仕事に失敗や不調はつきもの。だからといって失敗ばかりしているわけにもいきませんよね。
また失敗をしないためには、その失敗を省みて、次に活かさなければいけないのです。そういったときに失敗の原因をどう考えるかによって、もたらす結果が変わることをご存じでしょうか?
今回は、その思考法と有効な使い方についてご紹介します。
自責思考・他責思考とは
失敗が生じたときの思考法は、大きく分けて2つあります。
1.自責思考 自責思考とは、失敗の原因を自分に求める思考法のこと。 「自分が適切な対策をとっていれば成功したはず」、「それを怠った自分が悪い」という考えですね。
2.他責思考 他責思考は、失敗の原因を他人に求める思考法のこと。 「自分はちゃんと仕事をした。他の人の努力が足りなかったのが原因だ」、「取引先と人間性が合わなかったからしょうがない」という考えです。
一見すると、自責思考の人は責任感が強く立派な人、他責思考の人は他人任せの無責任な人に見えますが、一概にそうとは言えません。それぞれにちゃんと、メリット・デメリットがあるのです。
メリット・デメリット
・自責思考 【メリット】 自分に原因を求めることで自身の成長につながります。
失敗の原因を他人に求めてばかりでは、人間はいつまでたっても成長しません。 仮に自分の仕事は完璧にこなしていたとしても、自責思考の人は「他の人のフォローまでできたのではないか」と考えます。その結果、次からは「自分の仕事+他人のフォロー」までできる優秀な人材へと成長していくのです。
【デメリット】 そもそも、どんなことが起こっても対応できるようにしておくなんてことは不可能です。マインドとして、「仕方がないという言葉はない。すべて自分の対応次第なんとかできたはず」と思うことはたいせつでも、実際にはすべてに当てはめることはできません。
また、この自責思考は突き詰めすぎるとチームのためにならないこともしばしば。
失敗は、人が成長する貴重な機会です。部下の失敗を自分が全て背負い込んで解決してしまっては、部下が成長する機会を奪ってしまうことになりかねません。部下の失敗を背負い込むことで自身は成長できるかもしれませんが、チーム全体の成長を考えるのであれば得策ではないでしょう。本当にチームとしての成長を目指すのであれば、時には毅然とした態度で「君が悪い」と指摘するのも大切なのです。
・他責思考 【メリット】 前述の通り、他人のミスを指摘することもチームの成長には必要なことです。 ミスを「ミスだ」とハッキリ指摘するのは、案外難しいもの。それができる人材も、チームには欠かせない存在だと言えるでしょう。
つまり、チームには必要な人材なのです。
【デメリット】 他人に原因を求めてばかりなので、自身の成長は自責思考の人の比べて遅いと言えます。周囲としても、失敗の原因を自分たちに押し付けられるのは面白くありませんよね。
自責思考・他責思考の合わせ技
では、実際にミスがあったとき、どのように思考法を活用したら良いのか考えてみましょう。
まず、自分が低い立場の場合は、基本的に自責思考で仕事に取り組みます。
周囲より自分の仕事ぶりの方が劣っているわけですから、他人に失敗を押し付けてばかりではいつまでたっても周りに追いつけません。他にできることはなかったのかを人一倍考えて、自身の成長を図るのが結果的にチームのためにもなるでしょう。
しかし、自分が上の立場になった場合はそれだけでは不十分です。チームとして1番良い結果を出すためには、全員が自責思考で仕事に臨むのが1番ですよね。
もし部下に失敗があったとき、あなたが「自分で解決しなさい」と命令するのは、自責思考を促しているように見えますが、その上司のとっている言動は紛れもなく他責思考なのです。
他責思考をしている上司に命令されても、部下は「自分で、と言いながら丸投げじゃないか!」としか思えません。ゆえに、部下やチームに自責思考を習慣づけたい場合は、自分自身も手伝って問題解決にあたり、自責思考の手本となりましょう。
しかし、自分が全部解決してしまったらそれはそれで部下のためになりません。
そこで他責思考の出番です。 しっかりと部下のミスを指摘し、彼自身に不備があったことを確認させましょう。そして、部下に問題解決の指揮をとらせ、自分はそのサポートをすることで自責思考の手本ともなることができます。
自責思考、他責思考はどちらのみ使えばいいというものではなく、2つ併せて使うことで、チームを成長させる優秀な人材になれるというわけですね。
*** 思考法について、元メジャーリーガーの松井秀喜氏は次の様に述べています。
自分にコントロールできないことは、いっさい考えない。 考えても仕方ないことだから。 自分にできることだけに集中するだけです。
(引用元:地球の名言|松井秀喜の名言)
どうにもならないチーム方針や監督の采配に関しては他責思考で一切考えず、自分のプレーに関することは自責思考でとことん突き詰めたのが、彼の偉業につながったのかもしれません。
2つの思考を上手く使いこなし、成功できるチームを目指してみてくださいね。
(参考) キャリアパーク!ビジネス|自責・他責とは?デキる社員とダメ社員の決定的な違い アンドプラス|自責思考の人の特徴に潜む大きな問題点 地球の名言|松井秀喜の名言