ネガティブシンキングはダメ! ポジティブシンキングで行こう! といった言説はよく耳にしますよね。しかし、ネガティブシンキングをしがちな人が考え方一つでポジティブに変わろうとするのは、なかなか簡単なことではありません。
そんな、ネガティブな感情から脱け出せないあなた。今回ご紹介するとっておきの方法で、ネガティブ感情に対処してみてはいかがでしょうか。
ネガティブモンスターから逃げるための「没頭ノート」
お笑いコンビオードリーの若林正恭さんは、昔からネガティブな感情をいつまでもひきずってしまうことに悩んでいたそうです。どこへでもついてまわるネガティブ感情のことを、若林さんは「ネガティブモンスター」と呼び、ネガティブモンスターをいかに退治するかをずっと考えていたと言います。ある時若林さんは、次のことに気が付きました。
ネガティブを潰すのはポジティブではない。没頭だ。
(引用元:若林正恭著(2015),『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』,KADOKAWA/メディアファクトリー.)
そして若林さんは、没頭ノートというものを書き始めました。ネガティブな感情にとらわれて気持ちが落ち込みそうになったら、ノートにとにかく没頭できそうなことをどんどん書いていく。こうすることで、悩みにはまってしまうことがなくなったのだそうです。
悩んでいる時には、行動しようとせずただひたすら悩んでしまうことが多いもの。そんな時は、没頭ノートに思いをひたすら書き付けましょう。そのことに没頭すれば、ネガティブな感情が入り込んでくる隙をなくすことができるのです。
自分の性質を受け入れる
若林さんは、没頭ノートを書き始めるまで、ネガティブはポジティブにならなければ治らないと考えていました。しかし、自分を無理して変える必要はなく、ネガティブで考えすぎだと言われる自分だからこその落ち込み対処法を見つけたのです。そしてこのことから、若林さんは、自分を180度変えようとするなんてことは無理だということに気が付いたのだそう。
「自分を変える本」を読んだ後は、意識しているから三日ぐらいはその形になるが、日常にさらされ続けるとすぐ元の自分の形に戻る。 性格とは形状記憶合金のようなもので元々の形は変わらない。それに気づいたことが「自分を変える」本を読んだぼくの収穫だった。 今となっちゃ「ポジティブシンキングになれる方法」も「自信をもって輝ける方法」も全く興味が湧かない。結局、今回の人生でこの形状記憶合金から下りられないんだ。と自分を変えることを諦め自分の性質を受け入れることにした。
(引用元:同上)
ネガティブな感情を抱きがちだからと言ってそれを無理して変えようとするより、自分の性質を受け入れ、その性質に合った落ち込み対処法を見つけるほうがよいのかもしれません。
脳科学者の池谷裕二さんも、ストレスを実際に解消するかどうかよりも、ストレスを解消する方法を持っているかどうかの方が、ストレス解消にとっては重要だと言っています。ネガティブ感情から逃れるためには、自分で「これ」と決めた手段を持っていることが大切。そのためにも、まずは自分を受け入れてしまいましょう。
思考を変えてくれる一冊を探す
ネガティブな気持ちに陥ると、自分なんか最悪だという感情にとらわれてしまうこともあるかもしれません。ラグビーの五郎丸選手は、大学生の時に『自分の小さな「箱」から脱出する方法』という本を読んでから、その「最悪」という気持ちに対処することができるようになったと言います。
人間関係や仕事がうまく行かないと、それを他人のせいにしてしまいがち。しかし、実は自分の殻にこもってしまっているだけなのかもしれない。このことを、「箱」という例を用いてわかりやすく説明している書籍です。
五郎丸選手はこの本と出合い、自分が不調な時、もっといい環境があるはずと周りのせいにして、自分の小さな「箱」に閉じこもってしまっていたことに気付いたと言います。
置かれた環境で自分の力を100%出し切ったら箱のふたが開くイメージ。箱の外にはもっと広い世界があって、自分にとっての「最悪」なんか大したことない。もっと成長できるし、変わっていける。僕はそう解釈しました。
(引用元:朝日新聞デジタル|五郎丸歩さん「自分の『最悪』なんか、大したことない」)
それからは吹っ切れて、周囲からもなぜそんなにプラス思考なのかと聞かれるまでになったのだそう。五郎丸選手のように、自分の殻を破る一冊の本に出合えると、思考が変わるという経験ができるかもしれません。
*** ネガティブシンキングは、無理にポジティブシンキングをしなくても変えることができそうです。考えすぎてしまう、落ち込みやすい、という人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
(参考) 朝日新聞デジタル|五郎丸歩さん「自分の『最悪』なんか、大したことない」 若林正恭著(2015),『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』,KADOKAWA/メディアファクトリー. アービンジャー インスティチュート著, 金森重樹監修, 冨永星訳(2006),『自分の小さな「箱」から脱出する方法』,大和書房. 池谷裕二著(2010),『脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?』,新潮社.