「社内に英語人材が欲しい……」多くの企業の経営層や人事担当者から聞かれる言葉です。
そこで本記事では、英語研修を効果的に導入し、最大限の成果を達成するための5つのステップを解説します。
【この記事はこんな方におすすめ】
- 社員の英語力を上げることでビジネスチャンスを広げたい。
- 社内でキャリアアップの支援を行ないたい。
- 英語研修の導入にあたっての業者選定の方法が知りたい。
- できるだけ通常業務に支障をきたすことなく、効果的な研修を導入したい。
この記事で紹介する5つのステップは、英語研修だけではなくその他の研修導入の際の指針にもなります。ぜひチェックしてみてくださいね。
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。
ステップ1:ニーズ分析と目標設定
研修プログラムを選定するときは、“ある落とし穴” にはまってしまわないように気をつける必要があります。英語研修を導入する際、多くの企業はすぐに具体的なプログラムを探し始めがちですが、じつはこれは初歩的な間違い。
英語研修を成功させるには、プログラム選定より先に、まず企業と従業員のニーズを深く理解することから始めるべきなのです。加えて、研修の目標を設定することも重要。詳しくご説明します。
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1. 社内ニーズの深堀り
研修の目的を明確にするために、まずは組織内で必要とされる具体的な英語スキルを特定しましょう。
自社ではどのようなビジネスシーンで英語が使われるのかを確認し、従業員がどの程度の英語力をもつ必要があるのかを検討します。
たとえば、国際会議でのプレゼンテーション能力、電話やメールでのコミュニケーション能力など、目的に応じたスキルの特定が重要です。
2. 関係者へのヒアリング
経営層の意見だけでなく、実際に研修を受けるであろう社員の声も聞きましょう。
彼らの現在のスキルレベルや学習ニーズ、業務上での英語使用頻度などを把握することで、より効果的なプログラムが選定できます。
3. 定量的・定性的目標の設定
目標は定量的にも定性的にも設定することが重要です。
定量的な目標としては、たとえば「TOEICスコアが800点以上」といった具体的な数値を設けます。一方で、定性的な目標としては「6か月以内に業務での英会話能力を向上させる」といったように、具体的なスキル向上を目標とします。
ここまで整理することができましたら次のステップに移っていきましょう。
ステップ2:実施計画の策定
英語に関する社内のニーズを確認し、目標を決めたら、研修の実施計画を策定します。手順は次のとおりです。
1. 予算と期間の確定
実施計画の策定において最初に行なうべきは、予算と研修期間の確定です。すでにニーズ分析を通じて概算の予算と期間を設定している場合、これらを再評価し、必要に応じて調整します。
予算は研修のスコープや品質に直接影響を与えるため、現実的かつ効果的な範囲内での最適化が重要です。
通常業務の繁忙期を避けるなど、時期の選定もこのタイミングで行なうとよいでしょう。
2. KPIの設定
予算と期間に基づき、どの程度の人数が研修に参加し、どのレベルの英語スキル向上を目指すかを決定します。ここでのKPI設定は、研修の成功を測定する基準となります。
定量的なKPIとしては、TOEICやVERSANTのスコア目標を設定することが一般的です。また、定性的なKPIとして、具体的なスキル向上目標(たとえば「業務での英会話能力の向上」)を設定します。
3. 社員の業務負荷の考慮
研修を受ける社員の業務負荷を考慮することも重要です。
研修が業務の妨げにならないよう、スケジュールを適切に管理し、研修時間と業務時間のバランスをとります。また、社員の研修参加意欲を保つために、過度な負担を避けることが肝要です。
4. 実施計画の具体化
予算、期間、KPIが設定されたら、具体的な実施計画を立てます。
これには研修のフォーマット(対面またはオンライン)、スケジュール、参加者の選定、必要なリソース(教材、講師など)の確保などが含まれます。
また、研修の進行に合わせて進捗を追跡し、問題が発生した場合の対応計画も準備します。
5. コミュニケーションプラン
研修の効果を最大化するためには、社員への適切なコミュニケーションが不可欠です。研修の目的、期待される成果、参加方法などを明確に伝えることで、参加者のモチベーションを高め、研修への積極的な参加を促します。
ステップ1と2を行なうことで、研修プログラムの選定や業者とのやりとりが円滑になります。このステップをおろそかにすると何社も比較することになり、英語研修導入担当者のリソースを多く使ってしまうことになりますので、注意が必要です。
ステップ3:研修プログラムの選定
ステップ1と2で得た詳細なニーズ分析と実施計画をもとに、最適な研修プログラムの選定に移ります。ここでは、予算、目標、参加者数といった具体的な条件に基づいて選定を行ないます。
1. 研修フォーマットの選択
研修プログラムはさまざまな形態があります。対面受講、オンライン受講、個別レッスン、グループレッスン、アプリやWEBベースの学習など、それぞれのフォーマットには長所と短所がありますので、よく比較しましょう。
たとえば、オンライン受講は場所を選ばず柔軟に学習ができますので、社員の時間を効率的に使うことができます。
2. 受講スタイルの比較
個別レッスンは、パーソナライズされた指導により、特定の社員の英語力を集中的に伸ばすのに適しています。一方で、グループレッスンは、複数の社員を同時にトレーニングできるため、限られた予算内で広範囲の社員のスキルアップを図ることが可能です。
研修の目的や予算に応じて、最適な受講スタイルを選択します。
3. 効果的なプログラムの選定
研修プログラムを選定する際には、定量的な成果が明確に示されているプログラムを選ぶことが重要です。
過去の成功事例、成果指標、顧客の評価などをよく確認し、実績のあるプログラムを選びましょう。
4. 柔軟な学習スタイルの採用
研修プログラムは柔軟に組み合わせることも可能です。
たとえば、オンラインと対面のハイブリッド形式や、個別レッスンとグループレッスンを併用することで、社員の多様な学習スタイルやニーズに対応することができます。
研修プログラムにはさまざまなものが存在し、それぞれに強みがあります。目標やニーズに合わせて絞り込みをしましょう。研修プログラム業者の担当者との商談では、ステップ1・ステップ2で整理した事項を明確に伝えることが大切です。
ステップ4:効果測定とフィードバック
研修が始まったら、次のことに着目しながら、効果測定とフィードバックを実施しましょう。
1. 研修プログラムに対する適応状況の確認
研修開始後の最初の1か月は、社員が研修の内容をスムーズに受け入れ、スキルや知識を習得し始めることができているかを確認する重要な期間です。
研修導入担当者は、研修プログラム業者と連携し、出席率や受講者の態度などの初期データを収集し、評価します。この段階で問題が見つかった場合は、早急に調整を行ないます。
2. 学習時間と業務のバランス
研修が始まって1か月経過すると、参加者のなかには早期に成果を見せる人もいれば、そうでない人もいます。
ここで重要なのは、参加者が適切な学習時間を確保しているかどうかを確認することです。通常の業務と研修のバランスが崩れていないかを監視し、必要に応じて調整を行ないます。
3. 定量的な英語力の測定
研修開始から2か月め以降、参加者の英語力の定量的な進歩を測定することが重要です。
これには定期的なスキルアセスメントやテストが含まれます。効果的な測定とフィードバックを行なうために、これらのプロセスが組み込まれている研修プログラムを選定することが重要です。
4. 定期的なフィードバックの提供
研修期間が6か月の場合、中間点である3か月めには社員にフィードバックを提供し、残りの期間の進め方について相談します。
このフィードバックは、社員のモチベーションを高め、必要に応じて学習方法を調整するために重要です。また、研修の成果を評価し、今後の学習戦略を計画するための貴重な情報源となります。
ステップ5:継続的な改善と進化
研修期間が終了したからといって、そこで学習を終わりにするのはもったいないものです。以下のポイントを押さえ、社員の継続的な学習をサポートしましょう。
1. 継続は力なり:学習の持続
研修が終了しても、英語学習は継続されるべきです。短期間の研修で得られた知識とスキルは、定期的な練習と実践を通じてのみ、長期的な能力へと変わります。
特に3か月以上のプログラムを受講した社員は、学習の習慣が身についており、これを継続することでさらなる進歩が期待できます。
2. 研修担当者による支援と促進
研修担当者は、プログラム終了後も社員が学習を続けられるようにサポートします。
これには、定期的な学習進捗の確認、追加教材の提供、モチベーション向上のためのアドバイスが含まれます。学習の持続を促すために、研修担当者からの積極的な声かけが重要です。
3. 研修プログラム業者との連携
研修プログラム業者とも連携を続け、社員が継続的に学習できるようなサポートを求めます。
たとえば、追加の学習資料の提供や、研修後のフォローアップセッションの実施、さらに進んだレベルのプログラムへの案内などです。研修プログラム業者からの継続学習の計画や提案は、社員の学習意欲を刺激し、長期的なスキル向上に貢献します。
4. 学習環境の改善と進化
研修終了後も、企業は継続的な学習環境を提供し続けるべきです。
一例として、学習資料の更新、英語を使った社内イベントの開催、外国語コミュニケーションを奨励する職場文化の醸成などが挙げられます。継続的な学習環境の提供は、社員が新たなスキルを実践的に活用し、習得するために不可欠です。
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本記事では英語研修を効果的に導入し、最大限の成果を達成するための5つのステップを解説しました。
各ステップの重要ポイントを振り返っていきましょう。
【ステップごとの重要ポイント】
- ニーズ分析と目標設定:
組織と従業員の具体的なニーズを把握し、現実的かつ明確な学習目標を設定することがスタートラインです。 - 実施計画の策定:
予算、期間、KPIに基づき効果的な実施計画を立て、学習と業務のバランスを考慮します。 - 研修プログラムの選定:
ニーズと目標に合わせて最適な研修フォーマットを選択し、効果的な学習方法を提供します。 - 効果測定とフィードバック:
研修の効果を定期的に評価し、適切なフィードバックを提供することで、学習プロセスを最適化します。 - 継続的な改善と進化:
研修終了後も学習を継続し、環境を改善することで、長期的なスキル向上を目指します。
英語研修を成功させるためには、研修プログラムの選定より前に行なう、ニーズ分析と目標設定/実施計画の策定が非常に重要です。このステップを適切に実施することで、社内コミュニケーションだけでなく、研修プログラムの選定にかかる時間もぐっと短縮することができます。
また、英語研修プログラムの成功は、単なる短期的な成果にとどまらず、社員のキャリアと組織の成長に長期的な影響を与えます。継続的な学習文化を社内で構築し、社員の英語力を積極的に向上させることで、グローバルなビジネス環境における競争力を高めていけるのです。