旅行を “計画” するだけで幸福感がアップする!? 「楽しみを用意しておく」ことの驚きの効果。  

皆さんは、日々のストレスをうまく解消できていますか。ショッピングやスポーツ、ゲーム、読書など、リフレッシュする方法はさまざまありますが、「なんだか物足りない……」「もっと根本的にストレス耐性をつけたい……」などと感じている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回取り上げるのは『旅行』。じつは旅行は、旅行中そのときの楽しさがストレス解消になるのはもちろん、旅行を “計画している” 段階からも大きな効果を発揮してくれるのです。そしてその効果をうまく使えば、毎日の生活に幸福感をもたらすことができるようになりますよ。

それでは詳しく見ていきましょう。

旅行のストレス解消効果とは?

そもそも旅行はどうしてストレス解消になるのでしょうか。カギを握っているのは旅行の「非日常性」です。

普段と違う生活環境に身を置くことは、ストレスを減少させる転地効果を持っています。これは、五感の刺激を通してホルモンバランスや身体環境が整うために生まれる効果であり、現在でもストレス性の疾患などには転地療養が採用されることがあります。

また旅行中には、ストレス反応を司るコレチゾールというホルモンが減少し、逆に幸福ホルモンとも呼ばれるセロトニンの分泌が促進されることも研究により明らかになっています。それに加え、新鮮な環境の中で多くの刺激を受けることで前頭葉が活性化され、やる気が向上する効果もあるのだとか。

これらを見る限り、旅行には非常に高いリラックスやストレス解消効果があることは明白ですね。でもこれで終わりではありませんよ。

皆さんは「旅行は計画しているときが一番幸福度が高い」という言葉を聞いたことはないでしょうか。いざ実行するよりも計画している間のほうが幸福だというのは、いささか逆説的に感じられる言葉ですね。でも、その科学的な真相を調べてみたところ、おもしろいことがわかったのです。

“報酬系” の意外な性質

“報酬系” とは、人間の欲求達成に反応して、脳内で快楽物質であるドーパミンを分泌させる神経系のことを指します。「旅行に行きたい」という欲求が達成されたことで報酬系が働き、ドーパミンが分泌されて快を得ることができるというのもまた、旅行の幸福さのひとつだということですね。

しかし、この報酬系には、じつは「欲求が達成される前から働き始める」という性質が存在するのです。

報酬系(ほうしゅうけい、英: reward system)とは、ヒト・動物の脳において、欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化し、その個体に快の感覚を与える神経系のことである。

(引用元:Wikipedia|報酬系

例えばマラソンを走っているとき、ゴールテープを切った瞬間が、「ゴールする」という欲求が満たされた瞬間になります。しかしゴールテープを切る前から大きな達成感で幸福になったり、またそのように幸福そうな表情をしているランナーを見たりといった経験は皆さんにもあるのではないでしょうか。そのときまさに、報酬系がフライングで活動を始めているのです。

旅行を計画するということは、その時期が来れば「旅行に行く」という欲求が達成されることを意味します。ですから単純に旅行の計画を始めるだけでも、すでにドーパミンが分泌され始め、そのことにより幸福度が上昇を開始する、という効果が生まれるのです。

そしてこの「フライング」が、じつは驚くほど高い効果を持っているというのが、「旅行は計画しているときが一番幸福度が高い」という言葉のキモになる部分なのです。

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“フライング” の驚異の持続効果

New York Timesによると、旅行中に上昇した幸福度は、旅行終了後に長くても2週間で元に戻ってしまったのに対し、旅行前の幸福度の上昇は最大で8週間も持続したのだそう。8週間といえばおおよそ2ケ月ほどの長さになりますから、これは驚異的な長さだといえるでしょう。

この「幸福感の持続時間の長さ」というのが、人々にとっての「一番幸福」の判断基準に影響していると考えられます。この幸福感の持続時間を最大限に発揮するためにも、旅行の計画はなるべく早めに立て始めるというのが、幸福感を最大化するコツになるのです。

また計画を早めに行なうことは、旅行中に発生する効能を一部先取りすることにもつながります。つまり、インターネットやガイドブックを参照しながら行先について調べたり考えたりすることで、日常の中に非日常が生み出され、前頭葉が活性化されてやる気の増加が促されるのです。

“フライング” を応用しよう

この “フライング” の効果は、旅行以外のあらゆることにも応用できます。

「〇〇を楽しみに頑張ろう」と楽しみを用意しておいたら、つらいことでも乗りきることができたという経験がありませんか。このように楽しみをこまめに計画しておくことは、長い間幸福感を持続させ、そのぶんストレスを軽減することに役立ちます。ですから楽しみは「つらいことを乗り越えたから何かやろう!」と突発的に行なうのではなく、前もってその計画を温めておきましょう。結果的に長い期間でストレス耐性を高めることができますよ。

*** ストレスが多いと感じる人こそ、意識して定期的に楽しいことを計画し、それを楽しみに毎日を生活していくのが、幸福になるためのコツなのです。頑張ることは大切ですが、気力だけでは物事はなかなかうまくいかないもの。ぜひ “フライング” の効果で毎日を幸福にして、はつらつとした生活を作っていきましょう。

(参考) The New York Times|How Vacations Affect Your Happiness 小さな組織の未来学|旅好きは社長向きか? 月刊ポピー|ヒゲおやじ先生の脳コラム 2006年8月号 旅に行こう! TABIPRO.NET|旅を計画するだけで幸福度がアップ!脳科学で証明された旅の効果とは Phyeeme by C.I.T|日頃の疲れには旅行が一番?実は”旅行”は健康良い! Wikipedia|報酬系 Wikipedia|転地療養

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