自分自身を本当に変えたいなら、7つの心の変化を利用した『U理論』を

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変わりたい、だけど変われない……。自分自身変わることって本当に難しいですよね。過去の自分を振り返り、反省してもなかなか変われないという方は、いっそ今までの経験を無視してみてはみてはいかがでしょう? U理論といって、経験によらずにイノベーションを起こす方法があるんです。いったいどんな理論なのでしょうか。

 

経験にとらわれずに変革をもたらす方法「U理論」

 

U理論とはオットー博士が考案した、「変革を起こすとき、心がどのように変化をするか」をまとめた理論です。これは、一流と呼ばれる人たちに行ったインタビューから生まれた考え方で、変革を起こすとき、心の変化は次の7ステップを通過するといいます。

1、ダウンローディング:バイアスなど過去・思い込みにとらわれてしまっている状態。 2、シーイング:ハッとして事実にだけ目を向けている状態。受動的。 3、センシング:客観的視点で事象をとらえ、何らかの感情を感じている状態。 4、プレゼンシング:閃きがうかぶ瞬間。 5、クリスタライジング:閃きが考えとしてまとまっていく状態。 6、プロトタイピング:考えをうまく実行できるように何度も反芻し、思考になじませるとき。 7、パフォーミング:実践を行う。

1のダウンローディングが普段の状態で、4が意識の最下層、7でまた平常に戻るというUの形をとるためにU理論と呼ばれます。この7ステップに従えば変わることができるそうです。

しかし、能動的にこのステップを踏むことはできません。なぜなら、ハッとした時のように特定のときでなければ思考を介さずに状況を受け止めるということはできないから。またせっかく2のシーイングの状態になれても、4のプレゼンシングになれなくては意味がありません。 この理論において大切なのはシーイングになりやすい状態を作り、プレゼンシングになること。そのためのテクニックが「保留する」ことと「手放す」ことなのです。

 

「保留する」とはどういうことか

 

「保留する」とは得られる情報を単なる情報としてとらえ、いったん思考の横に置いておくこと。このことはよく知られた言葉である「寝かせる」という行為に近いものです。アイデアなどを寝かしておくと、また次見たときにより良いアイデアがひらめいたり、悪いところが浮き彫りになったりします。そのため、作家の村上春樹氏は以下を心がけているそう。

「メールは、必ず一晩寝かせてから出す」

(引用元Ce信用交換所 コラム|寝かせるということ No.470

また、ジェームズ・W・ヤング著、「アイデアのつくり方」では問題を完全に放棄するということがアイデアを作り出すうえで必須な段階だとされています。私たちは寝かせているアイデアのことも潜在意識上で考えているそう。そのため、見聞きしたことを保留しておけば、突然ハッとそのことを思い出しシーイングの状態になることができます。 つまり、自分自身変わりたいのであれば、まずは現状をしっかりととらえつつ、シーイングの状態になれるまで現状に対する判断を保留することが大切なのではないでしょうか。

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「手放す」とはどういうことか

 

それでは、「手放す」とは一体どういうことでしょうか。手放すとは、今の自分自身を一度捨てる覚悟をするということです。アドラー心理学によれば、変われないのは「居心地のいい今の状態から変わらなくてもいい」と考えているから。そのため、「嫌われる勇気」の著者岸見一郎氏は変わらずにいようという心を捨てる必要があるといいます。

今とは違う自分になってしまうと何が起こるか予測できなくて怖いのです。(中略)もし変わりたいのであれば、変わらないでおこうという決心を解除する必要がある。

引用元(ダイヤモンド社 書籍オンライン|「自分は変わりたい」と言う人が、実は「変わらない」と決心をしているのはなぜか

ただ、「変わりたい変わりたい」と本気で思っていながらも今の自分を手放せないというのは、ある種仕方のないことなのかもしれません。なぜなら自己保存の法則といって、私たちは今の状況をいちばん心地よく感じ、変わることを拒んでしまう傾向にあるといいます。本気で変わるためには、今の心地よい状況がなくなることを怖がらない、本気で違う世界に踏み出す覚悟を持つ必要があるのかもしれませんね。

*** U理論はPDCAサイクルのPを立てるところを助けてくれます。また個人の変革だけでなく、会社や社会の変革を目指すときにも使うことのできる方法なのだそう。変わりたい、何かを変えたいと思っている方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

(参考) サイボウズ式|U理論はエンジニアの学び方を変えられるか?――中土井僚×西尾泰和、過去の枠組みにとらわれないイノベーションのプロセスを考える IT Leaders|第03回「アイデアはいったん寝かせてみる」 夢をかなえるゾウ実践記|自己保存の法則のせいで人は変われない Ce信用交換所 コラム|寝かせるということ No.470 ダイヤモンド社 書籍オンライン|「自分は変わりたい」と言う人が、実は「変わらない」と決心をしているのはなぜか ジェームズ・W・ヤング,今井茂雄訳(1998),『アイデアのつくり方』,阪急コミュニケーションズ.


早稲田大学先進理工学部生命科学科所属。松本深志高校出身。大学では理系分野を浅く広く勉強している。

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