1年で “3,600分以上” の時間を無駄にしているかも。「片づけられない人」は仕事がデキない裏事情

頭の中がごちゃごちゃして、いつも考えがまとまらない。 仕事の要領が悪い。もっとスピーディに仕事をこなしたい。

そう思っているのであれば、「片づけ」をマスターしませんか? 意外かもしれませんが、実は身の回りの整理整頓が仕事力アップに効くのです。早速ご紹介しましょう。

片づけのメリット1:時間が取り戻せる

自宅の部屋にクローゼット、仕事場のデスク、カバンの中。皆さんの周りには、モノが溢れかえってはいませんか? 「モノがたくさんある」というたったそれだけのことによって、無駄になる“時間”がふたつあります。それは、「探す時間」「整理する時間」です。

メンタリストDaiGo氏は、片付けの重要性を説いた著書のなかで次のように述べています。

世の中には、幸福な人と、そうでない人がいます。 いったい、両者の間にはどんな違いがあるのでしょうか? 生まれ持った才能や環境の違いもあるでしょうが、実は、それよりもはるかに重要で決定的な違いがあります。 それは、限りある時間やお金、体力や注意力といった自分のリソースを、人生において達成したい目標に集中できているかどうか、です。

(引用元:メンタリストDaiGo(2017),『人生を思い通りに操る 片づけの心理法則』, 学研プラス.)

「探す時間」と「整理する時間」は本来、「人生において達成したい目標に集中」させるべき時間です。たとえば、散らかった部屋の中で「あの本どこに置いたかな」と迷ってぐちゃぐちゃの棚を開けて探しまわっている時間は、本来は、自分の目標ややりたいことに使えるはずだった時間なのです。そして整理する時間も同様。季節が変わるごとにクローゼットの衣替えをするのに何時間もかけるのは、大変なばかりか時間がもったいないもの。

もし1日に10分を探し物に費やしているのだとしたら、1年間で3,650分。つまり2日半もの時間を無駄にしていることになります。この時間を読書に費やせれば本2~3冊ぐらい余裕で読めてしまいますし、集中して勉強すれば簡単な資格試験をひとつクリアできるくらいの時間にはなるでしょう。仕事にあてれば、資料がいくつも仕上がりそうです。

身の回りを整理整頓すれば、無駄になっていたこれらの時間を取り戻すことが可能なのです。

片づけのメリット2:考えるべきことが削減される

きちんと片づけをすることには、考えなくてはならない事柄が減るというメリットもあります。

たとえば、持っている服の数を最低限に絞れば、毎日服を選ぶという作業から解放されて、その考える手間を他の作業へのエネルギーに向けられます。一例として、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏の逸話を紹介しましょう。

スティーブ・ジョブズは、三宅一生がデザインした黒のタートルネックとリーバイスのジーンズ、ニューバランスのスニーカーがトレードマークで、同じものを何着も持っていて、それを着回していたといいます。 これは、「今日は何を身につけるか」という選択に頭を使いたくなかったからだと公言していました。

(引用元:ニューズウィーク日本版|スティーブ・ジョブズがいつも黒のタートルネックだった理由

世界のエリートはなぜ「ウィルパワー」を重視するのか? 頭がスッキリする効率的仕事術」でご紹介している通り、私たちの脳は、何かを選んだり決めたりするときに「ウィルパワー」を消費します。ウィルパワーとは、思考や感情をコントロールする力のこと。集中力の源になる力なので、ビジネスパーソンにとっては大事な力だと言えます。ウィルパワーには総量があり、使うたびに量が減っていきます。ですから、選択の機会が多ければ多いほど、ウィルパワーは減り、仕事に集中できなくなってしまいます。大事な意思決定がおろそかになってしまうことにもなるでしょう。

ウィルパワーは、日常生活のあらゆる場面で消費されます。したがって、仕事や生活で日々使うアイテムはいつも同じと決めておいたり、曜日によってルーティンにしたりして、選択や意思決定の回数を減らしましょう。そうすれば、節約できた分のウィルパワーを仕事に集中するために使うことができるようになるでしょう。

片付けのメリット3:仕事のスピードがアップする

片付けをすることで、スピーディに仕事がこなせるようになります。整理整頓すれば、時間や意思決定の回数のほかにも多くの無駄をなくすことができるからです。

その最たる例が、トヨタ自動車の工場やオフィスで実践されている「トヨタ式片付け術」です。仕事がデキない人の机はなぜ散らかり放題なのか? 時間と意志力を温存する “トヨタ式” 整理整頓術。で解説している通り、トヨタ式片付け術では、整理整頓されていない状態には以下のような無駄が潜んでいると考えます。

  • モノがあふれかえっている→スペースの無駄
  • モノの定位置が決まっていない→どこに片づけるべきか判断する無駄
  • 使う場所とは別の場所にモノが置いてある→使う場所まで運ぶ無駄

トヨタでは、こうした無駄を徹底的に取り除くことで、作業能率を高めているのです。

皆さんも、デスク上の筆記用具の配置を固定してしまうなどしてデスク上や身の回りを整理整頓しましょう。医学博士の米山公啓氏は、デスク上を整理整頓することの効果について次のように解説しています。

処理する情報量が少ければ、脳のストレスが軽減されます。余計な情報がない机、つまり物が少ない机は、仕事への集中力や処理能力も上がります

(引用元:日経ウーマンオンライン|机がきれいな人に仕事ができる人が多いワケ

パソコン上のフォルダを整理したり、スマートフォン上の不要なアプリを削除したりするのもいいですね。無駄がなくなるだけでなく、仕事とは関係ないアプリに気が取られるのも防ぐことができ、一石二鳥かもしれません。

片付けの極意は「捨てる」と「借りる」

片づけをしたくても、モノが多すぎて整理しきれない人もいることでしょう。最終目標は、探すことも整理することもなくモノを使える状態を作ること。そのための方法論は、「捨てる」「借りる」のふたつです。

捨てる

モノを捨てるのは意外と難しいですよね。モノが捨てられなくて困ったときは、メンタリストDaiGo氏が勧める以下の質問を自分に投げかけてみましょう。

「いったん捨てたとして、これを買い直すか?」

(引用元:メンタリストDaiGo(2017),『人生を思い通りに操る 片づけの心理法則』, 学研プラス.)

これは「買い直し思考」といいます。心理学の「保有効果」という理論によれば、私たちは「すでに持っているモノの価値を本来よりも高く感じてしまう」のだそう。いわゆる、「愛着がわいてしまう」ということですね。この「愛着」を捨てるための思考法が、買い直し思考です。メンタリストDaiGo氏は、自分のクローゼットの中を「ここはお店だ」と思い込んで眺めてみることも有効だと言います。こうすれば、自分にとって本当に価値あるモノを見極めることができるでしょう。

借りる

モノを借りれば、所有する場合に比べてモノを管理する時間が少なくて済みます。

おすすめなのが、レンタルサービスを使うこと。たとえば服なら、airClosetというサービスがあり、月額6,800円(税別)で、月1回3着レンタルすることができます。服にこれ以上のお金をかけていて、整理に時間がかかることで悩んでいる方にはぴったりかもしれませんね。

このほかにも、「いざというときのために」持っているモノは、潔くレンタルサービスで代用することを考えてみましょう。インターネットで検索してみれば、カメラやフォーマルな服など様々なレンタルサービスを見つけることができますよ。借りることで、身の回りを整理する時間はどんどん減らすことができるのです。

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片づけによってさまざまな無駄を減らすことができれば、今までの仕事上の悩みを見事に解決してしまうことができます。身の回りも頭の中もすっきりさせて、仕事力アップを実現しましょう!

(参考)
メンタリストDaiGo(2017),『人生を思い通りに操る 片づけの心理法則』, 学研プラス.
メンタリストDaiGo(2015),『ポジティブ・チェンジ』, 日本文芸社.
ニューズウィーク日本版|スティーブ・ジョブズがいつも黒のタートルネックだった理由
StudyHacker|世界のエリートはなぜ「ウィルパワー」を重視するのか? 頭がスッキリする効率的仕事術
StudyHacker|仕事がデキない人の机はなぜ散らかり放題なのか? 時間と意志力を温存する “トヨタ式” 整理整頓術。
日経ウーマンオンライン|机がきれいな人に仕事ができる人が多いワケ
レイチェル・ボッツマン著, 小林弘人監修・翻訳, ルー・ロジャース翻訳(2016), 『シェア[ペーパーバック版] 〈共有〉からビジネスを生みだす新戦略』, NHK出版. ロバート・D・チャルディーニ著, 社会行動研究会訳(2014),『影響力の武器[第三版]:なぜ、人は動かされるのか』, 誠信書房.
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