プレイヤーとしては優秀だった社員が、マネージャーになった途端に苦戦している...…。こういった光景は、企業での「あるある」のひとつと言えるかもしれませんね。
本来であればマネージャー育成を社内で十分に行なうべきところですが、「リソースも時間もない」とお悩みの研修担当者の方も多いのではないでしょうか?
本記事では、マネージャー研修を外部委託し、社員の「プレイヤーからマネージャーへの成長」を促進したいとお考えの研修担当者の方へ向けて、マネージャー・管理職研修のポイントを解説します。効果的な研修プログラムの選定方法についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
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STUDY HACKER 編集部
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なぜマネージャーになった途端に苦戦してしまうのか?
そもそも、プレイヤーとしては優秀だった人がマネージャーになった途端に苦戦してしまうのはなぜなのでしょうか。原因として、次の4つが挙げられます。
必要なスキルが変化するため
優秀なプレイヤーは、プレイヤーとしての実務能力には秀でていても、それはマネージャーとして必要なスキルとは異なるものです。
マネージャーには、戦略立案やチームメンバーの管理、コミュニケーションなどのスキルが求められます。これらはプレイヤーとしての経験だけではなかなか身につかないものです。
リーダーシップが未熟なため
チームのリーダーとしてメンバーをまとめ、モチベーションを高めることは簡単ではありません。一メンバーとして働くときに求められるのは、個人のパフォーマンスをいかに高めるか。一方、マネージャーになると、チーム全体の業績アップが求められます。
人間関係の管理やチームビルディングといったマネージャーならではのスキルも、プレイヤーの経験しかない人にとってはつまずきやすいポイントになります。
周囲の期待が重荷であるため
優秀なプレイヤーであった人がマネージャーに昇格した場合、プレイヤー時代の業績から、おのずと大きな期待が寄せられます。
しかし、プレイヤーとマネージャーでは役割も必要なスキルも異なるもの。特に、マネージャーに昇格したばかりという段階で周囲からすぐに結果を求められると、その過度な期待が重荷となり、ますます成果を出せなくなることもありえるでしょう。
決断を迫られるため
マネージャーになると、決断が必要な場面が増えます。プレイヤーであれば決断するのは自分の業務の範囲内のみですが、マネージャーになった途端、チームメンバーに関係する決断まで自分が下さなければなりません。
チーム戦略の変更、チーム内の問題への対応など、迅速で効果的な決断が求められるのです。これは新人マネージャーにとって大きなプレッシャーとなります。
以上、4つの原因を挙げましたが、実感できるものが多かったのではないでしょうか。プレイヤーとしての経験は豊富でも、マネージャーに昇格したばかりであれば、経験不足から初めは苦戦するのが普通です。
もしあなたがマネージャーを任命する立場なら、たとえ新人マネージャーが束ねるチームの業績が思わしくなかったとしても、この圧倒的な経験不足を考慮する必要があります。
それでは、マネージャーとしてのスキルや経験の不足を補うためにはどのようにすればいいのか、マネージャー研修の必要性の観点から見ていきましょう。
マネージャー研修を外部委託するメリット
マネージャー研修を外部の研修会社に委託することには、さまざまなメリットがあります。
というのも、マネージャー研修は内容が複雑なためです。代表的な項目としては、管理職の役割理解、部下の育成、コンプライアンス、リスクマネジメント、組織強化、戦略立案などがあり、受ける人が新任マネージャーなのか、ミドルマネージャーなのか、トップマネジメント層なのかによって、研修すべき内容は変わります。
そんなマネージャー研修を外部委託するメリットについて、ポイントを絞って解説していきます。
社内のリソース・時間を割かなくてすむ
マネージャー向けの研修には、新入社員研修とは違って多くの労力が求められます。
新入社員研修の内容が企業の理解やビジネスパーソンとしてのマナーに絞られるなか、マネージャー研修の中身は多岐に渡ります。そのため、必要なことを一から十まで研修することも、研修資料をつくるのも困難な企業が多いでしょう。
また、マネジメント経験がある人を講師としなければ、研修そのものが説得力に欠けてしまいます。とはいえ、「講師ができるマネジメント経験者」となると、社内にはなかなか適した人材がいないケースもあるでしょう。
その点、マネージャー研修を外部委託すれば、自社のマネージャー・管理職に習得させたい内容について、無理して社内のリソースを割くことなく効率よく研修を実施できます。
研修内容の属人化を避けることができる
社内でマネージャー研修を実施すると、内容が属人化してしまうことがあります。
たとえ成功事例だとしても、A部長のやり方、B課長のやり方……といった属人的な手法ばかり紹介してしまえば、汎用的なマネジメントスキルを身につけさせることができない可能性も。
外部の研修会社による汎用的なカリキュラムを活用すれば、研修を受けるマネージャーたちにマネジメントスキルをひと通り習得させることが可能です。社内の成功例は、そのあとで伝えるとよいでしょう。
マネージャー陣に共通の土台ができる
マネージャー研修を外部委託すると、整理された内容の、同一のカリキュラムにのっとった研修により、マネージャーたちに共通の土台をもたせることができます。マネージャーとしての心得や基礎的なスキルを、全マネージャーに浸透させられるのです。
この土台があれば、マネージャーたちはスキルをさらに伸ばしたり、社風に合わせたマネジメントスキルを実務の中で会得したりしやすくなります。
結果的に、研修担当者としてはマネージャー育成の効率を上げることができます。
マネージャー研修のプログラムを選定する際の注意点
それでは続いて、マネージャー研修のプログラムを選ぶときの注意点について見ていきましょう。
予算、研修の目標、参加者数といった具体的な条件に基づきつつ、以下の点をふまえて最適な研修プログラムを選定しましょう。
研修に必要な項目を精査する
リーダーシップ、育成、コミュニケーション、問題解決、組織マネジメントなど、マネージャー研修にはさまざまな項目があります。どれもマネージャーにとって重要なものはありますが、費用や時間の問題から、すべての研修を実施することはできないもの。自社のマネージャー・管理職にとって本当に必要な項目はどれなのか、精査しなければなりません。
たとえば、
- 部下を〇〇名統率・育成してほしいから「マネジメント・育成・コミュニケーション」の研修を受けさせる
- 上司である部長と部内の課題解決にあたってほしいから「問題解決」の研修を受けさせる
- トップマネージャーとして「リーダーシップと組織マネジメント」の研修を受けさせる
というように、自社のニーズを分析し、必要な研修を考えます。マネージャーたちに身につけさせたいスキルについてはスキルマップを作成し、整理するといいでしょう。
社風とマネージャー研修のマッチングを確認する
マネージャー研修を選ぶ際は、社風とその研修の方向性がマッチしているかも、重要な確認ポイントです。
トップダウンマネジメントが主流の会社なのに、ボトムアップマネジメントの研修をしてしまう、あるいはその反対など、マネージャー研修の方向性によってはチームや組織を崩壊させてしまうことになりかねません。研修会社・研修プログラムは慎重に選定しましょう。
新任マネージャー研修であれば、汎用的なスキルをひと通り教えてくれる研修会社がほとんどですが、あまり極端なマネジメントの思想は取り入れないほうが無難です。
企業の未来を見据えてプログラム選定をする
マネージャー研修を導入する際、「現在」という点のみを見てしまうケースがあります。
現在の経営層とのコミュニケーションも大切ですが、新しくマネージャー研修を受ける社員は、会社の未来を背負っていく人材でもあります。これから入社してくる社員や、現在の20~30代社員の価値観の変化も見ながら、未来のマネージャー像を模索していくことも大事でしょう。
先ほどお伝えしたように、現在の社風とのバランスをとりながら、新しいトレンドも少しずつ入れて風通しをよくしていくことも重要な視点です。
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この記事では、マネージャー・管理職向け企業研修の重要性と、効果的な研修プログラムの選定方法について解説しました。ポイントを以下にまとめましたので、研修の外部委託を考える際にぜひ参考にしてください。
【研修プログラム選定のポイント】
- マネージャーが苦戦する理由を正しく把握する:
組織とマネージャーが抱える具体的なニーズを把握し、現実的かつ明確な学習目標を設定することがスタートラインです。 - マネージャー研修の必要性を確認する:
研修によって、管理職の役割理解、部下の育成、コンプライアンス、リスクマネジメント、組織強化、戦略立案などを学ばせることができます。ただし、新任マネージャー、ミドルマネージャー、トップマネジメント層というフェーズによって内容が異なる点には注意が必要です。 - 研修を外部委託するメリットを知る:
社内リソースと時間を節約できる、マネジメントの属人化を避けられる、共通のマネジメントスキルの土台ができることなどがメリットです。 - 研修プログラム選定時の注意点:
プログラムは企業のニーズに合わせて選ぶべきです。自社に必要なマネジメントスキルの精査、社風とのマッチング、企業の未来を見据えたプログラム選定などが重要です。