今、社会人に求められる力の一つである教養。教養がある方と話していると知識の幅に驚かされ、尊敬の念を抱きます。教養人に憧れ、なりたいという方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、日経ビジネスアソシエ2013年2月号によると、教養を十分に身に着けていると答えた人は全体のわずか2.2%。私たちは人に誇れるほど教養を身に着けていないのかもしれません。
では、いったいどのようにすれば教養を身に着けられるのでしょうか?
教養は知識とは違う
みなさんは、教養とはどんなものだと考えていますか? 歴史、哲学、日本文化、さらには読み書きの能力など、いろいろなものを思いつきますよね。広辞苑によると、教養とはただ物事を知っていることではなく、人格や人間性と関連したより深い知識を持っていることなのだそう。
単なる学殖、多識とは異なり、一定の文化理想を体得し、それによって個人が身につけた創造的な理解力や知識。その内容は時代や民族の文化理念の変遷に応じて異なる
(引用元:NEWstreamer ~ニュースの背景と潮流を読み解く~|「教養とは何か」について考えてみる)
どういうことなのか。 みなさん、「この人、教養があるなあ」と感じた瞬間を思い浮かべてみてください。それはクイズに答えることができた人を見た瞬間でしょうか? それとも、知識を織り交ぜながら会話をしているのを見たときでしょうか? きっと後者の方が、より教養という言葉がしっくり来るはずです。
教養を得るには、ただの知識をより深く理解し、日常生活に応用できるように自分なりの言葉で言い換えたり、自分の思考として昇華させたりすることができるようにならなければならないのです。
教養をつけるために、無駄に見える知識を大切にする
さまざまな知識を得るだけでは、教養はつけられないということがわかりましたね。それでは、どうすれば教養を身に着けられるのでしょうか?
教養に関する著作を持つ、ジャーナリストの池上彰氏は、すぐには使えないある種無駄な知識を大事にしているのだそう。
池上さんは「すぐ使える知識」よりもむしろ「すぐには使えない知識」の方が大事であると考えていることが分かる。 では、すぐに使えない知識とはなんだろう。それは「教養」であると池上さんは語る。
(引用元:excite.ニュース|池上彰が語る「役に立たない」教養の重要性)
確かに、歴史や文化を学んだところで、すぐに仕事や日常生活に応用できるわけではありません。しかし、すぐには使えないからこそ、自分の中でかみ砕き理解する時間が用意でき、教養となるのでしょう。
建築の言葉に「遊び」というものがあります。例えば、鴨居と障子の間にある空間がそれですね。ただ建物を建てるだけなら不要な空間ですが、障子が滑らかに動かせるように空間を空けてあるのです。
まさに人生における「遊び」こそが教養なのかもしれませんね。この「遊び」を持たせるには、文字通り遊ぶのがよいようですよ。
成功者たちは知識人ではなく、教養人だった。
池上氏は、知識と教養の違いについて次のようにも述べています。
「常識」と「教養」の違いを説明するなら、「常識人には世の中を改革する力がない。教養を持っている人は世の中を改革する力がある可能性が高い」という定義の仕方もできると思うのです。
(引用元:WISDOM|池上彰氏 ~未来を生き抜く「武器」としての教養~)
世の中を変えた天才の一人であるスティーブ・ジョブズ氏。彼は大学生時代、単位とは全く関係ないカリグラフィーという文字のデザインに熱中し、のちにこれがコンピュータにつながってiMacができたと述べました。まさに、教養がジョブズ氏のクリエイティビティの基礎にあったのだと言えるのではないでしょうか。
人生での「遊び」こそが、教養人となる秘訣なのかもしれませんね。
(参考) NEWstreamer ~ニュースの背景と潮流を読み解く~|教養は「何のため」か 建築用語集|遊び(あそび) NEWstreamer ~ニュースの背景と潮流を読み解く~|「教養とは何か」について考えてみる excite.ニュース|池上彰が語る「役に立たない」教養の重要性 WISDOM|池上彰氏 ~未来を生き抜く「武器」としての教養~