なぜ一流は「運動」を愛するのか? “健康維持” だけじゃない、運動のすごすぎるメリット

「運動は重要だと思うか?」 この問いに対して「そう思う」と答えたのは、世帯年収300万円未満の層では48%だったのに対し、世帯年収1,500万円以上の層では65%にものぼった——マーケティングリサーチ会社のクロス・マーケティングが全国のオフィスワーカーを対象に実施した調査で判明した事実です。

たしかに、運動やトレーニングを日常的に行なっている経営者やエリートは多いと聞きますが……。「疲れないのかな?」と疑問を持たれる方もいるはず。なぜ、一流たちは好んで身体を動かすのでしょうか?

そこには、仕事の成果や生産性に直結する納得の理由がありました。

ビジネスパーソンは体が資本

現サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長の新浪剛史氏が、43歳のときにローソンの社長に就任した際の話です。コンビニエンスストアの店づくりのための “試食” が原因で、社長就任前後の1年間で、新浪氏は体重が10キロも増えてしまいました。そのとき、とある人にこんなことを言われたのだそう。

「あなた、ずいぶん太ったわね。顔色もよくない。健康管理はトップの義務よ。いまの新浪社長は、はっきり言って見苦しい。上に立つ人間は格好よくなければダメよ。格好いいとは、『この人は鍛練しているな』と感じられる人。これから大変な改革を進めようという経営者が、そんな体つきでは困ります」

(引用元:プレジデント・オンライン|二次会を断って筋トレを続ける理由 -ローソンCEO 新浪剛史氏

その指摘をきっかけに新浪氏はジム通いを始め、見事、適正体重に戻したのだそう。運動を通して良い体つきを維持し、健康をしっかりと管理する。そこに経営者としての重要な本質があると、新浪氏は述べています。

企業経営とは、決断の連続です。とくに小売りはスピードが非常に速い。経営者は、重要な意思決定を次々と迫られることになります。それも24時間365日。休んでいる暇はありません。だから、健康管理は非常に重要ですし、常に心身がフレッシュでなければいけません。

(引用元:同上)

しかし、運動のメリットは、なにも “健康維持” だけには留まりません。ビジネスに大きく役立つさまざまなメリットが、ほかにもたくさんあるようなのです

運動のメリット1:前頭前野が鍛えられる

京都大学名誉教授の久保田競氏の研究によれば、軽めのウォーキング程度でも、脳の運動野や運動前野が鍛えられるのだそう。しかし注目すべきは、時速9キロのジョギングにより、これらに加えて脳の前頭前野も鍛えられるということです。

下画像は、それぞれの運動を1週間続けた人の脳の活動の変化を調べたもの。時速9km(ジョギング)の場合に、脳の前方部分(=前頭前野)が活性化していることがわかります。ここが前頭前野です。

(画像引用元:WEDGE Infinity|脳は適度な運動でまだまだ活性化できる

この前頭前野は、一時的に情報を脳に保持し処理する能力 “ワーキングメモリ” を司る部位です。ワーキングメモリの働きが低下すると、短期記憶をしたり情報分析して計画を立てたりする能力も低下してしまうのだそう。そのため、仕事の処理速度や段取り力も下がり、結果として仕事の生産性も低くなってしまいます。ジョギング程度の軽い運動でも、それを抑制する効果があるのですね。

運動のメリット2:創造性が増す

『10倍速く書ける 超スピード文章術』の著者である上阪徹氏は、数多くの取材をとおして、次のような気づきを得たと言います。

「素材は突然ひらめくことが多い」というのは、私が3000人以上取材してきた中で、多くのアーティストやクリエイター、経営者などが、みな同じように語っていたことでもありました。 誰もが知る著名なクリエイターが、取材でこんな話を聞かせてくれました。 「アイデアは、デスクの上でウンウンうなって出てくるものではない。むしろ、何かに気を取られているときに、いきなり浮かんでくるものだ」

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|意識の高い人がジムに通う「筋トレ以外」の意外な理由

脳は常に考え続けているが、アイデアというものは、意識して引っ張り出そうとしても出てくるものではない。脳が “油断” しているときにポロリと出てくるものだというのです。たしかに、皆さんのなかにも、うんうん考え続けているときは思いつかなかったアイデアが、別のことをしていた “ふとした拍子” に天から降りてきた、なんて経験のある方もいるのではないでしょうか。

長期的な運動により脳が鍛えられることは先に述べたとおりですが、運動をしているまさにその瞬間にも脳の働きが良くなることが、別の実験で示されています。

「『運動中の認知課題』の研究では、ある刺激に対し、判断する課題を与えたとき、適度な運動をしているときの方がしていないときよりも反応がいいという結果が出ています。例えば、自転車をこぎながらコンピュータ画面に出てくる問題を解くという課題をやらせると、ただ座って課題をやらせるよりも成績がいいという研究報告があります」

(引用元:@IT|脳科学で解明:運動は記憶力と創造力に効果あり

早稲田大学スポーツ科学部教授の内田直氏はこう述べ、運動最中にも脳の反応時間や認知機能が改善すると述べています。この科学的効果を知っているかどうかは不明ですが、多くのアイデアを求められる一流たちは、もしかしたら運動時間を使って、アイデアをブラッシュアップしているのかもしれませんね。

運動のメリット3:幸福感が増す

米ミシガン大学のウェイリン・チェン准教授は、1980年以降に発表された、運動とその心理的効果に関する23件の先行研究を詳細に分析しました。その結果、次のような事実が判明したのだそう。

「どの研究も、体を積極的に動かすことと幸せに感じることの間にはプラスの関係があることを示していた」と、チェン准教授は言う。 この「幸福効果」は運動の種類とは関係がなかったようだ。ウォーキングやジョギングをして明るい生活を送っている人もいれば、ヨガやストレッチをしている人もいた。 またチェンによれば、幸福効果は運動量が少ない場合も見られた。週に1~2回しか運動しない人でもまったくしない人よりずっと幸せを感じているとする研究もいくつかあったし、1日たった10分の運動と明るい気分との相関関係を認めた研究も複数あった。

(引用元:東洋経済オンライン|「運動すると幸福感が増す」のは嘘じゃない

運動の種類は関係ない。運動量もそれほど重要ではない。単純に、なんらかの形で体を動かすことそのものが、私たちの気分を改善してくれるというのです。また、運動により “快楽” 神経伝達物質エンドルフィンの分泌が活発化することも示されており、幸福感アップだけでなく、日常のストレス減退にも運動が効果的であることが判明しています。

*** 激しくキツイ運動をいきなり始める必要はありません。ジョギングでも、たった10分の筋トレでも、まずは体を動かす習慣を少しずつ身につけていきませんか?

(参考) エキサイトニュース|高年収な人ほど「運動は重要」と思っている 調査結果 プレジデント・オンライン|二次会を断って筋トレを続ける理由 -ローソンCEO 新浪剛史氏 WEDGE Infinity|脳は適度な運動でまだまだ活性化できる ダイヤモンド・オンライン|意識の高い人がジムに通う「筋トレ以外」の意外な理由 @IT|脳科学で解明:運動は記憶力と創造力に効果あり 東洋経済オンライン|「運動すると幸福感が増す」のは嘘じゃない

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