なぜ一流起業家はSF小説を読みたがるのか? “エリート狙い” こそ小説を読むべき4つの理由。

みなさんは、普段から小説を読んでいますか。小説が大好きで本屋や図書館に通いつめる人がいる一方で、実用書や自己啓発本を必要なときにしか読まないという人もいるでしょう。また、学生の頃にはよく小説を読んでいたものの、社会人になってからは読まなくなってしまったという方も、少なくないかもしれませんね。

実は、小説の効果は「読んで楽しい」というだけではありません。その意外な他の効果を知ると、きっとすぐに小説が読みたくなってくることでしょう。そこで今回は、小説が私たちに与えてくれる4つの効果についてお伝えします。

1. 語彙力・表現力の向上

会議やプレゼンなどで発言する機会が多い人や、企画や商品のアイデアを考える仕事をしている人、文章を書くことが多い人。こうした方々なら、発言の説得力や語彙力、文章力を高めたいと考えるのではないでしょうか? もしそうであれば、小説を読んでみることをおすすめします。

小説を読むことの効果について、戦略コンサルティングを手掛ける株式会社ドリームインキュベータ代表取締役会長の堀紘一氏は、ビジネスパーソンが読書をする場合、ビジネス書ばかりを選ぶのではなく、読む本のうち30%は小説を選ぶべきだと勧めています。その理由について、堀氏は次のように述べています。

ビジネスパーソンに小説をすすめると意外な顔をされることもあるが、ビジネス書ばかり読んでいると少々頭が硬くなってくるし、やや難しいところもあるだろうから、背すじを伸ばして集中して読まないといけない。 (中略) 読書には気分転換の効用もあるから、肩の力を抜いて読める小説も読むべきなのだ。 そうはいっても、小説は単なる気分転換の道具ではない。再三触れているように、小説を読むと語彙や言い回しが広がる。それがコミュニケーション力やストーリー構築力といった表現力の向上につながってくる。

(引用元:東洋経済ONLINE|学歴不要!人生は「読書次第」で大きく変わる)太字は筆者にて施した

小説はただ楽しいだけではなく、語彙力表現力を伸ばすための格好のツールなのです。

コツは、ただ小説をさらっと読むだけでなく、あるひとつの場面において突き詰めて考える練習をしてみることです。例えば、ある小説においてお気に入りの場面があったとしましょう。その場面で使用されている表現を、別の言葉で置き換えることができないか、多義語や類義語を探すなどして考えてみてください。

国立国語研究所教授で日本語学者の石黒圭氏によれば、言葉をたくさん知っているだけでなく、文脈に合わせて適切な語を選ぶ運用力が備わって初めて、真の語彙力が身につくのだそう。気に入った場面にフォーカスして、どうして小説の著者がその表現を選んだのか想像してみると、楽しみながら語彙力を高めていくことができるはずです。

あらゆる小説を読むたびにこのトレーニングを繰り返せば、語彙や表現の幅が広がることは間違いないでしょう。そして、多様な物語展開に触れることで堀氏の言うような「ストーリー構築力」が身につけば、発言や文章・アイデアの内容もより洗練されたものになりますよ。

2. 共感能力の向上

カナダのヨーク大学で研究を行う心理学者であるレイモンド・マー氏は、物語を理解するために用いられる脳内のネットワークと、他者と交流するために用いられる脳内のネットワークの部分に特別な違いはないと述べています。小説をよく読む人は、他人に共感し、他人の視点で考えることができるようになるのだそうです。

確かに、小説を読んでいるときには、主人公などの登場人物の感情を理解しようとしたり、知らず知らずのうちに感情移入してしまうものですよね。私たちが小説を読んでいる際の脳の反応について、マーケティングの第一人者・ルディー和子氏が、著書『合理的なのに愚かな戦略』のなかで次のように解説しています。

小説を読んでいる読者は(とくに登場人物に感情移入している読者は)、登場人物が本の中で感じていることやしていることを、まるで自分自身がしているかのような反応を脳のなかで起こしている。たとえば、主人公がクルマのハンドルを握ったという箇所では、読者の脳内の運動に関係する神経ネットワークが活性化し、主人公がまわりを見渡しているときには目の動きをつかさどる神経ネットワークが活性化する。読者は小説のなかでの出来事を、自分自身の出来事として経験していることになる。

(引用元:Googleブックス|合理的なのに愚かな戦略 書籍のプレビュー)太字は筆者にて施した

このように、小説を読むことは、現実世界での出来事のシミュレーションをしているようなものだと言えるのです。また、トロント大学の認知心理学名誉教授であるキース・オートリー氏も、小説は有益なシミュレーションであり、社会生活の複雑さを理解するのを助けてくれると言います。

小説を読むことを通し、人には様々な感情や考え方があることをシミュレーションによって体験できれば、実生活における対人関係においても他者への理解がより深まるはずです。チームをまとめる立場にあってメンバーの考えに共感できるようになりたいと考える人や、普段人との会話や交流に自信がないという方は、実用書ではなくあえて小説を読んでみることをオススメします。

3. 柔軟な思考力、発想力の向上

既存の概念にとらわれない柔軟な視点を養いたいと考えるビジネスパーソンは、小説の中でもSFジャンルを選んで読んでみましょう。SFは、一見ビジネスとかなりかけ離れた分野に思えますよね。どうして読む意味があるのか、と疑問に思った方も多いかもしれません。しかし作家のエリオット・ペパー氏は、GoogleにMicrosoft、そしてAppleまでも、SF作家をコンサルタントに招き入れているほどに、SFの考え方を重視していると言います。

作家のアイリーン・ガン氏は、未来を描いたSFには「万物が変化する中で人は生きていく」ということを読者に理解させる役割があると述べています。また、テクノロジー・ジャーナリストのGlenn Fleishmanは、科学者が新しい技術を大規模で採用するにあたり考えられ得る落とし穴を発見するために、SF作家を雇って架空のプロトタイプや思考実験、潜在的な市場についての仮説を作成しているのだと解説しています。

現代社会の変化スピードは確かにすさまじいものであり、そのスピードに対応していかなければならないビジネスパーソンにとっては、SFがぴったりでしょう。実際、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏は、SFから発想を得て電子書籍リーダーKindleを生み出したのだそう。ほかにもSFを参考にしている起業家は多く、25年以上のキャリアを持つ起業家でベンチャー投資家でもあるBen Narasin氏は次のように述べています。

企業の創業者たちの間では、SF、ファンタジー、ロールプレイングゲーム、コミックが共通の関心ごとであることも多い。私はその関心を失うべきではないと言いたい。SFやコミックは未来のビジョンを与えてくれるものであり、そのビジョンを起業家が実現し、そのビジョンに投資家が出資するのだ。

(引用元:TechCrunch Japan|起業家はSF小説を読むべきだ)太字は筆者にて施した

また、SFは、より複雑化する現実世界を理解するにも有効です。例えば、ジョージ・オーウェルの『1984年』というSF小説があります。この小説は、全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いたもの。1949年の発売当時にもヒットしましたが、アメリカでトランプ大統領が就任した際に再度ヒットしたことでも有名です。

ハーバード大学で講義を行う倫理学者クリス・ロビショー氏によれば、人は、物語に目を向けることで深刻な問題の切り抜け方を見出すものなのだそう。暗い内容を描いた『1984年』は、政治的に分断され混迷を深める社会を理解するための物語として、多くの読者に支持されたということなのです。

SFには、ものすごい速さで進化を続け複雑化し続ける現実世界を生きていくヒントがあると言えるのですね。

4. ストレスの解消

読書をするとストレスが解消できる、という研究結果があります。イギリス・サセックス大学のデイビット・ルイス氏が行った研究により、たった6分間の読書がストレスを68%も減少させることが分かったのです。このパーセンテージは、音楽鑑賞や散歩、コーヒーを飲むことなどによるストレス解消効果を上回るもの。読書によって気持ちが落ち着く経験をしたことがある人は多いと思いますが、これは気のせいではないのですね。

またルイス氏は、ストーリーを理解することや登場人物に共感することが大切だと言っているのだそう。このことから、読書によるストレス解消効果を得たいなら、まさに小説がぴったりだと言えます。

The New Yorker誌によれば、「定期的に小説を読む人はそうでない人と比較して眠りが良く、ストレス・レベルが低く、自尊心が高く、うつ病の割合が低い」のだそうです。つまり、小説を読む習慣を身につけることで、深くリラックスした状態を得やすくなるのです。

日々の生活でストレスが溜まっている方は、その解消法として小説を読むことを取り入れることをぜひ検討してみてください。

*** 小説が私たちに与えてくれる効果について、改めて考察をしてみました。日々忙しい中でも、まずは6分間小説を読むこと始めてみてはいかがでしょうか。

(参考) Glenn Fleishman著(2015),『The Magazine: The Complete Archives』,Aperiodical LLC. 東洋経済ONLINE|学歴不要!人生は「読書次第」で大きく変わる NHK 解説委員室|「語彙力の強化」(視点・論点) ハーバード・ビジネス・レビュー|ビジネスリーダーはなぜ、SF小説をもっと読むべきなのか WIRED|2017年のいま「ディストピア小説」の人気が再燃している理由 The New York Times|Your Brain on Fiction Locus Online|Eileen Gunn: Other Lands The New Yorker|Can Reading Make You Happier? Googleブックス|合理的なのに愚かな戦略 書籍のプレビュー TechCrunch Japan|起業家はSF小説を読むべきだ StudyHacker|6分の読書でストレス7割減! 読書でストレスが消える “ワケ” と “コツ” マナトピ|読書がストレス解消&リラックスに効果的って本当?読書の効果をチェック

会社案内・運営事業

  • 恵学社

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、大学受験の予備校「学び舎東京」「烏丸学び舎」や、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」を運営。
    >> HPはこちら

  • 学び舎東京

    烏丸学び舎

    東京・京都に校舎を構える個別指導の予備校。勉強に過度な精神性をもちこまず、生徒1人1人に合理的な勉強方法を提示することで「東大・医大に合格できた!」「3ヵ月で偏差値が15上がった!」などの成果が続出。
    >> HP(東京校舎)はこちら
    >> HP(京都校舎)はこちら

  • english company

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >> HPはこちら