みなさんは、「仕事を素早く処理できない」「人とのコミュニケーションが上手くできない」など、何度も同じようなことに悩みストレスを感じることはありますか? 悩まずに済むよう自分なりにいろいろと行動してはみるものの、どうもうまくいかない……。なんとも辛いものですよね。しかしそれは行動以前に、そもそも自分がもつ「思考のクセ」が邪魔をしているのかもしれません。
今回は、その「思考のクセ」を直す方法についてお伝えしたいと思います。
「思考のクセ」とはどのようなものか
一般社団法人認知行動療法研修開発センター・臨床技術開発室長の田島美幸氏によると、「思考のクセ」にはいくつもパターンがあるのだそうです。そのなかの3つをご紹介しましょう。
1.べき思考
「べき思考」とは「〇〇すべきだ」と自分で自分を縛ってしまう考え方です。たとえば、試験で成績が振るわなかった学生が、「学んだことは必ずできるようにすべきだ」と考えたり、社会人が「もっと早く仕事をこなすべきだ」と考えたりして、自分を責めることなどがそうです。
しかし、「べき思考」の人は、その意志の強さで物事をやり遂げることも多くあります。ただ、思うように事が運ばない状況が続くと、逆に大きなストレスとなってしまいます。
2.思い込み・レッテル貼り
「思い込み・レッテル貼り」とは、根拠がないのに「いつも○○だ」「必ず○○である」と決めつけてしまう考え方です。そして、ついには自分に対し「ダメ人間」などというレッテルまで貼ってしまうのです。たとえば、学生が「成績が振るわない自分はダメ人間だ」などと思い込んだり、社会人が「商談をまとめられない自分はダメ人間だ」などと思い込んだりしてしまうことですね。
しかし、このような傾向が強い人は結論を出すのも早いので、躊躇せずに前進することができます。ただ、その思い込みが全くの見当違いだった場合、ストレスをためる結果になることも。
3.深読み
「深読み」とは、「きっと○○に違いない」と相手の気持ちを一方的に予測してしまう考え方を指します。このタイプの人は、相手の表情を読み取り、気配りできる人とも考えられます。しかし、たまたま上司が不機嫌だった場合でも、「きっと自分の仕事ぶりがひどいからに違いない」「自分のことが嫌いなのかもしれない」と推測するなど、自らストレスを抱えることも多いのです。
このように「思考のクセ」は、とかくネガティブに物事を捉え、自分の行動をどんどん悪い方へと導いてしまいます。そのため、知らず知らずのうちにストレスの原因となっているわけです。
ちなみに、ぐるぐると何度も同じことを考えてしまう思考のクセを「反芻(はんすう)思考」と言います。そしてこの思考はネガティブであることが多いのです。ストレスから解放されたいのなら、この「反芻思考」をやめる必要があります。
「思考のクセ」を直す方法
では、悪影響を及ぼしかねない思考のクセを、私たちはどのように改善していけば良いのでしょうか。私たちでも簡単にできる方法は以下の通りです。
1. 物事の視野を広げて柔軟になる
自分の主観的な考えに固執していては、いつまでたっても悩みやストレスから解放されることはないでしょう。そのために、一度自分の考えを客観的に捉える必要があります。
たとえば、「良い大学、良い会社に入るために、もっと勉強して成績を上げるべきだ。そうしなければ、きっと社会では生き抜けない」という考え方をしている人がいるとします。しかし、実際は決してそのようなことはありませんよね。
もし自分の極端な考え方に縛られて苦しいと感じたら、周囲の人に意見を求めてみたり、著名人の生き方などを参考にしたりしてみてください。広い視野で物事を捉えることができるよう、そこから多くの価値観を取り入れてみるのです。そうすれば、自分の考え方だけが全てではないと分かり、柔軟になれるでしょう。
2. 短い時間だけでも気を紛らわせる
心理学者であるガイ・ウィンチ氏は、不安や動揺、ネガティブな思考におそわれた時は“たった2分でも気分転換を行うと良い”と伝えています。
軽いストレッチもしくは掃除や散歩でも構いません。その時点における自分の思考から離れ、ほかに集中することによって自尊心を守ることができます。そうすれば、「べき思考」や「思い込み・レッテル貼り」「深読み」も、ポジティブな思考や効率的な行動につなげることができます。
3. 考えるより先に行動する
「べき思考」や「思い込み・レッテル貼り」「深読み」をしがちな人は行動する前から、間違ったことをしないように、あるいは周囲の人を不快にさせないように、などと考え過ぎてしまうことがあるのではないでしょうか。ですが、行動は時として思考を変化させるものです。
「案ずるより産むが易し」ということわざにもある通り、まずは自分が最初に考えたまま行動してみてください。案外心配したほど大したことはないものです。たとえば人に話しかける際、「この人とコミュニケーションをとりたいけれど、相手はそれを望んでいないのではないか」と躊躇する前に、まずは話しかけてみましょう。自分が考えていたよりも、ずっとスムーズに会話がはじまるかもしれませんよ。
それに、間違っていたり、結果がいまひとつだったとしても、その都度改善したり再チャレンジしたりすれば良いだけのことなので、なにも心配する必要はありません。自分で考え行動を起こした上での成功体験が増えれば、きっと悩むことも少なくなります。
*** 自分がどのような「思考のクセ」を持っているか分からない場合は、家族や友人に尋ねてみてはいかがでしょう。自分では気づかなかった意外なクセを、発見できるかもしれません。
自分の「思考のクセ」をコントロールできるよう、ぜひお伝えした方法を試してみてくださいね。
(参考文献) COMHBO地域精神保健福祉機構|考え方のクセとは何か?(医師) NIKKEI STYLE|思考のクセを直して、心を健康にする方法 TED Talks|感情にも応急手当が必要な理由