読書習慣を身につけたいと思っていても、なかなか読み進められないということはありませんか?
思っていたよりも内容が難しかったり、だんだんと面白く感じられなくなったりすると、読書しようにも手が止まってしまいますよね。面白い本はスムーズに読めていたはずなのに、と思うことは読書が好きな人でもよくあります。
これはもしかしたら、1冊読みきってから新しい本へ、という読書スタイルに問題があるのかもしれません。“並行読書” という方法を使えば、滞りなく読書が進み、理解も深まる読書が身につきますよ。
読書で陥りがちなこと
読書が持つメリットについてはStudy Hackerでも何度も取り上げられてきました。ストレス発散や脳の活性化だけでなく、収入や寿命までアップできる読書、ぜひ習慣化していきたいですよね(Study Hacker|やっぱり読書はメリットだらけ。改めて、本を読むことを考えてみた。)。
しかし、いざ読書を習慣化しようと本を読み始めても、好みでない本だとページが進まなくなってしまうことがあります。好きな教科の勉強は続いても、嫌いな教科の勉強が捗らないのと同様です。“本を読まなければいけない”という状況が読書に対するモチベーションを下げてしまうのでしょう。
さらに、1冊ずつ読むとその本からしか知識を得ることができず、浅い、あるいは偏った情報になってしまいかねません。読書は1冊1冊で完結するものではなく、賛成意見と反対意見、背景知識や関連情報などを補うことで理解を深めることができます。読んだ本と本とのつながりから、自分がどう考えるかがとても大切になってくるのです。
並行読書のすすめ
読書で陥りがちな状況を回避するためにオススメなのが“並行読書”です。
“並行読書”とは、同時に複数の本を用意しておいて並行して読んでいくこと。小学校の学習指導要領やベストセラーを多く輩出している齋藤孝さんの著書『大人のための読書の全技術』でも推奨されている方法です。本や文章を比較して読むことで、読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てることができるそう。
方法は以下の2つです。
1. 関連する本を並行して多読 関連する本から得た知識を比較することで理解を深めたり、さまざまな角度から眺めることで自分の考えと照らし合わせる方法です。これは、読書だけでなく勉強にも生かすことができます。最初は1冊ずつ読んで、同じような内容の箇所が出てきたら振り返る、というところから始めましょう。だんだん同時に読む技術が身についてきますよ。
2. ジャンルを問わず好きな本を並行して多読 自分が好きな本を好きな時に読み、読んでいる本が複数ある状況にすることがポイントです。そうすれば、片方の本を読むモチベーションが下がってしまったときに、もう1冊の方を読むことができ読書量が減ることはありません。気分によって読みたい本も違うし、本がおもしろくないと感じるときもあります。そんなときは無理してその本に固執する必要はありません。最後まで読まなければ進めないという状況を並行読書をすることで緩和できるのです。
並行読書を実践した結果
実際にライターも並行読書に取り組んでみました。「読書」に関する本を読むというテーマを決めて、“10冊以上読む”という目標を設定。そして、読書が苦痛にならないよう、効果的な読書になるように下記のルールを設けました。
【ルール】 ・普段なら読まない本でも「読書」というキーワードがあれば読んでみる ・読んでみても興味が湧かず、読むのが苦痛になってきたら違う本に切り替えてOK ・この期間中も読書に関する本以外の本をどんどん読んでかまわない ・ただし、お風呂では読書に関する本を読む
このルールを守って、読書に関する本を10冊以上読むまで並行読書を続けてみた結果、さまざまなメリットや効果が見えてきました。
・普段なら読まない本にチャレンジし、いい本に出会うことができた ・読み始めた本は読みきらなければいけないというプレッシャーがなくなった ・目標があることで普段よりも読書量が増えた ・冊数が増えてくるごとに読むスピードが上がった ・どの本にも共通して書かれている重要なことが見えてきた ・紹介されている方法を比較検討し、より良い方法を考えることができた ・自分の意見を持つことができた
並行読書は、上記のように読書量や読書スピードを向上し、読書の習慣する助けとなりました。また、内容をよく理解し、自分の頭で考え、自分自身の意見を持つことができたことで、受け身の読書から自発的な読書へとより効果的な読書に改善していくことができたのです。
取り組んでみる前に懸念していた本の内容の混同は、場所や時間でそのとき読む本を決めておくことで回避でき、並行して読んでいても頭が混乱することはありませんでした。また、全く関係ないものではなく同じ分野・同じ著者の並行読みはリンクしている部分が多かったため、内容理解においてより効果があったように感じます。気分転換するために、ビジネス書を読んでいたら小説など全く違うジャンルの本を挟んだ方が効果的でした。
*** 1冊読みきるのがしんどくなって読書が続かない、そんな人におすすめの並行読書を紹介しました。読書というと、1冊1冊に集中して読むイメージが強いですが、関連させて行き来して読むことは理解度もモチベーションも向上できます。一石二鳥の並行読書にチャレンジしてみませんか?
(参考) Study Hacker|やっぱり読書はメリットだらけ。改めて、本を読むことを考えてみた。 Study Hacker|読書家は長生きする!? 1日たった30分の読書が、私たちにもたらすもの Study Hacker|30代・年収3000万円を超える人は1ヶ月で “1年分” の本を読む。多読のコツとその効果。 齋藤孝(2014), 『大人のための読書の全技術』, KADOKAWA/中経出版. 教育zine ~明日の教育を創る人へのウェブマガジン~|単元を貫く言語活動を支える! ねらいに応じた並行読書の工夫 松岡正剛(2009), 『多読術』, 筑摩書房. J・モーティマー・アドラー (著), V・チャールズ・ドーレン (著), 外山 滋比古 (翻訳), 槇 未知子 (翻訳)(1997), 『本を読む本』, 講談社. 齋藤孝(2010), 『齋藤孝の速読塾 これで頭がグングンよくなる!』, 筑摩書房.