オフィスにおいてひとり1台パソコンを使用し、またスマートフォンを誰もが持つ時代となったことで、社内外においてコミュニケーションのやり方が以前とは変わってきています。とはいえ社内には上司や先輩、さらには後輩などいろんな世代が共存しており、それぞれの時代で主流となったコミュニケーション方法もあります。代表的な媒体について、改めて利点と欠点を考えてみましょう。
対面
○ コミュニケーションのベースであり、こだわる人も多い ○ 態度や口調から細かいニュアンスまで伝えることができ、相手もすぐ確認できる × 時間・交通費などのコストがかかる
電話
○ 時間がかからず、ある程度ニュアンスも伝えることが出来る ○ 携帯電話の場合、繋がらなくても着信が残るので、折り返しを期待できる × 相手の時間に土足で踏み入れることになることが失礼であり、休暇中の場合もある × 電話料金がかかる
メール
○ 熟考の上で送信することが出来る ○ 送信履歴及び受信履歴に残るので、証拠となる × 長文だと考えるのに時間がかかる × 文章が無機質になりやすく、ニュアンスが伝わりづらい × 送信出来たとしても相手がいつ開くかがわからない
インスタントメッセージ(LINE、FBメッセンジャー、What's appなど)
○ よく考えてから打てる上に、やり取りが早い ○ 既読履歴がつくので証拠となる ○ グループを作れることから、チーム単位での連絡がやりやすい × スマートフォンで操作する場合が多いく、長文を打つには適さない × インスタントメッセージによる連絡を失礼と感じる人もいる × 事前に連絡先を交換する必要がある △ 相手が通知をONにしているかどうかが要確認
ベストな手段は内容と相手による
このようにメリット・デメリットを列挙してみましたが、どの方法がベストであるかはコミュニケーションの内容とその相手に依存します。
例えば社会学者の古市憲寿氏はテレビ番組で「手紙で仕事を依頼する人とは(相性が悪いので)一緒に仕事が出来ない」と発言していました。これは手紙という手段の生産性の低さ(時間がかかる)を念頭においた発言だと思われます。そして、それを選ぶ人とは、生産性に関する考え方のずれが大きいので一緒に仕事ができないと述べています。また同氏がレギュラー出演しているテレビ番組ではカンペも無く、指示は手元にあるタブレットを通じてLINEで受け取るそうです。 また若手ビジネスマンが「遅刻をLINEで伝えるのは失礼ではないか」と上司であったりその世代の方の批判に合うこともあります。 しかし、上記の長所・短所からすると、短いメッセージがすぐに送信可能で、相手もすぐ開くことができ、さらに既読履歴までつくインスタントメッセージは最適な方法にも思えます。まして遅刻している状況を想像すると、走っていたりあるいは電車の中であったり、電話をするべきではない状況も容易に想像できます。それでも批判の対象になるというのは、それ以前のコミュニケーション不足が原因です。つまり、その方法で連絡することがいかに合理的に見えても、相手はさまざまな理由でそう思わない可能性があるということ。
コミュニケーションの相手がどういった人物かを考えたり、そういった状況を想定して事前にインスタントメッセージによる連絡系統を確認しておいたりといった根回しが双方に求められます。
スマートフォンやノートパソコンの普及により、実質は全従業員が24時間態勢でスタンバイしているような状況になってしまっています。そしてその状況に全員が適応できているかといえばそうとは限りません。もちろん今後も新たなコミュニケーションツールが出てくる可能性もあるので、トラディショナルな方法も知りつつ、また逆に時代に乗り遅れず最先端の方法も理解した上で自分で考え、最適の手段を選びましょう。
《参考文献》 組織行動のマネジメント-入門から実践へ | スティーブン P・ロビンス | ダイヤモンド社 遅刻をメールで伝えるバカ | 梶原しげる | 廣済堂出版