? 助言を “与える” ことで自分の意欲も高まることが判明!

読書や勉強、運動にダイエット、あるいは貯金など、やりたい気持ちはあるけれど、実行に移せないと悩む方々は、専門家や識者のアドバイスを求めようとするかもしれません。もしも、最適な情報や戦略がない、あるいは今回がファーストステップならば、きっとそれが最善策になるでしょう。

しかし、そうしたことを何度も繰り返しているのであれば、アドバイスを受けるよりも、同じような悩みを持つ人にアドバイスを与えてみてはいかがでしょう。それがそのまま、あなたのモチベーションの鍵となる可能性があります。それを示した新しい研究とともに、やる気の出しかたや、好循環のつくりかたをご紹介します。

アドバイスを求めるのはもう古い?

心理学者は以前から、何かを始めよう・継続しようとしてつまずいてしまう人々が、自己制御の問題を抱え、知識を行動に変える動機が欠如していることを知っています。

そこで、ペンシルベニア大学ウォートン校のLauren Eskreis-Winkler氏と、シカゴ大学ブースのAyelet Fishbach氏は、「アドバイスを求める人が、本当に必要なものを見落としているとしたらどうか?」と考え、ある画期的な実験を試みました。さまざまな問題で苦しむ人々に対し、専門家からアドバイスをもらうだけではなく、同じ問題で苦しんでいる他の人に助言するよう求めたのです。

すると、仕事探しが捗らない失業者の68%が、キャリアアドバイスのサイトで仕事探しのヒントをもらうよりも、同じように失業している人に助言したほうが、仕事探しの意欲を高めたそう。

また、なかなかお金を節約できない人の72%は、専門家からのアドバイスを受けるより、同じ悩みを持つ他者に助言を与えたほうが、より多く節約できると述べたのだとか。アンガ―マネジメントに苦しむ人の77%も、心理学者から助言を受けたあとよりも、同じことで苦労している人に助言したあとのほうが、気分をコントロールする意欲が高まったといいます。

ダイエットに苦労している人の72%も、栄養士の助言を受けるより、他者に助言を与えたほうが、減量に対する自信を持てるようになったと話しているそう。(※この内容は2018年8月13日づけの MIT Sloan Management Review にて公開)

やる気を出すみなもとは「自信」だった

他者に助言する行為は、助言者の自己信頼感を高めてくれるといいます。自己信頼感が高まれば、自信もわいてくるはず。自分の能力に対する自信が生まれれば、モチベーションを高めることができ、実際の能力以上のちからだって出せるのです。

そもそも、やる気が起こらないと悩む人は、やり方が分からないのではなく、知識を行動に変える「動機」が欠如しているだけ。必要なのは動機のエンジンで、そのエンジンを動かすのは自信ということなのでしょう。

ちなみに、前項の実験参加者は、自分も苦しんでいるのだから、同じ悩みを持つ他者にアドバイスなんかしたら、余計にモチベーションが低下すると予測していたそう。このような考えを持ちながら、結果的には全く逆の効果が生まれたということであれば、この実験が示した内容への信憑性がより高まりますね。

脳の活性化には「与えられるアドバイス」も必要

しかし、インプットせず、他者にアドバイスを与えているだけでは限度があります。

脳医学者の林成之氏によると、脳に入っている情報は、バーコードのようなコードパターンをつくるそう。そのあと入ってくる情報も、また違うコードパターンをつくるのだとか。すると脳は、以前からあったパターンと、新しいパターンの違いの、微妙な境界線をじっくり検証します。それで、全く新しいコードパターン、いわゆる新しいアイデアや発想が生まれるというわけです。

つまり、インプットが少なくなれば、脳が変化を検証する頻度も減るので不活発になり、新しいアイデアや発想も生まれにくくなります。とてもいい状況とはいえないし、いずれアドバイスのための発想が枯渇したように感じてしまうかもしれません。そうなれば自己信頼感が低くなり、自信がなくなってモチベーションも低下してしまいます。

アドバイスを「受ける・与える」のバランス

ファンクショナル・アプローチ研究所代表取締役社長の横田尚哉氏によると、物事の価値を測る公式は

「Value(価値)=Output(成果)/Input(リソース)」

なのだそう。つまり、インプットに対して得られるアウトプットが多いほど価値が高くなるというわけです。

まずはファーストステップで、専門家や識者のアドバイスを本やメディア、セミナーなどで受けたら、他の人にもたくさんアドバイスしてモチベーションを高め、再び専門家や識者のアドバイスを受けて脳を活性化しては、また同じ苦労を持つ人にどんどんアドバイスする……。そういったバランスを保って好循環を続けていくうち、大きなものから小さなものまで、たくさんの目標を達成した自分に出会えるでしょう。

*** やる気が起こらない……、と感じたら、ぜひ同じ気持ちの仲間に、自分がインプットしている情報や体験を引っぱり出して、適切なアドバイスをしてみてくださいね。

(参考) MIT Sloan Management Review|Need Motivation at Work? Try Giving Advice Quartz at Work|Two psychologists have a surprising theory on how to get motivated 株式会社日立ソリューションズ|第5回 リーダー必須の「独創的思考能力」の高め方|脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」 プレジデントオンライン|成果を上げるインプットとアウトプットのバランスは? (横田 尚哉)

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