以前、こちらの記事「京都大学で流行中! 「なんでもノート」を使ってQOLと処理速度をあげる方法」で取り上げられた「なんでもノート」。
なんでもノートとは、その名の通りなんでも書いていいノートのこと。この記事では、京都大学では「ほぼ誰もが一冊のなんでもノートを持ち歩いている」と紹介され、QOLと処理速度の向上が期待されるという効果に大きな反響がありました。
なんでもノートを紹介したライターと同僚であり、学友でもある筆者が、2016年4月から2か月間、なんでもノートを実践してみました。そこで感じたことについてリポートしたいと思います。
「なんでもノートって、いいらしいけど、実際どうなの?」と思っている方、ぜひ読んでみてください。
なんでもノートを始める前に決めること
三日坊主にならない為には準備が大切。 そう思った筆者は以下の3点についてしっかりと検討することにしました。
・どんなノートを使うか これは非常に重要な問題でした。最後まで使い切ったら交換できるとはいえ、最初に決める1冊目は、その後ノートを選び直すうえでも基準になるはず。ここは慎重に考えなければなりません。
そうして筆者が選んだのは、B5方眼罫の大学ノート。B5にしたのは、持ち運びやすさと書き込める情報量とのバランスがちょうどよかったため。方眼罫なのは、普通のノートでは罫線によって文字の大きさや書き方が規定されてしまうと思ったためです。まもなく2冊目に移りますが、次に選ぶノートももちろんB5にするつもりです。外でも書きやすいように野帳のような硬い表紙のノートがあると良いのですが……。
・どんな文具で書くか 普段からお気に入りのペンを使うか、なんでもノート専用の文具を用意するか……。
悩んだ末に決めたのは、文具を限定しないということでした。なんでもノートは「なんでも」書けるという手軽さが重要なので、文具を決めたり色ペンを使おうといったルールを決めたりすると自由度が奪われると考えたためです。また、どんな筆記具で書いても良いということが、筆箱が手元にない時でも動じずになんでもノートを続けられた要因になったと考えています。
ノートに慣れてきた最近は、普段使うペンが手元にある時はそれで色分けし、そうでないときは鉛筆でも筆ペンでも気にせず書き込むというスタイルとなりました。
・何を書くか なんでもノートとはいえ、「これは書く」という内容がせめて一つくらいはないと、そもそも書き始めることすらできません。
筆者は大学生なので、リレー講義など復習が必要ない授業のためのノートをメインとすることとしました。こういった講義はノートをとっても1ページに満たないことも多く、メモはしたいけどこの講義専用のノートを別に用意するのは面倒、といったことが多かったためです。
そのようにしてなんでもノートを書き始めたら、あとは思いついたことや人から聞いた話などを適当に書き連ねる。こんなスタイルで、筆者のなんでもノートが完成しました。
"なんでも書ける" 汎用性の高さがやみつきに
さて、とりあえず講義ノートとしてスタートした筆者のなんでもノートですが、書き始めてから数ページ後には、講義とは全く関係のないことがノートの全面を埋め尽くしていました。
教授のこぼれ話や友達との雑談で感心したこと。ゼミ発表での他の人のパワポや口調について思ったことだったり、ふと人生を振り返ってみた感想だったり……。
また学校以外の場でもなんでもノートを書くようになりました。家でのんびり見ているTVの内容をノートにとるというのを実践している人はあまりいないかもしれませんが、筆者がやってみると意外に効果的なインプットとなるようにも感じました。
筆者は日記も続けていますが、なんでもノートは日記に書ききれない膨大な情報を残せるので、後から読み返しても面白いツールとなっています。ルーズリーフに書くと失くしてしまったり、ノートを分けると一度に全部見られなかったりするので、後からまとめて読み返すという楽しみ方はなんでもノートならではの利点と言えるでしょう。
ついついSNSに投稿してしまうことがなくなる
もはや必須ツールのSNS。筆者もTwitterをやっていますが、「なんでこんなこと呟くのかな」という投稿を見ることがしばしばあります。それと同時に、自分自身もそういった投稿をしてしまうことも……。
しかしなんでもノートを手に入れた身となってからは、その投稿に自己規制フィルターがかかったのです。思ったことをまずノートに書き込むことで、「発信目的ではなく単に思っただけはないのか」「この投稿は○○さんに返事をもらいたいのではないか」などと考える余裕ができ、自分の評価を下げてしまいかねないような不必要な投稿を我慢できるようになっています。
むしろ、人の目を一切気にせずに書き込めるこのノートこそが、Twitterと化している、と言っても過言ではないでしょう。
漠然とした考えが思考訓練に
ふとした時に自分の性格や人生について思ったり、他人の性格や行動などに意見を持ったり、ということは恐らく誰にでもあるでしょう。そういったことさえも書けるのがなんでもノートです。
他人と話しているうちに、漠然としていた考えがまとまってくることがあるように、思っただけのこともアウトプットすることで思いもよらない発展をすることがあります。自分や他人の性格といったようなあまり人には言いづらいようなことや、ニュースで耳にする社会問題。なかには、筆者が書いているStudyHackerのコラムのネタになったこともあります。
漠然と思っただけのことは普段ならすぐに忘れてしまうこともありますが、ノートに書き付けることで自己分析につながったり、論理的に考える訓練ができたり。なんでもノートのおかげで脳を使う習慣がついた、という結論にて筆者のリポートを終えます。
*** 筆者がなんでもノートを始めたきっかけは、教授に言われた「頭の中で考えていてもまとまらないから、とにかくアウトプットをする習慣をつけろ」という言葉でした。
みなさんも、講演会でノートをとるから、就職活動に向けて自己分析をするから、など、どんなきっかけからでもよいので始めてみてはいかかがでしょうか。きっと本来の目的の何倍も得るものがあることを体験者が保証します。
(参考) KOKUYO|キャンパスノート(方眼罫) StudyHacker|タブレット派や手帳派にも。東大生ライターが一冊のB5ノートを激しく勧める理由 StudyHacker|京都大学で流行中! 「なんでもノート」を使ってQOLと処理速度をあげる方法