皆さんは日記をつけていますか? 昔から続けているという方も、忙しくてやめてしまったという方もいらっしゃると思います。その日を振り返って、素敵な出来事を書き留めたり、失敗を思い返して反省したり。素晴らしい習慣ですよね。

けれど、いつ日記を書きますか? たいていの方は、「夜」と答えるのではないでしょうか。しかし筆者は「朝」に日記を書いています。なぜ朝に日記をつけるのか? その理由とメリットをご説明したあと、実際に筆者が書いた日記をご紹介します。

「朝日記」と「夜日記」の違い

日記は、その日の出来事を振り返り、記録しておく目的で書くのだと考える方は多いでしょう。その場合は必然的に、一日の終わり――夜に書くこととなります。これが「夜日記」です。一方、朝に書く「朝日記」には、前日の振り返りだけでなく、その日をどう過ごすのかという計画も記します。これが「朝日記」と「夜日記」の大きな違いです。

「朝日記」と「夜日記」の違いは、書く内容や書く時間帯だけではありません。日記を書くときの精神状態が、まったく異なるのです。睡眠や脳に関する多数の著書を持つ、認知療法士の菅原洋平氏は「夜の日記はネガティブになる」と自身のブログで述べています。

夜遅くに日記を書くとぐるぐるネガティブ思考に陥りがち。
これは、脳の活動が低下し考えを焦点化できなくなると感情反応をもとに連想が起こるからです。
嫌な出来事があるとそれについて多角的に分析する力はこの時間帯にはなく、ただ単に「嫌だった」という感情反応だけで連想が起こります。

(引用元:作業療法士 菅原洋平のブログ|なぜ、夜の日記はネガティブになる?

菅原氏によれば、ネガティブになりがちな時間帯に日記をつけようとすると、「反省点や後悔が書かれてその結果、夢見が悪くなる」とのこと。たしかに、夜は疲れきって、仕事や人間関係の悩みが頭から離れないかもしれません。このような状態で日記をつけることに、あまりメリットはなさそうです。菅原氏も「気持ちよく目覚めるために、夜の日記は控えてみましょう」とまで提案しています。

では、朝に日記を書くとき、脳はどのような状態なのでしょうか? 菅原氏によれば、「脳は睡眠中に不要な記憶を消去」するのだそう。ということは、翌朝まで残っている記憶は、自分にとって必要なものだということです。

さらに、眠っているあいだに脳内の記憶が整理されているため、「朝、頭に浮かんだことをメモすると、(中略)思わぬ『ひらめき』が得られる」かもしれないと菅原氏は言います。

一晩ぐっすりと眠って、すっきり目覚めたあとなら、前日の出来事を客観的に振り返れそうですね。嫌な出来事や失敗があったとしても、その背景や原因を冷静に分析できるため、過度に落ち込むことなく、「どうすればうまくいったのか」を前向きに考えることができます。

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「朝日記」の書き方

以上、なぜ朝に日記を書くべきなのかをお話ししました。次は、実際に「朝日記」をどのように書くのか、筆者の例を提示しながらご説明します。

まず、日記の最初のページには、自分が叶えたいと思っている夢や願いを大きく書きます。事業目標ではないので、抽象的でかまいません。ちなみに筆者の場合、「博士号を取る」などです。基本的に、この「願い」を意識しながら「朝日記」をつけていきます。

さて、本格的に「朝日記」を書いていきましょう。まず、最初のページに書いた「願い」に目を通してください。これは毎回行いましょう。自分の「願い」を意識しつづけることにより、毎日何をするべきなのか、何をするべきでないのか明確になります。日記に書く内容も、自然と「願い」に関係した内容になるはずです。

次に、日付と曜日を記録します。そして、前日の出来事を簡単に振り返りましょう。筆者が過去に書いた例をご紹介します。

前日に満足しているとき
昨日はすごく集中して作業ができた! 姿勢にも気をつけたし、眠くもならなかった。帰りは大好きなカフェで食事をした。とてもおいしかったし、楽しい時間を過ごせた。昨日はいいことづくめだったな。

前日に満足していないとき
外国語の予習を終えることなく授業を迎えてしまった。午前3時頃まで勉強してて、もう寝ないと4時間半の睡眠時間が確保できないなって判断だったんだけど。その判断自体は間違っていなかった。そもそも、外国語の予習はもっと早い時間から始めるべきだった。夕飯を終えてすぐ、とか。「予習しなきゃ」と家族に宣言して自分の部屋にこもればよかったのだ。次からそうしよう。

以上の2つをご覧になって、どう思いますか? うまくいったときもいかなかったときも、筆者がポジティブに考えていたことが伝わると思います。もしも夜に日記を書いていたら、「予習せず授業に行くなんて、私は最低だ」などと書いていたかもしれません。朝に日記をつけることで、脳内の記憶や感情が整理され、前日の自分を客観的に振り返ることができているのです。

では、前日を振り返った上で、今日は何をするのかを書きましょう。再び筆者の例をご紹介します。

Study Hackerの仕事がある日
今日は集中して、よい姿勢で仕事に取り組み、記事を3つ書こう。18時にスッパリ仕事を止め、さっさと夕飯の買い物に行き、外国語の予習に取りかかろう。

Study Hackerの仕事がない日
今日中に外国語の訳を終わらせて別のテキストに取りかからないと間に合わないなあ。新聞読んだらすぐ勉強始めよう。

他人に見せるものではないので、自分が理解できる表現で書いてかまいません。形式にこだわらず、思いついたままに言葉を書き連ねるのがよいでしょう。筆者はTo Doリストを書くこともあります。上述したように、菅原氏も「頭に浮かんだことをメモすると、思わぬ『ひらめき』が得られる」と言っています。あまり考えすぎずにどんどん書いていくことで、「自分は今日、何をすべきか」をシンプルに考えられますよ。

さあ、これで、その日の「朝日記」を書き終えられました。「今日、何をすべきか」を文字として書き出したことで、意識して行動できますね。

そして次の日の朝は、最初のページの「願い」を見て、前日に書いたものを読み返したあとで、新たな「朝日記」を書きましょう。自分の行動は、「願い」につながるものだったか? 「やる」と書いたことをちゃんと実行したか? 振り返ってみて、もし実行できていないようならば、その原因・理由を分析し、次はどうするべきなのか考えましょう。

「朝日記」で自然にPDCAを回せる

ここまで読んで、「『朝日記』はPDCAに似ているな」と思った方がいらっしゃるかもしれません。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4ステップを繰り返す一連のサイクル。目標を達成するのに有効な方法のひとつとして、よく知られています。

「朝日記」をつければ、PDCAを自然なかたちで毎日の生活に組み込むことができます。

P:「願い」を叶えるために、その日に何をすべきか考えて書く。
D:書いたことを意識しながら、その日を過ごす。
C:翌朝、計画をどの程度実行できたか振り返って文章化する。
A:振り返った結果をもとに、次は何をすべきか考えて書く。

仕事の報告書ではないので、数字を用いて詳細に記述しているわけではありませんが、「朝日記」をつけることで、自然とPDCAサイクルを回すことができるのです。

「夜は疲れているから日記を書く気が起きない」という方にこそ、「朝日記」をおすすめします。自分へのポジティブなフィードバックが、ノートにあふれ出しますよ。

(参考)
Study Hacker|昨日より前進してる? いまさら人に聞けない『PDCA』の基本。
作業療法士 菅原洋平のブログ|なぜ、夜の日記はネガティブになる?
作業療法士 菅原洋平のブログ|良い夢を見るためのNG行動とは