“失敗を恐れる人” に表れる3つの危ない思考習慣。「成功か失敗か」だけの判断は偏りすぎている。

古川武士「失敗を恐れる人が変えるべき思考習慣」01

失敗が怖くて思い切って動けません……」という悩みは、大人であっても非常に多いものです。実際、習慣化コンサルタントとして活動していると、そのような悩みを耳にします。

会社組織で見た場合、社会人の先輩の観点から「失敗を恐れるな! 失敗は成功の元だ」とアドバイスするのは簡単かもしれません。むかしから、「失敗を恐れるな! 失敗は成功の母である」ともよくいわれます。

ですが、わたしから見ると、それらはあまり正しいとらえ方だと思えません。そのような根性論ではなく、たったひとつの思考の転換が、ストレスや恐れを軽減してくれるからです

連載最終回となる今回は、科学的に思考習慣というアプローチに迫ってみます。

構成/岩川悟(slipstream) 写真/玉井美世

思考習慣1:二極化思考から全体思考へ

まず、「失敗」「成功」、「うまくできた」「できなかった」というのは、二極化思考(ふたつにひとつで判断する)であって、偏りがあることに気づくことからはじめましょう

 「プレゼンで失敗をした……」と落ち込んでいる新入社員のAさんがいたとします。初めての社内プレゼンで、質問への回答が十分にできなかったので、上司から「もっと練習が必要だ」といわれたのです。自分でも納得できていませんでしたし、上司からもネガティブな意見をいわれてしまったAさんは、「今回のプレゼンは失敗だった……」と思いました。

 でもそれはちがいます。どんな経験にも、「うまくいったこと」と「改善したほういいこと」が含まれているだけなのです。失敗か成功かは、あくまでも「総論」であって、どんなに成功だと思っている経験にも改善点はあるし、失敗だと思っていることのなかにも「やって良かったこと」が眠っているのです。感情論ではなく、冷静になって「プラス」と「マイナス」を整理して改善を考えることが有効です

 例えば、次の3つの質問を自分自身にしてみてください。

・今回やってみての反省点や改善点はなんですか?(マイナスの整理
・今回の経験でうまくいったこと、やって良かったことはなんですか?(プラスを5つ発見
・次回はどんなことを試してみようと思いますか?(行動の整理

 ここまで考えれば、極端な二極化思考から抜け出すことができ、全体思考になっていきます。ポイントは、失敗ととらえている経験のなかにも良かったことを5つ強引に発見すること。そうすると、視野がどんどん広がっていきます。

古川武士「失敗を恐れる人が変えるべき思考習慣」02

思考習慣2:静止画思考から動画思考へ

Aさんのプレゼンの例で、そのまま解説していきます。全体思考にするとともに、もうひとつ考えるべきは、ものごとを「静止画でとらえている」という問題です。

新入社員のAさんには、目の前の仕事しか頭に入ってこないので次のような連続の観点がないのです。

・すごいと思っている主任や部長もあなたと同じ新入社員のときがあった
・生まれてきたときから主任や部長になっている人はいない
・主任や部長だって経験を積んで徐々にできるようになってきたプロセスがあるだけ

 ある経験そのものを「成功」「失敗」といっている時点で、過去から未来へという連続的な思考がありません。ある時点の成功があとで大きな問題を起こしたり、ある時点の失敗があとで飛躍を生んだりする可能性だってあるのです。

つまり、経験というものを広い時間軸でとらえ、「すべてはプロセスに過ぎないものだ」と思うことが重要になります。Aさんは、ただ目の前に経験があるだけで、そこで一喜一憂を繰り返しているのです。

Aさんのように、経験や出来事をわたしたちは静止画でとらえる傾向があります。でも、過去や未来に視点を広げて、「動画イメージ」に変えていくことで気持ちを広く持つことができます。

わたしはよくこんな話をします。

赤ちゃんが立つまでの過程において、いきなり歩けるようにはなりません。何度も転んで泣いてを繰り返し、わたしたちはようやく歩けるようになるのです。もしも、「転ぶと痛いから歩こうとするのはやめた」という赤ちゃんがいたら、みんな歩けていないはずですよね。最初から歩ける赤ちゃんはいないし、転ぶプロセスにこそ歩けるという結果がある――。

みなさんの勉強や仕事もそれと同じことです。目の前の結果だけに焦点をあてるのではなく、過去や未来に視点を広げて経験をどう活かしていくべきかを考えること。その思考を持つことで、結果が変わっていくのです。

古川武士「失敗を恐れる人が変えるべき思考習慣」03

思考習慣3:「できないこと」から「できること思考」へ

わたしたちが焦点を合わせるべきは、経験を増やし、そのなかから学び、改善すること――。そうやって経験して成長していけば、自ずと結果は出るのです。怒られるかどうか、失敗するかどうかはまず問題視すべきではありません。とにもかくにも最善を尽くすべきで、結果をコントロールすることは不能なことなのです。

だからこそ、「自分ができることに焦点をあて、あとはフィードバックするだけだ」と切りわけることが大切になります。この思考を「コントロール思考」と呼びましょう。できないことを切り離して、できることに集中していくのです。

過去の記事『「“100%” よりも重要なのは……」行動できない新人営業マンを救った上司の深すぎるひとこと。』でもお話しましたが、わたしは新入社員のときに、1週間でプレゼン資料をつくるようにいわれました。しかし、まったく内容がわからない……。提出前日に力尽きて、まだなにもできずにいました。その事実を上司に報告したら、次のように叱責されたのです。

「君は完璧にできないと思ったら手をつけないのか? 新人だから完璧にできないのはわかる。でも、表紙のイメージくらいはつくれるはずだ。もっといえば、目次案くらい考えられるだろう」

わたしは完璧な状態を想像し、そこまでのプロセスがわからず行動がフリーズしていたのです。そこでパワーポイントを立ち上げて、表紙案と目次案をつくってみました。そして、先輩たちが作成した過去の資料を見ていくと、ある程度のパターンがあり、仮説で6割程作成できたのです。

これは、できることに集中して行動すれば次の展開が見えてくるという一例です。そもそも、すべてのものごとに完璧などありません。人は、プロセスで成長していくだけなのです。いきなり絵を描くことが上手な人はいないわけであって、誰もが経験を通じて徐々にうまく書けるようになっていく。わたしたちがコントロールできることは、経験を増やすこと。そこから次につながるエッセンスを抜き出し、活かすことだけです

わたしは仕事でカウンセリングをする際、ここまで紹介した思考習慣をお伝えして、「このようにして考えを整理することができれば、少し悩みは解決しませんか?」とアドバイスを送っています。そうすると、多くの人がすっきりした顔をして帰ってくれます。

・全体でとらえる習慣
・過去と未来の連続でとらえる習慣
・コントロールできることに集中する習慣

 ぜひ、みなさんが日々体験していることにあてはめてみてください。

【今回の習慣化ルール】
・思考習慣1:二極化思考から全体思考で究極の選択をやめる
・思考習慣2:静止画思考から動画思考へ思考の幅を持たせる
・思考習慣3:「できないこと」から「できること思考」で可能性に目を向ける

「続ける」習慣

「続ける」習慣

 

【プロフィール】
古川武士(ふるかわ・たけし)
1977年3月20日生まれ、大阪府出身。習慣化コンサルティング株式会社代表取締役。関西大学経済学部卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。ビジネスコーチングの経験から「習慣化」がビジネスパーソンにとって最も重要だと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。独自の習慣化理論・技術を基に、個人コンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援をおこなっている。『図解 マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『成果を増やす 働く時間は減らす 高密度仕事術』(かんき出版)、『こころが片づく書く習慣』(日本実業出版社)など、著書多数。

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