イライラしたとき、つい怒鳴ってしまったり、物に当たったり、他人を傷つけるような言動をとったりしていませんか? 冷静になってから考えると、怒ったことによってひどく損をしたと気付くことの方が多いはず。「人間だったら怒るのは当然だ」と言う人もいますが、当然かどうかはさておいて怒った方が状況が良くなることなどないのではないでしょうか。今回は、怒ることのデメリットと怒らないための考え方・スキルをお伝えします。

怒ってもいいことなんてない

怒るとは、「冷静さを失い、感情に流されている状態」のことです。ここでは怒ることによってうまれる、具体的なデメリットを3つあげます。

1.自分が苦しい。
怒るとアドレナリンが分泌され、興奮状態に陥ります。この興奮状態が、怒っているときの苦しさの正体。この時、血圧や心拍数が上昇し、血管の収縮による血流の悪化などが起こるのです。特に苦しさの原因としてわかりやすいのは心拍数の増加です。走った後の心臓がバクバクする苦しさですね。あれをわざわざ味わいたいという人はなかなかいないのではないでしょうか。

2.怒った相手との人間関係が悪化する。
大体の人は、たとえ自分が悪かったとしても、人から叱られると反感を持ちます。なぜなら人間は自分のことを正当化したがるからです。そのため、怒りに任せて他人を叱りつけると相手からの反感を買い、関係性が悪化してしまいます。怒ってくるような人と付き合いたいとは、誰も思わないのです。

3.周りの人からの自分の評価が下がる。
烈火のごとく怒っている人を想像してください。その人を第三者の視点から見た時、どう感じるでしょうか。良くは思わないでしょうし、怒られている人に同情することが多いはずです。怒っている当人は自分の行動が正当なものだと感じていても、周りの人にとっては気持ちのいいものではありません。これと同じように、あなたが怒ったときにも、周りの人はあなたに対して不快な感情を抱いているのです。自分の評価を自ら下げてしまうなんて、もったいないですよね。

この通り、怒ることによって生じるのはデメリットばかり。では実際にどうすれば怒らないで済むのか、具体的な考え方と苛立ちを抑える方法をご紹介します。

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怒らないための考え方

相手に怒ってしまいそうになったとき、怒らずに穏便に済ませるための考え方を3つ挙げます。

1.相手の立場であったら、自分も同じことをしていたかもしれないと考える。
相手にもそれなりの事情があり、自分も相手と同じ立場であれば同じことをしたであろうと考えてみましょう。そうすることで、自分も相手も大して変わらないのだという気持ちになり、心に余裕が生まれるのです。
例えば、寝坊して遅刻してきた相手がいたとします。あなたはその時、どう考えますか?「寝坊してきて遅刻するなんて、なんてダメな人だ! こんな人と一緒に仕事なんかしたくない!」と考えるかもしれません。ですが、自分も寝坊をすることはあるはずです。そういうときには、相手にはのっぴきならない事情があって、止むを得ず遅刻してきてしまったと考えてみてください。

2.自分が絶対に正しいとは言い切れないと考える。
どんな状況であったとしても、自分が絶対に正しいということはありません。「俺こそが正しいんだ!」と言わんばかりに主張する人がいたら、腹が立ちますよね。しかし、怒っているときには興奮状態に陥っていることが多いため、自分でも気付かないうちに横暴な態度になってしまうことも多いのです。「俺こそが正しいんだ!」と主張してしまうことは、決して他人事ではありません。常に、自分が全面的に正しいわけではないことを心に留めておきましょう。
例えば、相手と意見が対立した場合。議論がヒートアップして、分からず屋の相手に苛立ちを覚えることもあるでしょう。しかし、絶対に自分の意見が正しくて、相手の意見が全面的に間違っているなどということはまずありえません。そう考えることで、相手の意見をしっかり聞く余裕が生まれるはずです。

3.自分のために怒るべきではないと考える。
先ほど述べた怒ることによるデメリットを思い出し、怒っても良いことは何もないのだから、怒らないようにしようと考えてみてください。筆者は、3つ挙げた中ではこれが一番効き目のある考え方だと感じます。相手のミスで損害を与えられたとしても、感情のままに叱り飛ばし、人間関係の悪化等の更なる損害を自分に与えることは、控えめに言っても愚かではないでしょうか。

怒らないための方法

考え方を変えたからといって、他人の行動にムカついてしまうことがゼロになるわけではありません。そのような時にイライラを抑える方法が、2つあります。

1.深呼吸をする。
何か言いたくなる前に、まずは深呼吸をしましょう。コツは、長くゆっくりと息を吐くようにすることです。深呼吸をすることで副交感神経を優位にし、心を落ち着かせることができます。

2.その場から立ち去る
つい怒鳴ってしまいそうになったら、その場から一旦離れましょう。時間を置くことで、感情の高まりも収まります。怒りのピークは6秒で過ぎる、という考えから7秒数えて怒りを静める方法が勧められることもありますが、相手が視界に入ると気持ちが収まらず、冷静になる前にイライラを増幅させてしまいかねません。

上の2つを試しても怒りが収まらない場合は、『トム・ソーヤの冒険』の著者として知られるアメリカ合衆国の作家、マーク・トウェインの方法に習いましょう。

同じくアメリカ合衆国の作家であるデール・カーネギーが書いた名著『人を動かす』には、マーク・トウェインの独特な「怒りの収め方」が記されています。彼は気に入らない編集者に対して辛辣な手紙を書きなぐることで、怒りを収めていたそうです。あなたも怒りの感情が抑えられないときには、その思いを手紙にしたためてみてはいかがでしょうか。ここで大切なのは、間違ってもその手紙を投函しないことです。マーク・トウェインの手紙も、奥さんがこっそりと抜き取っていたからこそ、編集者たちとの関係が悪化せずに済みました。そして、できれば気持ちが静まった数日後に読み返してみると良いでしょう。そうすることで、怒っている時の自分を客観視するができるはずです。

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怒ったり、他人にイライラしたりすることがなくなれば、それだけで生活は楽になります。これまで破壊していた人間関係も、怒らなければ良い関係を保つことができ、ストレスが減ります。余計なことに力を注がなくて済むので、仕事や勉強にもより力が注げるでしょう。自分の性質を変えることは、ある程度の労力を必要としますが、その労力以上のメリットはあると思いますよ。

(参考)
アルボムッレ・スマナサーラ著(2006),『怒らないこと 役立つ初期仏教法話1』,サンガ.
デール・カーネギー著(2016),『新訳 人を動かす』,KADOKAWA.