普段、みなさんはどのように情報を集めていますか?
最近はスマートフォンが普及し、ニュースサイトやSNSなどから情報を以前よりも簡単に集められるようになったため、インターネットを情報収集の手段として使っている人はかなり多いのではないでしょうか。しかしながら、インターネットをメインにして情報収集をしていると、時々、それが本当に正しい情報なのかどうか、あるいは自分にとって本当に有益な情報なのかどうかが分からなくなることがありますよね。
では、いったいどうすれば有意義で正しい情報を集められるのでしょうか? 今回は正しい情報収集術を紹介します。
あなたが集めている情報は、本当に有意義な情報ですか?
まずは、あなた自身の普段の情報の集め方を振り返ってみてください。自分が気になる情報のみをニュースサイトからピックアップしている。SNSなど、1つの情報源からしか情報を集めていない。このような情報の集め方をしていませんか? 実は、これらの方法はあまりよいとはいえません。なぜなら、得られる情報が偏ってしまい、新しい視点で物事を見ることができなくなってしまうからです。
全ての情報には必ず発信者が存在し、情報にはその発信者の意思が込められています。ただのまとめサイトであったとしても、まとめ方やもとの情報源は人それぞれですよね。そのため、冒頭のような情報の集め方をしていては、特定の意見の影響を受けやすくなってしまうのです。
さらに、私たちの脳には「確証バイアス」といって、見たくないものを見ないようにする能力が備わっています。
確証バイアス(かくしょうバイアス、英: Confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと。認知バイアスの一種。また、その結果として稀な事象の起こる確率を過大評価しがちであることも知られている。
(引用元:Wikipedia|確証バイアス)
最近、様々な記事や本を読んで「その通り」「共感できた」と思うことが多い場合は、もしかしたらすでに確証バイアスにとらわれているのかもしれません。そうなると自分の意見に合う情報ばかり集めるようになり、ますます視点や価値観が凝り固まってしまうのです。せっかく情報収集をするのに自分の考えと同じような意見ばかり集めてしまっては、情報を集める意味がなくなってしまいますよね。
では、確証バイアスに陥らないためには、どのような情報の集め方をすればよいのでしょうか?
確証バイアスを避けるためには新聞がおすすめ
確証バイアスから逃れ、より多くの価値ある情報を得るためには、新聞を読むのがおすすめです。ジャーナリストの池上彰さんは、元外務省主任分析官の作家佐藤優さんとの対談の中で、新聞の有用性について、以下のように述べています。
いくつかの問題点はあるものの、短時間で世の中の動き全体を俯瞰できる「一覧性」、そして記者が現場を取材して書いている記事の「正確性」は、他のメディアに比べてまだまだ新聞が圧倒的に強く、優れている点です。
(引用元:東洋経済Online|佐藤優も唸る!池上彰のスゴい新聞の読み方)
新聞は1ページに多くの話題が書かれており、自分の意見とは相いれない意見も含めて、様々な話題が目に入ってきます。それに対してインターネットは、気になるトピックを自ら選んで読む形式であるため、自分の意見に賛同しているような記事を自然と見てしまうことになります。つまり「見たくないものは見ない」という確証バイアスを強めてしまう可能性が高いのです。
したがって、普段自分の気になったものだけを読んでしまう、様々な記事を読んでいるはずなのに同じような意見ばかり目にするという方は、新聞で情報収集をするとよいでしょう。
なるべく複数の情報源にあたろう
先述した通り、全ての情報には必ず発信者が存在し、情報にはその発信者の意思が込められています。発信者のバイアスがかかることによって情報ごとに微妙な違いが生じるのはよくあることです。そのため、なるべく多くの情報源から情報を仕入れて比較することで理解を深めることが大切です。池上さんは同じ対談の中で、新聞の読み方を次のように語っています。
「1紙は保守系、もう1紙はリベラル系」というように「論調の異なる新聞を2つ読む」ようにするなど、どちらか一方に偏らないようにしたいですね。(中略)2紙併読することで、それぞれの新聞で足りない部分を補い合って理解が深まります。また、ひとつのテーマについてもさまざまな伝え方があることもわかります。
(引用元:同上)
池上さんは新聞にのみ言及していますが、もちろん他のメディアに関しても同じことがいえるでしょう。例えばインターネット上には、「効率的に勉強するにはどうすればいいか」というテーマだけでも、何通りもの方法が伝えられています。1つの記事だけでは、もちろんすべてを知ることはできません。
また、科学のような難しい専門知識を必要とする分野では、誤った情報が流れることもあります。1つの記事だけでなく、いくつかの情報源から情報を得ることによって、より深く理解することができ、多角的に物事をとらえられるようになりますよ。情報源ごとに内容が異なっていた場合は、もとの論文を調べてみるとよいでしょう。
情報は自分の言葉で説明できて初めて意味を持つ
情報はただ受け取っただけでは意味を持ちません。整理し、自分の言葉で説明して初めて本質をつかむことができます。この段階で、やっとその情報は意味を持つようになるのです。企業家の堀江貴文さんは、得た情報を最大限活かすためにはアウトプットすることが大事だと述べています。
情報はただ受け取っただけじゃダメで、自分の言葉で脳内変換してアウトプットして整理しないと意味がなくて。その作業をすごいPDCAサイクルでまわしてますね。
(引用元:HORIEMON.COM|情報を浴びながらアウトプットする。ホリエモンが実践中の“21世紀の新しい働き方”とは?)
堀江さんは得た情報をSNSのTwitterでツイートすることによってアウトプットしているのだそうです。そうやってアウトプットするには、得た情報をいろいろな面から見て、相手に伝わるレベルまでかみ砕く必要があります。そのかみ砕いていく過程で「この情報はどういった意図で発信されたのだろうか?」「本当に伝えたいことはなんなのだろうか?」と、情報の本質、つまり発信者の意図や込められたメッセージなどの深い部分までつかみとることができるのです。
新聞やネットニュースなどで情報を得たら、知って終わりにするのではなく、家族や友人などに説明したり、ノートに自分の言葉でまとめてみたりすると、得た情報をしっかりと活用できるようになるでしょう。
*** 今回は、正確で有意義な情報を集めるときに気をつけたいことを3つ紹介しました。
1. 見たくないものを見ない状況を避けたいときには新聞を読もう 2. なるべく複数の情報源から情報を得よう 3. 得た情報は自分の言葉で説明できるようにしよう
これらのことを意識して集めた情報は、きっとあなたの役に立つはずです。ぜひ試してみてください。
(参考) Study Hacker|読書の効果を何倍にもする!? フィンランド式の読書術 ダ・ウィンチニュース|なぜ引っ張りだこ? 池上彰の情報活用術のすべて Business Journal|池上彰と佐藤優が教える、新聞・雑誌・ネット、それぞれの最強インプット 東洋経済Online|佐藤優も唸る!池上彰のスゴい新聞の読み方 HORIEMON.COM|情報を浴びながらアウトプットする。ホリエモンが実践中の“21世紀の新しい働き方”とは? Wikipedia|確証バイアス