いつも仕事でパニックに陥っている人と、いつも余裕に見える人の差は、いったい何でしょう?

それは、「時間の使い方」にありました。

時間に追われ、焦ってばかりいるというビジネスパーソンの方々に、いつも余裕に見える人の「時間の使い方」を紹介します。

時間の使い方1:分割統治法

大きな仕事が目の前にあると不安になりますよね。その原因は、“先が見えないこと”にあります。

インサイトラーニング代表で、年間300回以上のセミナーをこなすカリスマインストラクターの箱田忠昭氏は、著書『いつも忙しい人、なぜか余裕のある人——最後に笑う人の時間管理術』のなかで、こんな例を挙げています。

その昔、敵の大軍に襲われたジュリアス・シーザーがこう言ったという。
「シーザー様、大変です。何万という敵の大軍が攻めてきました」
「安心しろ、まずは大軍を分断してしまえ。どんな大軍も、小さな軍団に分断しバラバラにしてしまえば楽に征服できる」

(引用元:箱田忠昭著(2016),『いつも忙しい人、なぜか余裕のある人——最後に笑う人の時間管理術』,パンローリング株式会社.)

ジュリアス・シーザー(ガイウス・ユリウス・カエサル)は紀元前ローマの政治家・軍人。彼が部下に伝えたのは、大きな問題を分割して、小さな問題にしたうえですべて解決し、結果的に問題全体を解決するという「分割統治法( divide-and-conquer method)」です。現代では「チャンクダウン(塊を小さくする)」とも呼ばれています。

大きなものを小さくするということは、曖昧なものを具体化・明確化することでもあります。

たとえば「企画書をつくる」というと漠然としていますが、プロセスごとに「アイデア発想」「調査・分析」「企画構想立案」「企画書作成」と分割し、さらに企画構想立案では、「コンセプト・ターゲットの選定」「販促プロセス・ツール設計」などに細分化してしまえば明確になります。 読書感想文なら「本を選ぶ」「読む」「書く」に分けるかたちです。

大きな仕事も小さく分割すれば、その仕事にかかる労力や所要時間、必要なものなどが明確になり、「お、これなら比較的サッとできるかも」という印象になるはず。仕事に取り組む姿勢も変わるでしょう。

つまり、いつも余裕に見える人は、時間を大きなブロックで分けません。常に「細かい時間割」で動いていのです。

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時間の使い方2:好き・ラクな仕事は後回し

精神科医で、随筆家の斎藤茂太氏は、面倒で嫌な仕事を先延ばしにしていても、「早く片づけなきゃ」という焦りで気持ちが落ち着かないだけなので、やるべきことはサッサと済ませたほうがラクだと説いています。“得意なことや好きなこと”は後回しにして先に億劫な仕事を片づけ、「あとは好きなことができる」と考えたほうが、気持ちを奮い立たせるとのこと。

好きな仕事・ラクな仕事・円滑にできる仕事の頭文字をとって「好楽円の仕事」と呼ぶ箱田忠昭氏も、好き・ラクな仕事は後回しにするようアドバイスしています。

箱田氏いわく、15分未満で終わるようなスモールタスクのほとんどが、「好楽円の仕事」に当てはまるとのこと。そして、人は往々にして大変なビッグタスクを先延ばしにするクセがあり、好きでラクなスモールタスクを優先してしまいがちだといいます。

しかし、仕事がデキる人は、ビッグタスクこそ優先的にこなしていくのだそう。

その理由は、時間の確保が必要なのはビッグタスクであり、精神的にも物理的にもラクにできるスモールタスクは、あえて時間を確保しなくても片づけられるから。スモールタスクの優先は、時間のロスと、ビッグタスクに割く時間の圧迫につながるというわけです。

習慣化コンサルタントの古川武士氏は、嫌な仕事を先延ばしにするクセを直す方法のひとつに、前項で紹介したチャンクダウンを挙げています。どんなに億劫な仕事でも、細かく分割すれば「やろう」という意欲もわくでしょう。

つまり、いつも余裕に見える人が快適そうにも見えるのは、大変な仕事を細分化して優先的に片づけ、サッサと苦しみから解放されているから。また、時間のロスがなく、満足しているからです。

時間の使い方3:コマ切れ時間の活用

「午後2時からの会議は、2時半に変更されました」「○○さん、これだけやっちゃうので、あと10分待って」「資料が揃うまで、あと20分かかる」といった状況や、移動時間、待ち合わせの際の「待ち時間」など、思いがけず生じる「コマ切れ時間」を合わせると結構な分量になります。

ビジネスプランナーの坂戸健司氏は、予定と予定の合間にポカッと生まれる10~30分の「コマ切れ時間」をうまく活用している人は、ムダなく仕事をこなし、余裕を持って終業時刻を迎えられると解説しています。

とはいえ、「時間が空いたから、ビッグタスクの一部を進めちゃおう」というのはおすすめしません。ビッグタスクを分割していても、「コマ切れ時間」はとても短いので、やりかけで終わってしまう可能性があるからです。

そこで、「コマ切れ時間」にピッタリなのが、サッと終えられるスモールタスクというわけです。

思いがけず生まれる「コマ切れ時間」に何をするか迷い、時間をムダにしてしまわないためにも、「コマ切れ時間」用のリストを準備しておくことを、坂戸健司氏や箱田忠昭氏はすすめています。そうしておけば、たとえば会議が遅れた30分間や、人を待つ10分間に、2つも3つも小さなタスクを片づけられるでしょう。

つまり、いつも余裕に見える人は、「コマ切れ時間」にスモールタスクをどんどん片づけているのです。

時間の使い方4:締め切り効果でムダを排除

脳科学者の茂木健一郎氏は、囲碁や将棋の一局を秒単位で打ち終えてしまう“人工知能時間”を基準に考えると、ぐずぐずしている時間がもったいないといいます。そして、人間が成長するために必要なのは、嫌なこと、新分野に挑戦することなのだそう。

その際に、時間制限を設けたタイムプレッシャー」を活用することで、どんなことでもきびきびと集中して作業を進められると伝えています。タイムプレッシャーとは、いわゆる締め切りが迫ると作業に没頭しやすくなる「締め切り効果」のこと。実はこれが、さらなる効果を生みます。それは、「一時一事の法則」の実現「パラパラ・マネジメント」の排除

これらは、箱田忠昭氏が著書のなかで伝えている言葉で、前者は「ひとつの時に、ひとつの事を集中的に行う」シングルタスクを指し、後者は「あれもしなきゃ」「これもしなきゃ」とパラパラ思いついた仕事をしてしまう、集中しづらい仕事の進め方を指します。

時間の締め切りがあれば、必然的に集中するので、何かをしながら何かを片づけるといった効率の悪いことはせず、他にやることを思いついても、時間がないので寄り道することもありません

つまり、いつも余裕に見える人は、すべてのタスクに「締め切り時間」を設けて、時間管理しながらプレッシャーを与えて集中し、効率の悪いマルチタスクや寄り道するムダを排除しているから、仕事が速いのです。

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いつも余裕に見える人の「時間の使い方」を説明しました。こちらの記事『いつも “余裕に見える” 人が普段こっそりやっている4つのこと。』にも、いろいろな視点のお役立ち情報があるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

(参考)
箱田忠昭著(2016),『いつも忙しい人、なぜか余裕のある人——最後に笑う人の時間管理術』,パンローリング株式会社.
坂戸健司監修(2014),『[図解] 誰からも「仕事ができる」と言われる!すごい整理術 』,PHP研究所.
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Wikipedia|分割統治法