周囲の人を良い方向に動かせて、自分自身も理想の自分に変えることができる。そんな方法があると聞いたら、試してみたくなりませんか? それが今回ご紹介する「ラベリング効果」です。ラベリング効果について知って、ぜひ思い通りのレベルアップを目指しましょう。
ラベリング効果とは?
ラベリング効果とは1960年代に提唱された社会心理学の概念で、
相手に対して、「あなたって●●だよね」と決めつけるようにラベルを張ると、本人はラベルに貼られた行動を次第にとるようになる、という理論です。
(引用元:インプロ部|ラベリング効果とは?基本理論とコーチングで必要な2つ)
他人から●●な人だと言われ続けると、自分はそういう人間なのだと思い込み、結果的にその通りに振舞うようになる、ということ。例えば、相手に「あなたは細かいところまでいつも気を配れる人だね」と言い、気配り上手というラベルを貼ります。するとその人はラベリングを意識するようになり、本当に気を配れる人になっていくのです。
ラベリング効果で周囲を動かす
部下や後輩を育成したいときや、周囲を巻き込み仕事やプロジェクトを先導しなければならないときなどに、ラベリング効果は有効に働きます。
人を育成したいときは、身につけさせたい性質をラベリングすることで、結果としてその性質を備えさせましょう。例えば、まだプレゼン資料の作成が上手ではない部下に対して、「君はパワーポイントが上手に使えるね。次のプレゼン資料の作成をお願いしたいと思っているからよろしくね」と伝えます。そうすると部下は、必死でプレゼン資料の作成方法を勉強することでしょう。
また、リーダーとしてプロジェクトを先導するときには、各メンバーに、担ってほしい役割に最適であることを伝え、その役割に向いているのだとラベリングしましょう。「情報収集の得意なAさんには競合リサーチを、コミュニケーションが上手いBさんにはユーザーインタビューをお願いしよう」などと言えば、AさんやBさんはそれぞれの役割を全うしようと努力するため、スムーズに仕事が進むはずです。
ラベリング効果で理想の自分に近づこう
ラベリング効果が有効なのは、他人に対してだけではありません。自分自身に対してもラベリングを行えば、なりたい自分に近づくことが可能なのです。
例えば、「自分は、難しい課題に直面すると悩んでしまって処理に時間がかかる」と思っているとします。こうした後ろ向きな考えをポジティブに捉え直し、「自分は困難に直面してもいつもどうにかなるんだよな」と自分自身に言い聞かせてみてください。次第に、その特徴が強化されていきます。
もちろん、思い込みさえすれば何も努力をしなくていい、というわけではありません。自分に対する良いラベリングを、本来の自分として実現させようと努力することで、結果として自分の理想像に近づくことができるのです。
ラベリング効果の注意点
ラベリング効果の怖いところは、良い方向にも悪い方向にも働くということです。もし悪いラベリングをしてしまうと、本来ひどくなかったはずの悪い性質や特徴が、さらに悪化してしまうという危険性があります。次の例を見てみましょう。
中学生のとき、クラス替えの初日に遅刻した友人がいました。彼はそれから「遅刻王」のラベルを貼られたのです。いままでそんなに遅刻するタイプではありませんでした。ただ初日で《よく遅刻をする、だらしない奴》という印象を持たれてしまったのです。 ラベリングされた人は、そのラベルの行動を強化していく傾向があります。3カ月もしないうちに彼は本当に「遅刻王」になってしまったのです。
(引用元:アイデム人と仕事研究所|【第30回】見た目の印象を変える「ラベリング効果」)
この例から分かるように、人をラベリングするときには、悪いラベリングをしないようにすることが大切です。
また、例えば気難しい人と接するときに、相手のことを気難しい人だと感じていることが伝わってしまうと、余計にその性質が悪化してしまう可能性もあります。ラベリングの際は、悪いラベリングは避け、こうなってほしいと思えるような良いラベリングをするようにしましょう。
*** 使い方次第で素晴らしい効果を上げることができるラベリング効果。ぜひこのラベリング効果をうまく使って、周りの人や自分自身をレベルアップさせましょう。
(参考) インプロ部|ラベリング効果とは?基本理論とコーチングで必要な2つ アイデム人と仕事研究所|【第30回】見た目の印象を変える「ラベリング効果」