「良いルーティン」を身につけろ! 習慣化を成功させる “科学的な” 5つの戦略

毎日勉強したいけど、なかなか続かない……。運動を継続したいけど、三日坊主になってしまう……。こうお悩みの方はいませんか。

今回は、習慣形成を専門とするアメリカの学者の研究と筆者の経験に基づいた、確実に習慣形成をするための現実的で効果的な5つの方法をご紹介します。

日々の行動の40%は習慣によるもの

University of Southern Californiaの社会心理学教授であるWendy Woodによると、毎日の行動の40%が、ほぼ同じ状況下で行われていることだそう。何をしているか深く考えず、無意識のうちにやっている習慣化した動作が、半分近くも占めているのです!

7時間睡眠だとすると、1日で起きている間の17時間中、6.8時間も習慣に支配されていることになります。確かに、朝の準備をする間、通勤中、お風呂や夜寝る前の時間などは、いつも同じパターンで過ごしていることが多いですよね。

「慣れ」のパワー

いつも同じパターンで過ごしている時間帯は、体が動作を覚えていることが多いもの。起床後、無意識のうちに顔を洗って歯磨きをして……というように、頭で考えなくても自然に動作が進みます。

慣れていると、考えなくとも行動してしまう。この威力は絶大です。例として、Wendy Woodのポップコーンの実験をご紹介します。

まず、被験者に2種類のポップコーンを食べてもらいます。1つはできたて・サクサクのポップコーン。あと1つはしけたポップコーン。もちろん、誰もがサクサクのポップコーンの方が好きだと回答しました。 では、映画館でポップコーンを与えられたらどうでしょう? サクサクのポップコーンでも、しけたポップコーンでも、被験者は同じくらい食べたそう。被験者にはもともと、映画館に行くたびポップコーンを食べるという習慣がありました。

ポップコーンの食感の大きな違いに気づかなかった理由は、その動作が習慣化されていたから。慣れていたため、何も考えずに口に運んでいたのです。

考えなくても100%実行できるのが習慣形成のメリット

「さあ、やるぞ!」と気合いを入れても、そのモチベーションはいつまで続くかわかりません。些細な出来事でやる気がなくなるのはよくあること。

頭で考える余地が残されていると、迷いが生まれます。迷いは、実行の可能性を大幅に下げます。「今日は疲れたからやめとこう」「明日から頑張ろう」と考えた結果、実行に移せなかった経験ありませんか?

一方、勉強や運動などの身に付けたい行動を、体に覚えさせ自動的なルーティーンに落とし込んだらどうでしょう。実行に意志は必要なくなります。映画館で自動的にポップコーンに手を伸ばしてしまうのと同様に、100%確実に行うことができるようになる。これが習慣形成のメリットです。

では、習慣を形成するにはどうすればいいのでしょうか。効果的な方法を5つご紹介します。

1. 習慣は作るのではなく「付け加える」

新たな習慣を一から作るのは大変。体にルーティーンとして身についていないので、どうしても強い意志が必要になります。しかし意欲を長期間保つことはできないので、挫折するでしょう。

そこで、新たな行動を習慣化したいときは、すでに習慣として確立している動作の直後に新たな行動を取り入れてみましょう。もともとの習慣にセットで、新たな習慣をちょこっと加えるのです。

目的は、「慣れ」の力の強さを利用して、新たな動作への迷いをなくすこと。慣れていることの続きなので、考える余地なく実行しやすくなります。Wendy Woodも「特定の状況下で繰り返される動作は継続しやすい」と言っています。

例えば、歯磨き後にデンタルフロスを使うことを習慣にするのは比較的簡単。なぜなら、デンタルフロスをするきっかけになるのは歯磨きで、歯磨きは毎日の習慣としてすでに身についているから。 意識せずとも歯は毎日磨くでしょうから、歯ブラシの隣にデンタルフロスを置いておけば、歯磨き後に自然とデンタルフロスに手が伸びるはず。順番を逆にしたらこうはいきません。

重要なのは以下の2点。

・新たに習慣としたい動作の「きっかけ」を用意する ・「きっかけ」は、日々の行動の40%に含まれる、無意識にできる習慣的な動作を選ぶ

慣れの力を利用すると、確実に行動を実行でき、且つ継続できるようになりますよ。

2. 周囲の環境を変える

Wendy Woodによると、過去の習慣をやめ、新たな習慣を作るには、周囲の環境を変えるのが最も効果的

一番やりやすいのは、新たな街や住居に引っ越したり、仕事を変えたタイミング。家や職場が違えば、日々の過ごし方も自然と変わってくるもの。

古い習慣のきっかけとなる要素がなくなり、新しい習慣を作る時期なので、このように理想の習慣を形成するのに最適です。でも、引越しや転職のような人生の転機はそう頻繁にあるわけではないですよね。

そこで、同じ家に住み同じ職場で働きながらも、自分の周りの環境を変える工夫をしましょう。例えば、以下のような工夫ができます。

・健康的な食生活にしたい →台所の棚からお菓子を全て取り出し、代わりにドライフルーツや酢昆布等を入れておく ・朝ジョギングをしたい →玄関にランニングシューズのみを出しておき、他の靴は靴箱にしまう ・毎日、日記をつけたい →トイレに日記帳とペンを置いておく ・英語の勉強をしたい →ベッドの枕の上に単語帳をおき、その日の該当ページにしおりを挟んでおく ・読書をしたい →鞄の一番手が届きやすいところに本を入れておく ・テレビ鑑賞をやめたい →テレビのリモコンを押し入れの奥にしまう

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3. 楽しめる工夫をする

Wendy Woodによると、習慣形成に必要な日数は15〜254日と、個人や習慣の内容によって差があるそう。一般的には60日間かかる、ともよく聞きますね。継続が重要なことは明らかです。

そして、継続するには楽しむのが一番。でも、運動や勉強、早起き自体を元々楽しめる人なら、そもそも習慣化に苦労しないはずですよね。

そこで、習慣化に手こずるときは、「楽しめる要素」を加えてみましょう。例えば、以下のような工夫ができますよ。

・英語の勉強をしたい →単語帳に挟むしおりに良い香りのアロマを吹きかけておく →好きな俳優の声や洋画のシーンを使ってシャドーイングのトレーニングをする →興味のある分野の海外のウェブサイトをリーディングの題材にする ・早起きをしたい →とっておきの朝食を事前に用意しておく →友人や恋人の声を録音した楽しい音声を目覚ましの音にする →部屋を暖かくして布団からすぐ出れるよう、起床時間に暖房の予約設定をする ・朝ジョギングをしたい →お気に入りの色・ブランドのランニングシューズをベッドの隣に置いておく →好きなタレントやモデルが走っているポスターを部屋に貼る →「ランニング後にだけ飲んで良い」好きなドリンクを決め、冷蔵庫に入れて冷やしておく ・ジム通いをしたい →ジムで運動後、サウナや岩盤浴でリラックスする →お気に入りの色・ブランドのウェアを鞄に入れておく →テンションが上がるジムを選ぶ(憧れのマッチョが多い、ヨガやピラティス等の好きな講座がある等)

4.もったいない気持ちを刺激する

「お金を払ってしまったのに使わないのはもったいない」という気持ちを利用して、習慣化をする方法も。例えば以下のような工夫ができます。

・ジム通いをしたい →ジムの会費を払った領収書を手帳に挟んでおく →自宅からジムまでの定期券を購入する →高価なスポーツウェアやシューズを購入する ・英語の勉強をしたい →検定試験を申し込み受験料を支払う(TOEICは6,000円、TOEFLは20,000万円以上) →テキスト・公式問題集・単語帳を複数購入する(すぐに10,000円近くになります)

活用しなくては出費が無駄になると思い、行動する頻度が大幅に増えるはず。普段節約派の人に特に効果的です。

5. 楽な方を選ぶ人間の性を利用する

人間は楽な方へ逃げる生き物。面倒な方と楽な方の2つの選択肢があれば、後者を選ぶでしょう。ズボラな筆者の経験談をもとに、おすすめの方法をご紹介します。

スキマ時間にスマートフォンをいじるのをやめ、読書や勉強に充てたい →インターネット接続に手間がかかるようにする →本と単語帳を一番手が届きやすい場所に入れる

以前から通勤時間や待ち時間を有効活用したいと思っていましたが、スマートフォンをいつも服のポケットというすぐ手の届く場所に入れていたため、ついSNSを開いては時間を浪費していました。

ところがたまたま格安SIMに変更したタイミングで、インターネット接続にWIFIルーターを使用するようになってから、スキマ時間を読書や勉強に充てられるように。

なぜなら、WIFIルーターを保護ケースに入れ、さらに紛失を防ぐために鞄の内ポケットの一番奥に収納していたから。

少しの時間に手間をかけてWIFIルーターを取り出すのが億劫に感じ、必要以上にスマートフォンを手に取ることがなくなりました。一方、本と単語帳は鞄の上部に収納。一瞬で取り出せるところにある本と単語帳を代わりに頻繁に開くようになったのです。

「無意識に楽な方を選ぶ」性を利用して、スキマ時間を有効活用できるようになりました。

*** 筆者は上記のテクニックにより、読書と勉強に充てる時間を1日2時間、1週間で14時間、1ヶ月で約56時間も手に入れることができました。その時間を利用して、毎月10冊の読書と英語の勉強を進めています。

習慣化のための5つのテクニック、みなさんもできるものから実践してみてくださいね。

(参考) ScienceDaily|How we form habits, change existing ones SAGE jorunals|The Pull of the Past-Personality and Social Psychology Bulletin-When Do Habits Persist Despite Conflict With Motives? David T. Neal, Wendy Wood, Mengju Wu, David Kurlander 2011

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