自分自身で「この行動や考え方は良くない」と思っているにも関わらず、なかなか止められないこと、ありませんか? 考え込むときやいらいらしたときに爪を噛んだり貧乏揺すりをしたり、仕事のやり方に変な癖があって失敗を招いていたり、ついついネガティブな発言をして周りを不快にさせてしまったり。「良くない」と分かっていても、癖になってしまっているとなかなか抑えることや治すことは難しいもの。

仕事や友情、信頼までも失いかねない「悪癖」。これらを改善するのに必要なことは、強靭な意思力ではありませんでした。ではどのように解消できるのか、行動主義心理学の観点から解説します。

癖の正体とは

そもそも癖とはなんでしょうか?

癖(くせ)とは、人が無意識のうちに、あるいは特に強く意識することなく行う習慣的な行動のことである。

(引用元:Wikipedia)

悪い癖は、習慣になってしまっている好ましくない行動ということになります。しかも無意識ということは、脳が自動的に行っているということなので、治すのは厄介ですね。習慣が作られるメカニズムは、行動主義心理学では、このように考えられています。

習慣は特定の刺激と反応が規則的に結びついたものであり、習慣化するためには反復と強化が重要だと考える。

(引用元:日本語教師のページ 用語検索)

これは専門用語で、「習慣形成理論」と呼ばれるもの。ちょっと難しいですね。いらいらすると爪を噛んでしまう人を例に、説明しましょう。
特定の刺激とは、この場合はいらいらする出来事をさします。特定の反応とは、爪を噛むという行為です。つまり、いらいら→爪を噛むを繰り返して行くうちに、自分の意志とは関係なく悪癖として脳に定着してしまったということです。悪癖を治すには、自動化された特定の刺激と反応の結び付きを断ち切る必要があるのです。

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脳から治す6つのステップ

では、一度身についてしまった「刺激ー反応」の結び付きを無くす方法はあるのでしょうか? 「悪い癖は、脳が自動的に行ってしまうもの」というよく理解した上で、自動的に行われない方法をみてみましょう。その方法の一つとして、「罰」というものがあります。

爪を噛んでしまったら、自分の舌を10秒間痛くなるくらい自分で噛むなどが、「罰」にあたります。しっかりと「罰」を与え続ければ、爪を噛む→痛い思いをすると脳が自動的に学習し、痛みを避けるために悪い癖が自然と出なくなるということです。さらに、効果的な「罰」の与え方は、心理学者のアリンズとホルツらによって明らかになっています。それには、6つのポイントがあります。

1.罰の度合いは一定に保つこと
強すぎや弱すぎがない程度にしましょう。また、徐々に強くするなど、「罰」の度合いを変化させると、「罰」事態に慣れて効果が薄まります。

2.悪い癖が出たらすぐに「罰」を与えること。
時間をおくと、これも「罰」の効果が薄まります。悪癖と「罰」の結び付きを脳がうまく学習できなくなります。

3.必ず毎回「罰」を与えること。
罰を与えたり与えなかったりすると、悪癖と「罰」の結び付きをうまく脳が学習してくれません。一度決めたら必ず「罰」を与えましょう。

4.どんなシチュエーションでも、「罰」は与えること。
特定の条件で「罰」を与えなかった場合、その条件下では返って悪癖が酷くなります。例えば、母親が子供のいたずらを叱ったとしても、祖母の前だとそうでなければ、祖母の前ではいたずらが返って酷くなるといったものです。

5.「罰」と同時に報酬を与えてはいけない。
ハトを使った実験によると、ハトの特定の行動に対して電気ショックを与えたのち餌をやると、逆にその行動が増すという結果が得られています。自分に「罰」を与えた場合は、自分を慰めたりしないことです。

6.「罰」に慣れてきたら、癖の代わりになる行動を行い、それに対して報酬を与えること。
爪を噛む癖を例にすると、代わりに顎を撫でるなどの代わりの行動をとるようにしましょう。それが出来るようになったら、自分を褒めるなど、自分に報酬を与えましょう。

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今回は、悪癖が「脳が無意識に行う」ということを逆手にとり、脳を利用して「勝手に行われない方法」をご紹介しました。癖に関しては、意思の強弱はあまり関係ありません。特に何度も禁煙に失敗して「自分は意思が弱い」と思っているような方は、意思の強弱に関わらず行える方法ですので、試してみてくださいね。

(参考)
・実森正子/中島定彦 (共著)2000 『学習の心理学 行動のメカニズムを探る』サイエンス社
・Wikipedia|
・日本語教師のページ 用語検索|
習慣形成理論
・IRORIO|
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