あいつ「コミュ力」あるよな。 いや、俺「コミュ障」だから……。
「コミュ障」「コミュ力」といった言葉は、すっかり一般的なものとなりました。普通は、人見知りな人、会話を盛り上げるのが得意な人、にそれぞれ使う言葉なのですが、今回記事の中で取り上げる「コミュ力」は少し違います。
今日ご紹介したいのは、職場の雰囲気を改善する「スキル」としてのコミュニケーション能力。ちょっとした勇気で職場を明るくできて、しかも自分の評価が高まる。そんな工夫をご紹介しましょう。
コミュニケーションとは
コミュニケーションの語源はラテン語の「コムニカチオ」だと言われています。これは「共有すること、分かち合うこと」という意味なんだとか。(参考:ShareWis PRESS|コミュニケーションの語源、コムニカチオとは)
そう、コミュニケーションとは相手と何かを「分かち合うこと」なのです。何を分かち合うのかは、状況によって異なります。カフェでの雑談であれば楽しい話題を、取引先との商談であれば利益を分かち合うでしょう。それは会話の状況によって異なるもので、所与のものではありません。
私が取り上げたい職場でのコミュニケーションは、いずれも「仲間意識」を分かち合うもの。仕事をスムーズに進めるために必要なものばかりです。それでは早速見ていきましょう。
1, あいさつ
オフィスに入る時、そして出る時、挨拶をするように指導される会社は多いはずです。筆者は、挨拶も立派なコミュニケーションの一種だと考えます。なぜなら、挨拶はそこにいる全員と「仲間意識」を分かち合うためのものだから。
世界中どこを探しても、これまでの人類の歴史においても、挨拶のない文化は見つからないでしょう。人間同士が無言で接近すれば「なんだこいつは、ひょっとして自分に危害を加えようとしているのか」と不安になるはずです。挨拶は、人間が対象を仲間と認識しそれを相手に伝えるためのツールなのです。
さまざまな民族に見られる、手を軽く上げて手のひらを相手に向ける挨拶(「ヨッ」とか「やあ」とか言いながらするヤツですね)は、「私はこのように手に武器を持っていません」と証明し、「だから仲良くしてね」と伝える動作が起源だとか。
(引用元:Peachy|「あいさつ」はなぜ生まれたの?)
職場での挨拶に話を戻します。オフィスでの挨拶は、その場にいる全員に対して「私はあなたたちの仲間です、今日も1日お願いします」と発信するものです。もし挨拶をしなければ、その日のチームプレーだってうまくいくはずがありません。無意識のうちに「こいつは仲間じゃない」と伝えてしまうからです。必ず、挨拶をしましょう。そして、挨拶を返しましょう。みな、チームの一員なのですから。
2, 目を見て話す
あなたが忙しい時に、部下が話しかけてきました。あなたは目線をPCのディスプレイに落としたまま、生返事。どうやら緊急性はないようす。まあいいか、とそのまま顔をあげることなく仕事に戻る……。こんな経験はありませんか?
誰もが「目を見て話せ」と幼い頃から言われてきました。それはなぜか。そう「相手の目をみること」もコミュニケーションの一つであり、「仲間意識」を分かち合うものなんですね。
唐突ですが、動物には白目がないこと、ご存知ですか? Googleの画像検索で「動物 顔」で検索してみてください。猛禽類やネコ科の動物など、瞳孔がはっきりわかるものもいますが、白目はありません。大抵濃い色がついているんです。こんなに目玉が白いのは、人間くらいなんですね。
京大霊長類研究所の小林氏らによれば、ヒトにのみ白目があるのは「どこを見ているのかわかりやすくし、視線によるコミュニケーションを発達させたから」なんだとか。多くの動物は、捕食者に視線を気付かれたら、狩られてしまいます。そのため、白目を隠し、視線を悟られないようにしています。しかし人間だけは進化の過程で、言語やボディランゲージに加え、高度なコミュニケーションを発達させる必要があったんです。それが、目配せ。大昔から人類は、互いの視線を読み合って、意思疎通をはかっていたんですね。
そう、相手の目を見ることは、一緒に作業するために不可欠な手段だったのです。もし視線を外せば、それは共同作業を拒否することになります。必ず相手の目を見て話しましょう。太古の昔から「目を見て話す」ことはチームプレーの象徴だったのですから。
*** オフィスに大勢の社員がいると気づかないかもしれませんが、そこにいる全員があなたの仲間であり、オフィスは一つの共同体=コミュニティなのです。あなたのちょっとした心遣いで、仲間意識が高まり、仕事がやりやすくなるはずです。
今日ご紹介したことは、大草原を駆ける獲物を追っていた時代から、オフィスでPCに向かう現代に至るまで、ずっと変わらぬ真理なのですから。
(参考) ShareWis PRESS|コミュニケーションの語源、コムニカチオとは Peachy|「あいさつ」はなぜ生まれたの? 電子情報通信学会|コミュニケーション装置としてのヒトの目の進化

