このところ何かと話題に上る謝罪会見。謝罪の仕方によって、謝られた方の受け取り方や、その後の仕事への影響が変わってくるのは明らかですよね。そして私達も、日常生活や仕事における様々な場面で、謝らなければいけない状況になることはよくあります。 そこで今回は、これまでに行われてきた謝罪会見も参考にしながら、謝罪の時に押さえるべきポイントをご紹介します。
相手がなぜ怒っているかを理解する
怒っている相手に謝る場面で、 「ごめんなさい」 「何が?」 というやり取りをしたことがあるという人はいませんか。怒っている人はその質問によって、謝ってきたこの人は、何に対して自分が怒っているのか、また自分自身何が悪かったのかをきちんと考えて謝っているのかを計ろうとするのです。
この時に、理由がわからず検討違いなことを言ってしまったりすると、相手の怒りは増大することになります。「あなたが怒っているから悪いことをしたんだと思った」などと答えてしまえば、謝ってその場を収めようとしているだけだと受け取られ、印象は最悪なものになってしまいます。 まず謝る前に、一瞬でも何が一番相手を怒らせたのかを考えてから謝りましょう。この時に実は重要なのが、浮かんだ可能性を素直にすべて並べることです。
謝る相手がどんな関係にある人にせよ、他人である以上何に対して怒っているかはその時々によって違い、自分の予想がつかないものである可能性は多分にあります。怒っている理由を決めつけることは、逆に相手に不快感を与え、謝罪を受け取りたくないという気持ちにさせてしまいます。
とにかく、「謝る時に何に怒っているのかを理解していること、もしくは理解しようとしていること」を相手に伝える必要があるのです。
誠実であること
これは先ほど挙げた項目にもつながります。その場を収めようとするだけのおざなりな謝罪では、相手をより怒らせるだけですし、その場を嘘でしのごうとすれば、その嘘がばれた時により悪い印象を与えてしまうことになります。
ここ最近はあるバラエティタレントの謝罪会見の話題で持ちきりですが、あの会見でも、その場を嘘で繕おうとしたことが続く報道で明らかになってしまい、彼女は一層世間から叩かれることになってしまったのです。
また、誠実さを伝えるために必要なのが、今後の自分の姿勢を示すことです。今回の失敗を生かすということ、そしてその失敗を繰り返さないために自分はどうするのか、どう責任をとるのかをしっかり自分の言葉で伝える必要があります。「この失敗を今後に活かし……」という常套句を流用したような言葉では反省の気持ちや具体性が伴わず、誠実でないとみなされます。
同じ謝罪会見でも今回のバラエティタレントのものとまったく違う印象を与えたものとして知られているのが、ビートたけしさんの謝罪会見です。 ビートたけしさんが懇意にしていた女性に対して、ある記者が執拗に取材を迫り、けがを負わせるという事件が起き、ビートたけしさんはその過剰な取材攻勢に対して憤慨、当時人気の絶頂にあったにも関わらず出版社に弟子たち数人と共に出向き、乱闘に発展しました。
この事件の謝罪会見の際、ビートたけしさんは自分の非は認めたうえで、今後の進退についての質問には、
「仕事をもらうほうの立場であって、芸人は仕事があれば行く。事務所や軍団の巻き込んだ人をほっといて、今引退して逃げたら、後どうなるんだ。巻き込んだことを処理しないまま逃げるわけにはいかない」
[引用元:ORICON STYLE|謝罪会見は“諸刃の剣”、対応次第で潮目が変わる]
とはっきり自分の意思を伝えたうえ、自分の弟子たちについてもこの事件のせいで今後職を失ってしまうようなことがあれば、自分が一生面倒を見るという発言をしたと言います。
このビートたけしさんの謝罪会見は、まさに誠意のこもったもので、もちろん事件の内容が内容である以上批判もありましたが多くの人から受け入れられ、その後ビートたけしさんが芸能界で活躍されていることは皆さんもご存じの通りです。
謝罪の切り札をもたない
よく、これをすれば許してもらえるだろうと感情を伴わずに切り札のようなものを行使して相手の怒りを収めようとする人がいます。例えば土下座や、泣くという行為、お金という手段が挙げられます。 しかしこれらの行為は、許さなければいけないという罪悪感を相手に強いるもので、自分自身の反省や謝罪の気持ちは伝わらないばかりか、相手の感情を完全に無視し、踏みにじるものだと言えます。
たとえばSTAP細胞の小保方さんも会見で涙を流し、相手の感情に訴えかけようとしたことで、それが意図的だったにせよ無意識であったにせよ、研究内容やその正当性を知りたいという謝罪を聞く側の気持ちを無視し、「自分はかわいそうだから認めてくれ」と訴えかけた会見としか受け取られず、世間の不快感を煽る結果になってしまいました。
また、以前も謝罪会見で号泣した議員は、今回の裁判の前の捜査段階で容疑を認める反省文を検察側に提出したことについて、
「反省すれば理解してもらえると思った。うそ偽りであり、非常に後悔している」
[引用元:HUFFPOST|野々村竜太郎被告「記憶を確認します。しばらくお待ち下さい……思い出せません] と述べており、実際に反省するのではなく、反省文を切り札にして反省した態度があるように見せかけてしまったのです。
これらの「自分の反省を相手に伝え許してもらえるはずの切り札」なるものを行使しようとすることも、相手に対して謝罪よりも不審感を抱かせるだけの上、すぐにばれてしまいます。そういったものに頼らずに自分の気持ちを誠実に伝えることが大切なのではないでしょうか。
*** 今回ご紹介した「相手がなぜ怒っているかを理解する」「誠実であること」「謝罪の切り札をもたない」という3つの項目は、基本的でありながら忘れられがちな、謝罪における重要な3項目です。今後謝らなければいけない時には念頭においておけるといいですね。
ちなみにこれを守れば大丈夫と、この3項目を切り札化して気持ちが伴わなくなってしまうのは本末転倒ですから、気を付けてくださいね。
参考・引用サイト ORICON STYLE|謝罪会見は“諸刃の剣”、対応次第で潮目が変わる HUFFPOST|野々村竜太郎被告「記憶を確認します。しばらくお待ち下さい……思い出せません