「都知事になってもらいたい人は、誰もいない」

これは、舛添要一氏が都知事を辞任するにあたりFNNが行ったアンケートにおいて、「次の都知事は誰がよいか」という質問で1位となった回答です。誰かがやらなきゃいけない、東京都のリーダー。それなのに、任せたいと思う人がいないと判断した人が一番多くを占めてしまいました。(2位は池上彰氏、3位は橋下徹氏という結果でした)

なぜこのような結果になってしまったのか。その原因を分析することで、今世間で求められているリーダー像が見えてくるのではないか。筆者はそう考えました。都知事クラスのリーダーや政治家でなくとも、組織でよきリーダーになるためには必須の条件があるはず。今回は、そんな求められるリーダーになるために欠かせないことについて考えます。

職場や学校などで何らかのリーダー的立場にある方は、自分がメンバーから求められる理想のリーダーであると言えそうかどうか、自問しながら読んでみてください。

信頼は、リーダーの思考に宿る

先ほどのアンケートで都知事になってほしい人が「誰もいない」という回答が1位となったことからは、有権者が政治家を信頼できていないのが見て取れます。2位に名前が挙がった池上彰氏が政治家ではないことからも、この見解は外れていないと言ってよいでしょう。

このような不信感は、どこから生じたものなのでしょうか。私たちは、何を基準にして他人を信頼しているのでしょう?

人間の信頼は、まず相手を知ることから始まります。知らない人に信頼は芽生えません。そして、私たち一般市民が政治家について知る方法のほとんどが、マスコミの報道を通してです。つまり、「マスコミが報道している事実=私たちの政治家に関する知識」となるのです。

そのマスコミによる現在の政治報道について、奇しくも今回のアンケートで2位にランクインした池上彰氏は、最近の政治記者が若手ばかりで政治に対する勉強が不足しているという現状を踏まえ、こう語ります。

政治に不案内な若手記者の場合、日々の政治家の会見を必死で追いかけるのが精一杯。政策を勉強する暇がないから、政策についての体系的な報道は現場からはなかなかできません。
そうなると、取材の中心は、どの政治家がどの派閥とくっついた、夜誰に会ったといった政局報道に偏ってしまいます。政治報道よりも政局報道ばかりが目立つ裏には、政治記者の絶対的な経験不足の問題があると考えれば納得がいきます。

(引用元:日経ビジネスオンライン|マスコミが「政治報道」できなくなった理由

こうしたマスコミの事情から、最近の報道が「政治家の考え」ではなく「政治家の派閥争い」や「政治家の失言」などが大半を占めるようになったのだと、池上氏は述べています。

そういった報道ばかり目にする私たちは、政治家が本当に何を考えているのか、知ることができないというわけです。政治家の思考が報道されない現状では、彼らに信頼がおけないと考える人が増えるのも当然の結果でしょう。

そしてこの問題は、あらゆるリーダーに当てはまるものだと言えるのです。何を考えているかわからない政治家を信用できない人が多いのと同じように、考えが不透明なリーダーは信頼できないということ。あなたが信頼されるリーダーになるためには、周囲に自分の考えを発信し、理解を得る必要があるのです。

比較的小規模なチームのリーダーであれば、ミーティングなどの場を設けて直接考えを伝えましょう。大人数のメンバーを抱えている場合や、メンバーと直接顔を合わせる機会が少ないリーダーの場合などは、あなた自身の考えを広めてくれる「マスコミ」の力を借りましょう。あなたの考えを理解して、チームのメンバーに近い位置で発信してくれる「マスコミ」的な存在が、リーダーには不可欠です。リーダーが考えを発信しそれを浸透させることが、メンバーから信頼を得ることにつながるのです。

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リーダーの最大の敵はマンネリ

次は、別の視点からリーダー像を考えてみます。

ここ10年の内閣の支持率推移を見てみましょう。内閣が頻繁に入れ替わっていますが、どの内閣も同じパターンをたどっていることがわかります。最初就任するときに跳ね上がり、そこから緩やかに、または急激に下降線をたどり、解散するときに一番低い値に落ち着いているのです。

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(画像引用元:社会実情データ図録|歴代内閣の内閣支持率推移より2000年~2016年分を抜粋)

ここで注目すべきなのは「内閣が変わった時の支持率の増加」です。リーダーが変わることで国民に期待感が生まれ、支持率が跳ね上がるということが分かります。

チームに変化がないと、どうしてもマンネリになってしまい、リーダーへの信頼も下がってしまうもの。ですが、変化がもたらす「ワクワク感」にはそれを一掃する力があります。理想的なリーダーには、チームに新しい風を吹き込む力が必要なのです。マンネリを打破し組織に新たな風を吹き込むリーダーであるためには、新しい企画に取り組む、新しい人材を採用する、新たな仕組みを導入するなど、何かしらの変化を常にもたらすことが重要。それができるリーダーこそ、チームから求められているのです。

また、小泉内閣や安倍内閣では支持率の下降は緩やかになっています。支持率を維持している時期はいずれも、景気が好転していた時期ですね。景気の良さという「結果」が、マンネリによる支持率の低下の「ストッパー」になっていると考えられます。内閣支持率からは、結果が信頼につながるという、実にシンプルな法則を見て取ることもできます。

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今回の分析の結果、理想的なリーダーであるためにやるべきことは以下の3つ。

①自分の考えを積極的に発信し、信頼を得よう
②チームに変化をもたらそう
③結果を出そう

今の政治家への不信は、案外単純なところが原因だったのかもしれません。部下たちから「この人にリーダーを任せたい!」と思われるリーダーになるために、ぜひ実践してみてください。

(参考)
欲しい情報を瞬時にラビル!!|東京都知事になってほしい人アンケート実施
日経ビジネスオンライン|マスコミが「政治報道」できなくなった理由
社会実情データ図録|歴代内閣の内閣支持率推移
スポーツ報知|都知事になってもらいたい人1位は「だれもいない」とくダネ!調査でまさかの結果