「発想力」は “習得できる” 技術である。新『アイデアのつくりかたマニュアル』

会議でのディスカッションや企画書作成など、アイデアを求められる場面は多くあるかと思います。その際に、無難なアイデアしか出ないなどして、悩んではいませんか?

「アイデアがポンポン出てくる人が羨ましい」

そんなふうに思うこともあるかもしれませんね。しかし、アイデアは才能で生み出すものではなく、「作り出す」ものなのです。今回は、アイデア本を数十冊読んできた筆者が試行錯誤した結果辿り着いた、アイデアを出す方法をまとめてみました。

アイデアとは新しい組み合わせである

そもそもアイデアとは何なのでしょうか? アメリカの実業家であるジェームズ・W・ヤング氏の著書『アイデアのつくりかた』では、アイデアは既存の要素の新しい組み合わせだと述べられています。その上で、あらゆるアイデアに共通する、「アイデアの生み出された過程」が存在するというのです。

今回は、そのアイデアの作り方をまとめました。まず、解決したい問題を明らかにします。その上で、アイデアを生み出すための手順を辿っていきます。以下の3段階です。

1. 資料を集める 2. 組み合わせる 3. 放置する

それぞれ、具体的に解説していきましょう。

1. 資料を集める

アイデアは既存の要素の組み合わせなわけですから、情報がなければ作りだすことはできません。そのため、最初に重要となるのは資料集め。今解決したい問題に関する資料を調べていきましょう。ここで重要なのは、製品に関する知識と消費者に関する知識を集めること。つまり、「敵と味方を知る」ことが重要なのです。

たとえば、「自分についてもっと多くの人に知ってもらい、仕事の声がかかるようにしたい」と思ったとき。自己啓発やキャリアに関する本、マーケティングに関する本を読んで、どうやって自分の価値を周りに知ってもらおうか考えることになるでしょう。その後、この知識を普段からインプットしている知識と組み合わせることになります。

ここでまず知っていただきたいのは、普段のインプットの量があらゆるアイデア出しの効率に比例するということです。関係のありそうなものは、既にだれかが過去に調べて、その上で実行している可能性が高いのです。

しかし、関係のなさそうなものは数が膨大なので、まだだれも着目していない組み合わせを作れる確率が高まります。10個の要素から2つをとりだして作れる組み合わせは45通りですが、20個の要素から2つをとりだして作れる組み合わせは190通りになります。まず元の要素の数を、一見関係なさそうなものまで広げてみることで、今までにない組み合わせがたくさん生まれるのです。そのために、普段のインプットが重要です。

解決したい課題に関するものだけでなく、常日頃から新聞やニュースをチェックしたり、同僚と情報交換をしたりして、積極的に情報を得るようにしましょう。

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2. 組み合わせる

その後、ポストイットにアイデアを書いたものを整理しながらじっくり考えます。「これは違う見方ができないか」「これとこれを組み合わせたらどうなるか」「これは本質的にどんな意味を持っているのか」など、様々な切り口から考えてみましょう。

その際には、「関係のありそうなもの」×「関係なさそうなもの」の組み合わせを作るようにするのがオススメ。今までにない組み合わせが生まれやすくなりますよ。くだらないと思ったアイデアでも、とりあえず書き残すことが大事です。その過程が、これから生まれてくる本当のアイデアの前兆なのです。

その際、普段から幅広い知識をインプットしているほどアイデアが浮かびやすくなります。たとえば、「SNSが最近流行っている」という知識があると「SNSで意見を発信したり同業者をフォローしたりするといいのではないか」というアイデアが浮かびます。また、「YouTubeが最近の流行り」「ニッチ市場は競争の激しい市場に比べて自分のブランドを作りやすい」という知識があると、「YouTubeでニッチ市場にアプローチすればいいんじゃないか」というアイデアも浮かびます。「製品(自分)と消費者を知る」考え方を適用すると、自分の特技について、初心者が欲しがっていそうな情報を発信するというアイデアが浮かびます。情報を普段から幅広く集める事が大事です。それらがアイデアの種になるのです。

その後、限界まで考え抜きます。このとき、もう無理ではないかと思えてくるくらいがちょうどいい状態です。

3. 放置する

限界まで考え抜いたら、次は完全に問題意識から離れて、放置しましょう。リラックスした時間を過ごしましょう。すると、ひらめきが訪れます。

ここですぐに実行します。たいてい現実にきれいにフィットしないので、試行錯誤しましょう。これについて、アメリカの著作家であるナポレオン・ヒル氏の著書『思考は現実化する』では以下のように書かれています。

アイデアというものは生まれたときにほとんど死にかかっているか、あるいは生きていたとしてもすぐに手当てをしなければならない状態なのだ

(引用元:ナポレオン・ヒル(1999),『思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき』,きこ書房.)

同書では、その手当てとは明確な目標と迅速な行動だと述べられています。アイデアを出す前に、どんな目標のためのアイデアを出すのか明確にしてモチベーションを高めた上で、アイデアが浮かんだらまずは最初の一歩を迅速に踏み出す。すると、あなたのアイデアは現実の世界で成長していくでしょう。

また、協力してくれそうな人に声をかけてみるのもおすすめです。理解ある人の批判を受けましょう。良いアイデアというのは、それを見る人々を刺激します。よって、周りの人がアイデアの実現に手を貸してくれるのです。それがマスターマインドになります。たとえば、「SNSで自分の特技を活かす」と思いついたら同じ特技を持つ人を同僚で探し、協同でサークルを結成しても良いでしょう。すると、一人でやるよりも多くのことを成し遂げることができます。

*** アイデアを作る時は、この記事の手順に沿ってやってみてください。なんとなくアイデアを出せる人はいますが、「アイデアの出し方」についてまとまっている記事をなかなか見なかったので、アイデア出しの参考にしていただければ幸いです。

(参考) ジェームス・W・ヤング(1988),『アイデアのつくりかた』,CCCメディアハウス. 加藤 昌治(2003),『考具 ―考えるための道具、持っていますか?』,CCCメディアハウス. ナポレオン・ヒル(1999),『思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき』,きこ書房.

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