人それぞれに、持って生まれた性格タイプがあります。わたしはそれを「本質」と呼び、習慣化のコンサルティングをするときには、それらを変えようとするのではなく、上手に活かしてもらうように相手の性格タイプを見極めます。
性格タイプとは根源的欲求を示し、いちばんわかりやすのがエニアグラム(人間の性格を9種類に分類し、円周を9分割させてそこに9つの性格をあてはめた性格論、性格類型のこと)です。実は、「続ける力」には、技術的な側面と性格タイプによって、特有の挫折パターンや続けられるコツがあります。今回は、9つの性格タイプの特徴と、それぞれのポイントをご紹介しましょう。
構成/岩川悟(slipstream) 写真(※本人写真のみ)/玉井美世子
完璧でありたいタイプ
◆特徴
いい加減が嫌いで、理想とするあるべき姿を目指す。「こうあるべき!」という高潔さを、自分にも他人にも求めがち。
◆挫折パターン
あまりにも完璧を求めすぎると、0点か100点か主義になり、自己嫌悪感が強くなる。
◆続けるコツ
【1】ベビーステップ(赤ちゃんの一歩)ではじめる いきなり高いハードルではなく、小さな一歩で踏み出すように自分を許す。疲れているとき、気分が乗らないときは、ベビーステップで「良し」とする。
【2】自分史上最高を更新する覚悟を持つ 完璧な状態とは程遠い状態に「耐えられない」傾向があるので、過去の自分と比べて成長している「自分史上最高」を常に更新している感覚を持つ。
人とかかわりたいタイプ
◆特徴
相手との人間関係や感情のやりとりを重視する。充足感を得るには、「愛されたい」「必要とされたい」という感情を満たすことを求める。親密で温かい関係を必要としている。
◆挫折パターン
他人を優先してしまう傾向があるので、人に振りまわされて自分の時間が足りなくなることがある。
◆続けるコツ
【1】自分の時間をブロックする 飲み会の誘いや家族との予定などを優先しすぎるあまり、自分の習慣化のための時間がなくなることがあるので、自分の時間をしっかりブロックする。
【2】「習慣友だち」をつくる たとえば、ジョギングや英語学習における「自分の先生」のような存在をつくる。または、同じ志の仲間、コミュニティーなどを通じて励まし合える関係があると、やる気に火がつきやすくなる。
達成したいタイプ
◆特徴
常になにかを目標を達成したいという気持ちが強いだけでなく、「賞賛されたい」「認められたい」という思いが強い。
◆挫折パターン
短期目標に執着しやすく達成感を味わいたいタイプのため、ロケットスタートしてしまい無理がたたるとすぐに失速する。
◆続けるコツ
【1】中長期での目標を持つ 決まった間隔で、TOEICなどのテストを受験する、1年後にフルマラソンに挑戦するなど、中期的な目標があると努力を継続する意欲が湧く。
【2】小さな足跡を感じる 達成感が比較的少ないコツコツとした努力が得意ではないため、自分で継続している記録をつけたり、SNSなどで発信して、まわりから「頑張っているね!」と承認されたり、努力を認めてもらうような工夫をする。
オリジナリティを追求したいタイプ
◆特徴
人と同じことが嫌いで、個性や独創性を発揮したい気持ちが強い。
◆挫折パターン
人と同じやり方で、集団でなにかをすることに耐えられず飽きてきてしまう。
◆続けるコツ
【1】変わった習慣にチャレンジする 運動をするにしても、まわりがやっていない種類のダンスやフリークライミングなど、変わったことにチャレンジしてみる。もしくは、変わったやり方をしてみる。
【2】ひとりでやる 集団で行動することが苦手なため、ひとりでできる習慣のほうが続けやすい。
頭で納得したいタイプ
◆特徴
情報を収集したり、専門性を追求したりする気持ちが強い。
◆挫折パターン
論拠や効用が腑に落ちていないと納得できず、常に「これはもっとも効果的なのか?」「いちばん良い方法なのか?」と頭で考え過ぎて迷いが生じてしまう。
◆続けるコツ
【1】情報収拾していちばん効果的かつ、納得いくやり方を模索する ダイエットをするにしても、運動をするにしても、ネットや本で情報を収拾してさまざまな可能性や選択肢を調べて選ぶと、納得して継続することができる。
【2】なるべく数値化やデータ化をする 実施日や実施データなど記録をつけていくと振り返りができるので、データ化することで効果を実感しやすい。
安全・安心でいたいタイプ
◆特徴
仕事や人生において、安全・安心を得たいという気持ちが強い。
◆挫折パターン
やることがあまり多く無理がたたるプランだと、「未知数でリスクがありすぎる」と感じてしまい嫌になる。習慣化の実施が、天候や人に左右される状況にあると挫折しやすい。
◆続けるコツ
【1】無理な目標を立てない ジョギングにしても英語学習にしても、あまり無理な目標を立てない。
【2】なるべくパターンを決める 結果よりもプロセスを重視して、安定して実践できる時間、手順、場所を確保する。
楽しくありたいタイプ
◆特徴
常にポジティブな気持ち、楽しさを追求したい。
◆挫折パターン
「やるべき!」と義務感が強くなりすぎると、極端にモチベーションが落ちてやらなくなる。
◆続けるコツ
【1】義務感ではなく快感にする 英語学習なら、たとえばハリウッド映画を題材にしてみる。運動なら、大好きなテニスをするなど、いかに楽しくできるかを工夫することが最大のポイント。
【2】適度に変化をつける マンネリ化するとモチベーションが下がるため、適度に変化をつける。
自分をコントロールしていたいタイプ
◆特徴
自分や状況をコントロールしたい気持ちが強く、自分の強さを感じたい。
◆挫折パターン
習慣行動の先に、挑戦心を駆り立てるリスク目標がないと物足りなくてやめてしまう。
◆続けるコツ
【1】挑戦する目標を立てる たとえば、英語学習をする際には外国人相手にプレゼンする機会を用意する、ジョギングするなら半年後に駅伝に出るなどリスクのある目標を立てるとやる気になる。
【2】みんなに宣言して追い込む SNSでつながっている人や、会社の上司に宣言してコミットすると、あとに引けなくなることで逆にやる気になる。
マイペースでいたいタイプ
◆特徴
マイペースで自分のリズムを一定に保ちたい。
◆挫折パターン
突発的に行動するのが得意ではない。追い込むかたちの習慣行動だと、無理がたたりやめてしまう。
◆続けるコツ
【1】行動を可能な限り平準化する もともと継続するのが得意だが、目標があれば先々を見通して行動を平準化できる。
【2】一定パターンを繰り返す 同じ時間、手順、同じ量をやる力があるので、コツコツ継続する力を生かす。
*** 上記にある9つのタイプは、人によって複数あてはまることもあるかもしれません。それらを意識して、継続力を高め良い習慣を自分のものにするヒントにしていただければ幸いです。
【今回の習慣化ルール】 ・続けるには、技術と性格要素が影響する ・挫折パターンと続けるコツを性格タイプ別に学ぶ ・9つのタイプは、複数あてはまるのでひとに限定しないで自由に考える