みなさんは行き詰ったときどうしていますか?無理にでも進める、しばらく放置する……などいろいろな方法が思いつきますね。今回おすすめするのは、自己暗示です。「自己暗示なんて眉唾物じゃないのか」と思う人も多いかもしれませんが、実はこの自己暗示はすごいパワーを秘めているのです。
どのような自己暗示が効果的なのか
自己暗示といえば、「私ならできる」という風に自分に言い聞かせるというのが一般的です。しかし「European Journal of Social Psychology」に掲載された研究によると、「私ならできる」よりも、「あなたならできる」と自分に言い聞かせるほうが効果が大きいことがわかりました。この理由については以下のとおりです。
心理学者のDolcos氏は、第2人称で自分に語りかけることは、小さいころに両親や先生からの支援や励ましの記憶を思い出させてくれる為、より有益であると推測しています。
つまり、自分で自分で励ますというよりは、他者から励ましてもらうことを想像するという感じですね。それにより暗示にかかり、「そうだ!自分は頑張れる!」という気持ちになるのです。次から自分を鼓舞する時は「俺ならできる!」ではなく、「お前ならできる!」に変えてみましょう。
成功した人たちも活用している
「暗示だけで本当に自分が変われるのか?」と思うかもし世界的に有名な人たちの中でもこの自己暗示を活用している人がたくさんいます。 宇宙工学で輝かしい功績を残した糸川英夫さんもその一人です。糸川さんが晩年にチェロやバレエを始めたことは有名ですが、緊張してしまい本番前のリハーサルではまともにできなかったと言います。ところが本番ではまったく間違えることなく、堂々とやり遂げられました。糸川さんはその秘訣について、前日の夜に「『本番で絶対にうまくいく』と自己暗示をかけていた」と語ったそうです。練習では失敗ばかりだったのに本番で成功したのは、まさに自己暗示の力だったのです。
また、ソフトバンクの孫正義社長についても、自己暗示を活用しているといわれています。デジタルハリウッド大学教授の匠英一氏はこう指摘します。
「大きい夢を語ると、その言葉が自分自身を引っ張ってくれることがあります。これをアファメーション(自己暗示)効果といいますが、孫さんはそれがうまくできています」
結果的にはまさに有言実行。あえて言葉に出すことも、自己暗示の手法なのですね。
もっと身近な話では、ヘビースモーカーだったのに禁煙を成功させた俳優の松尾貴史さんの話も興味深いものです。例えば「禁煙している」と周囲に言うと「大変でしょう」「きついね〜」というようなネガティブな反応を受けがち。耳から入るとそれでそのまま洗脳されて、「つらいのに我慢している」と自己暗示にかける事になるのでNG。同様に「たばこ吸わないの?」と聞かれた時に「我慢しているんだ」というのも同じ自己暗示なので、「全然吸いたくないんだ」「美味しくないだろ?」などと、禁煙という行為をあえてポジティブに表現することで「良い意味で自己暗示にかけること」を心がけていたそうです。
*** いかがでしょうか?行き詰ったときこそ自分の頭の中にはネガティブな自己暗示ワードがいっぱい。そんな時に決してうっかりと声に出さずに、「ポジティブな自己暗示」に変換することを心がけてみてください。
参考: 自己肯定感があれば、どんな困難にも負けない自立した子に変わる! 日本経営合理化協会 第62回 『自己暗示』 孫 正義の大ボラ:聴衆を虜にする「アファメーション効果」 禁煙@タバコのやめ方ガイド 自己暗示とセルフコントロールで禁煙成功した松尾貴史さん