「自分は頭の回転が遅い」 「決断力がない」 「意見が出てこない」 このようなコンプレックスを抱いていませんか?
周りが要領良く仕事をこなしているのに自分だけ時間がかかってしまったり、ミーティングで活発に意見を交わすことができなかったり。劣等感が募って苦しい思いをしている方も多いのではないでしょうか。そんな悩みを解決してくれるのが「ゼロ秒思考」です。
「ゼロ秒思考」とは
じっくりと時間をかけるほど良いものが生まれると思う方もいるかもしれません。しかし、時間をかけて考えることで良いアイディアが生まれるとは限らないのです。「ああでもない、こうでもない」と考えすぎるうちに、不要な迷いが生まれ堂々巡りになり、結果的に時間ばかりが無駄になってしまうこともあります。
「ゼロ秒思考」とは、瞬時に状況を認識し、どう動くべきか即断できる思考のこと。マッキンゼーで14年間活躍した赤羽雄二氏が、誰でも確実に頭が良くなる方法として提案したもので、メモ書きによって「ゼロ秒思考」を身につけることができます。思考力と精神力も向上させる効果があるため、ビジネスパーソンのみならず多くの現役アスリートも実践しているのだそう。
多くの人が長々と時間を割いて仕事をしている間、ごく一部の優れた人たちは、1秒も無駄にすることなく、高速で情報収集・意思決定をして行動に移しています。このような差が生まれる原因について、赤羽氏は「即断即決するための訓練」が欠落しているのだと言います。つまり、優れた人たちの行っているゼロ秒思考が身についていないのです。
そんな「ゼロ秒思考」を身に付ける最短の方法が、頭に思い浮かぶものをスピーディーに紙に書き出していく作業、すなわちメモ書きです。
「ゼロ秒思考」を身につけるトレーニング
「ゼロ秒思考」を身につけるためのトレーニングと聞くと難しそうなイメージがありますが、トレーニング自体は非常に簡単です。簡単なトレーニングを2つご紹介します。
1. A4用紙へのメモ書き
使用するのは横置きのA4用紙。不要な裏紙でも可です。
左上に適当なタイトル、右上に日付を記入し、タイトルに沿った内容の本文を4~6行で20~30文字程度書いてください。例えば、「〇〇はなぜこんなことを私に言ったのか?」「△△が怒っているのはなぜだ?」「部長はなぜいつも自分に厳しいのか?」など、気になっていることなら何でもかまいません。
この1ページを1分で書き上げ、朝起きてから夜寝るまで1日の間に10ページ書くのが目標になります。思い出したくない内容や文字に起こしたくないようなネガティブな内容でもあえて全て吐き出すことが大切です。このメモ書きを続けることで、素早く考える癖が付き、頭の回転が速くなっていくでしょう。
2.フレームワーク作成トレーニング
フレームワークとは、2×2の枠組みで物事を整理するというもの。アイディアや問題点を2軸、4つの箱に分けて整理することで、優先順位が明確になり、問題に取り組みやすくなるのです。特に、複数人で議論し、話が拡大した場合にフレームワークを活用すると皆の視点がまとまりやすく、議論がスムーズになります。
このフレームワークを何十回も練習し、使い慣れることによって、仕事が円滑に進みやすくなります。練習する際には「好きな偉人」や「今後チャレンジしたいこと」のようなちょっとしたテーマが良いでしょう。例えば、「好きな偉人」であれば縦軸で「日本人と日本人以外」、横軸で「男性と女性」といった具合にテーマにあった分類をします。
実際に筆者が「今後チャレンジしたいこと」というテーマで練習したものがこちらです。
このように、乱雑かつ他愛もないテーマでもかまいません。練習することによって、フレームワークを使い慣れるだけでなく、自分の考えも整理できるので自己を再認識することもできるようになります。赤羽氏曰く、このフレームワークを1日6個練習することで、頭が冴えてくるのだそうです。
また、作成したフレームワークは日付を書いてとっておくことで励みになりますよ。日常の中に、新しい習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。トレーニング自体は簡単なものばかりです。大切なのは毎日習慣づけて継続することです。
トレーニングのもたらすメリット
仕事面以外にも、「ゼロ秒思考」を身につけることによって次のようなメリットがあります。
・コミュニケーション力が上がる
自分の興味のある事柄で「ゼロ秒思考」にするトレーニングを続けることによって、実生活でも、迷ったり躊躇したり、上司が何をしてほしいのかわからなかったりして行き詰まることが減ると言います。もし行き詰まったとしても、自分にとって分からないことや責任の所在は明確に理解できるので、以前と違ってためらいなく質問することができるようになるのだそう。
・不安やもやもやした気持ちがなくなる
不安に思う気持ちの原因の大部分は、自分の現状がよく分からないことから過剰に不安が掻き立てられていることによるものです。そのため、メモ書きすることで冷静に整理することができます。
また、考えていることを言語化して書き出す行為には、ストレスホルモンを減少させる効果もあります。筆者も、画像のように「ジャーナリング」という考えていることをひたすら紙に書き出していくメモ書きを習慣づけたことがありますが、その際にも「なんとなく悲しい」「なんとなくイライラする」といったぼんやりした感情の原因を冷静に言語化する習慣がついたため、無駄な感情のアップダウンが少なくなりました。
・瞬間的に判断できるようになる
メモ書きを続けることで頭の中が整理され、高速で思考する習慣がつきます。そのため、現在の仕事において何が大切か、押さえておくべきことや起こりうることは何かと言った事柄が普段から推測できるようになります。
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自分の興味のあるようなちょっとした事柄でメモ書きをするのは案外楽しいので続けられます。まずは簡単なトレーニングから頭の筋トレを始めてみてはいかがでしょうか。
(参考)
赤羽雄二(2015),「速さは全てを解決する『ゼロ秒思考』の仕事術」,ダイヤモンド社.
STUDY HACKER|嫌なことを書きまくれ! 『ジャーナリング』でストレスから解放されよう
ダイヤモンド・オンライン|思考力を確実にアップさせる「メモ書き」の方法
ダイヤモンドオンライン|トップアスリートも実践! 思考力と精神力をアップさせる『ゼロ秒思考』とは?