社会生活に「信頼」は不可欠です。しかし、築くのは決して簡単ではありません。世界的な文豪や、ビジネスシーンで活躍する人々の言葉をヒントに導き出した、信頼を勝ちとるために役立つ5つのテクニックを紹介します。

信頼を勝ちとるテク1:「周囲の期待を少しだけ超える」

「信頼ポイント」は、決して簡単に積みあがるものではないと、LINE株式会社執行役員・LINE企画室室長の稲垣あゆみ氏はいいます。目の前のひとつひとつに対し、“周囲の期待を少しだけ超えたこと”をしていく積み重ねが必要なのだとか。

たとえば「午後イチに仕上げてほしい」と頼まれたものを、ほんの少しだけ早い「午前中」のうちに仕上げて渡すといった些細なことでいいのです。

それを続けていくことにより信頼が生まれ、相手が好意的になるので協力を得やすくなり、自分の発言力も説得力も高まっていくはずです。

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信頼を勝ちとるテク2:「仕事の進み具合を見える化」

LINEの稲垣氏はプロジェクトを進めていく際、進捗状況の見える化を常に意識していたそう。そうすることにより、「この人に任せれば仕事が進む」と示せるからなのだとか。その積み重ねが信頼につながったといいます。

それに、「見える化」は違う側面からも好状況をつくります。グロービス出版局長、グロービス経営大学院教授の嶋田毅氏は、著書のなかでこう述べています。

――議事録は、単に参加者間で共有するだけではなく、広く関係者に公開することも効果的です。それにより、透明性が高まるとともに、メンバーの当事者意識や責任感も高まるからです。

(引用元:嶋田毅著(2017),『MBA生産性をあげる100の基本』,東洋経済新報社.)

この言葉を個人的な観点にしてみると、自分の仕事の状況をあえて周囲に見せることで、自分自身の意識や責任感を高められるということにもなります。それが他者からの信頼を得る要因になることは、言うまでもありません。また、嶋田氏によれば、広く情報を共有しておくことにより、アドバイスや知恵、力を貸してくれる人が増えるそうです。

信頼を勝ちとるテク3:「失敗を認めて頭を切り替える」

誰にでも失敗はありますが、大きな違いが生まれるのは失敗したあとです。中国の思想家・孔子は、

過ちて改めざる是を過ちという

(引用元:goo国語辞書|過ちて改めざる是を過ちという(あやまちてあらためざるこれをあやまちという)の意味

といいました。“過ちはだれでも犯してしまうことがあるけれど、本当の過ちは、過ちと知っていながら悔い改めないことである”と諭しています。自分の失敗を認めず誰かのせいにしたり、隠そうとしたり、いつまでも悔やんでいたりする行為は、再び同じ失敗をしようとしているようなもの。それで失敗を繰り返していたら、どんどん信頼を損ねてしまいます。

『プロフェッショナルサラリーマン』の著者・俣野成敏氏は、失敗を認めることで頭を切り替えることができ、「二度と同じ失敗をしないようにするには、どうしたらいいか?」と考えられるといいます。失敗しても次に活かすことができれば、後々大きな信頼を勝ちとることができるでしょう。

信頼を勝ちとるテク4:「謝るだけではなく正す」

ドイツの文豪ゲーテは、こういいました。

誤りは真理に対して、睡眠が覚醒に対するような関係にある。人が誤りから覚めてよみがえったように再び真理に向かうのを私は見たことがある。

(引用元:ゲーテ著,高橋健二訳(1952),『ゲーテ格言集』,新潮社.)

この言葉は、いま話題のベストセラー『漫画 君たちはどう生きるか』にも記されています。「失敗」という体験がきっかけとなり、モヤのかかっていた迷い道が明るく照らされ、正しい方向へと向かえるわけです。ゲーテはこうも伝えたそう。

善人は過去の過ちを詫びる。しかし、真に偉大な人物は、それを正す。

(引用元:アメリカABCドラマ『FOREVER Dr.モーガンのNY事件簿』14話:「血塗られたヴィーナス」)

つまり、失敗を認めて謝罪することはもちろん大切ですが、それを正してこそ、より確かな信頼を得られるということ。

たとえば「先日お渡ししたデータが、一部更新されていませんでした。誠に申し訳ございません」で終わるのではなく、「データはすべて修正し、先方にもご連絡しました。本当に、申し訳ございませんでした。念のため、修正箇所を書き出してお渡しします」などと、幾層にもフォローを重ねていきましょう。

なお、ミスを正したあとは、トヨタ自動車の「なぜなぜ分析(なぜなぜ5回)」がおすすめです。トヨタ自動車から広まったこの分析は、製造業の現場で作業環境や作業手順などの改善に役立てられているそう。「なぜこのミスが起きたのか?」「なぜすぐ気づかなかったのか?」といった問いかけの繰り返しが、再発防止に役立つはずです。

信頼を勝ちとるテク5:「相手に信頼を示す」

臨床精神科医の Adam Grant 氏は、相手から信頼を得る一番の方法は、信頼を示すことだと述べています。

同氏によると、American Psychological Association で発表された研究では、メールで何かしらの交渉をするよう研究者から指示された学生のうち、交渉相手に個人的な情報を伝えた学生は取引の成功確率が59%であったのに対し、ほとんど個人情報を伝えなかった学生は、成功した確率が40%未満だったそう。

そもそも「私があなたを信頼するかどうかわからないけど、あなたには私を信頼してほしい」というのは無理な話ですよね。

初対面であったり、ビジネス上の付き合いだったり、同僚だったり上司だったりと、さまざまな関係がありますが、出身地や趣味など、“差し障りのない”ちょっとした「個人的情報」の提示は、もっとも簡単でシンプルな信頼の示し方になるはずです。そこから、「アドバイスが欲しい」と頼むなど、うまく信頼を示していきましょう。

***
「信頼」を勝ちとる5つのテクニックを紹介しました。

1.周囲の期待を少しだけ超える
2.仕事の進み具合を見える化
3.失敗を認めて頭を切り替える
4.謝るだけではなく正す
5.相手に信頼を示す

ぜひ、多くの信頼を手に入れ、ビジネスにおける最強の武器にしてくださいね。

(参考)
吉野源三郎著,羽賀翔一著(2017),『漫画 君たちはどう生きるか』,マガジンハウス.
ゲーテ著,高橋健二訳(1952),『ゲーテ格言集』,新潮社.
嶋田毅著(2017),『MBA生産性をあげる100の基本』,東洋経済新報社.
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