英会話 “だけ” じゃ英語力は伸びない! 英語研修の効果を倍増させる秘策4選

オンライン英会話のレッスンを受ける女性

社員への英語研修で「英会話」を取り入れている企業は多いのではないでしょうか。しかし、「英会話メインの研修で、いまいち社員の英語力が上がっていない」という声も多く聞かれます。

今回は、英会話研修をより効果的に活用する方法を具体的に紹介します。企業の研修担当者だけではなく、いま英会話のレッスンを受講されている個人の方にも有用な記事となっていますので、ぜひご覧ください。

【この記事はこんな方におすすめ】

  • 英会話研修が効果的に運用できていない企業の研修担当者
  • 英会話のレッスンを受けているが、英語力の伸びを実感できていない方
  • より効果的な英語研修を探している企業の研修担当者

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

(参考)

佐々木啓成(2020),『リテリングを活用した英語指導—理解した内容を自分の言葉で発信する』, 大修館書店.
佐々木啓成,「より良いリテリング指導のためのQ&A」, 英語教育, 2023年2月号, pp. 20-21.

英会話研修が失敗する理由

「社員の英語力を上げるために、英会話研修を実施しよう」と考える方は多いのではないでしょうか。しかし、英会話研修は一歩間違えると効果を生まず、失敗に終わってしまう可能性も……。そこでまずは、英会話研修が失敗してしまう理由を順にご説明します。

1:英会話の効果を理解していない

英会話には、大きくふたつの効果があるといわれています。

  1. 自分ができないことへの気づき
    英会話は、「自身の言語能力に関する自己認識」を高めるのに役立ちます。実際にアウトプットすることで、「自分が何を言えるか・何を言えないか」が明確になるのです。
    自分がうまく言えない事柄や伝えられない内容があれば、すなわちそこが、対策すべき自分の弱点。英会話に取り組むとそうした弱点が見つかるので、英語力向上のための具体的な改善策を見いだすことができます。

  2. 知識の自動化
    英会話の練習は、「学習した知識をすばやく取り出し、使いこなす能力」を高めるのにも役立ちます。
    英会話の練習を繰り返すと、意識的に努力することなく知識を活用できる「自動化」という段階に到達します。これは特に、“場面に応じた反応” が求められる実際のコミュニケーションシーンで非常に役立つのです。「こんな場面では、こんな英語表現がふさわしい」といったことが、一生懸命考えなくても自然と思い浮かぶようになるということです。
    「英会話をやっていれば、そのうち話し慣れる」とよく言われますよね。そういった “場慣れ” も、知識の自動化の一部だと考えられるでしょう。

英会話には上記のような効果がありますので、英会話に取り組むこと自体に意味がないわけでは決してありません。ふたつの効果を理解したうえで、適切なやり方で英会話に取り組めば、英語力向上につながります。

ですが、ここで注意しなければならないことがあります。それは、英会話 “だけ” しても、英語力は伸びないということです。

英会話レッスンの様子

2:インプット学習が不十分

英会話が主にフォーカスしているのは、「アウトプット」——つまり話す練習です。

しかし、言語習得には「インプット(聞く・読む)」学習が不可欠。第二言語習得研究では、言語の習得には「インプット(聞く・読む)」が最低条件として研究者のあいだで広く合意されています。

つまり、英語を聞いたり読んだりする練習をせず、英会話(アウトプット) “だけ” をしていても英語力は伸びないのです。

3:所定のレッスン回数を受講していない

受講者が所定のレッスン回数を受講しない傾向にあることも、英会話研修が失敗する理由のひとつです。ENGLISH COMPANY for Bizがさまざまな企業さまへヒアリングしたところ、英会話メインの英語研修では、受講完了率が50%程度とのこと。

企業が大金を投じて英会話研修を実施しても、社員たちは半分の回数しか受講していないのです。これでは研修費用が倍かかっているのと変わらないですよね。

社員が所定のレッスン回数を受講しない理由は、「通常業務が忙しいから」などさまざまですが、注目すべき理由は「レッスンを受けても伸びを実感できないから」

では、英会話研修で社員に伸びを実感してもらうには、どうすればいいのでしょうか。

英会話レッスンで伸びを実感できていない女性

英会話研修の効果を倍増させる方法1:「インプット学習」を取り入れる

英会話の効果を倍増させるには、インプット学習が欠かせません。具体的には、単語・文法、読む、聞くのトレーニングを行なう必要があります。

単語や文法を知らないと、そもそも英語を組み立てることができません。単語や文法の力が不足している場合は、まずここを重点的に学習する必要があります。

インプット学習を行なっている様子

英会話研修の効果を倍増させる方法2:英会話では「試すこと」に集中する

英会話の効果のひとつが、「学習した知識をすばやく取り出し、使いこなす能力を高めること」でしたね。ですので、英会話練習では、インプット学習した単語、表現を積極的に使って話す練習を行ないましょう。

相手が話している内容がパッと理解できなかった、自分の話したいことがとっさに出てこなかった……といった場合には、単語や表現についてしっかりと復習しましょう。

オンライン英会話で積極的に会話している男性

英会話研修の効果を倍増させる方法3:「録音」して振り返る

前述のように、英会話は自分の知識や能力が不足している部分に “気づく” 場でもあります。ただ、英語で会話をすることに一生懸命になっている状態で、自分を客観的に見ることは難しいですよね。

そこで、可能であれば、スマートフォンで自分の英会話を録音しましょう。あとで冷静な状態で聞き直すことによって、話すことに集中していないぶん、自分のできていない点に気づきやすくなります。

弱点に気づいた際は、「本当はこう言いたかったけれど表現がパッとでてこなかった箇所」を中心に、自分で英文を作成してみましょう。

※英会話のレッスンを録音する際は、必ず講師に許可をとるようにしましょう。

スマートフォンのボイスレコーダーの画面

英会話研修の効果を倍増させる方法4:「リプロダクション練習」を取り入れる

リプロダクションとは、英文を再現する練習です。英文を再現する練習を通して、語彙や表現を身につけ、英会話練習をより効果的なものにすることができます。

『リテリングを活用した英語指導』の著者であり、京都府立鳥羽高等学校教諭の佐々木啓成氏は、リプロダクションを下記のように定義しています。

リプロダクション(reproduction)本文と同じ、あるいはほぼ同じ言語形式で再現されたもの

(引用元:佐々木啓成(2020), 『リテリングを活用した英語指導—理解した内容を自分の言葉で発信する』, 大修館書店.)

つまり、なんらかの英文テキストを、語彙や文法表現も含めてほぼ同じように再現するということ。英文テキストは、下記のような短めのテキストがおすすめです。(※以下テキストは編集部にて作成)

Tech stocks jumped today, with ABC Technologies leading with a six-point rise. 

Now at $34.20 per share, ABC's value hasn't been this high since CEO Elizabeth Moore left. 

The new CEO, Michael Chen, made the company smaller by selling the mobile and tablet parts. 

An important investor noted that after an unstable time, cutting down the company should help it stay strong against market changes and avoid future drops.

(訳)

ABCテクノロジーズを筆頭にハイテク株が6ポイント上昇しました。

現在の株価は1株あたり34.20ドルで、CEOのエリザベス・ムーアが退任して以来、ABCの価値がこれほど高かったことはありません。

新しいCEOのマイケル・チェンは、モバイルとタブレット部門を売却することで会社を小さくしました。

ある重要な投資家は、不安定な時期が続いたあと、会社を縮小することで市場の変化に対して強くなり、将来の落ち込みを避けることができるはずだと指摘しました。

上記のテキストを例に、リプロダクション練習の方法をステップごとにご紹介しましょう。

(※以下参考元:前出の『リテリングを活用した英語指導—理解した内容を自分の言葉で発信する』、佐々木啓成,「より良いリテリング指導のためのQ&A」, 英語教育, 2023年2月号, pp. 20-21.)

  1. 内容理解
    最初にテキストを読み、単語や文法表現に不明点がないか確認しましょう。内容を理解しないまま、次のステップの音読やリプロダクションを行なっても効果がありません。ここでしっかりと内容を理解することが大切です。

  2. 音読
    内容を理解したあとは、音読練習を数回行ないます。必ず英文の意味内容を考えながら音読することがポイントです。ただ文字だけを追って音読しないよう、注意しましょう。

  3. リプロダクション
    ここからが、いよいよリプロダクションの練習です。音読した英文の内容を一文一文できるだけ忠実に再現できるように練習しましょう。
    英文を一文読んでから発話し、もう一文読んでから発話し……と繰り返して、最終的にはすべての英文を再現できるように繰り返し練習します。一文読んだあと、スクリプトを見ないよう顔を正面に向けて発話してみるとやりやすいですよ。
    一文すべてをそらんずるのが難しい場合は、下記のスラッシュ入りスクリプトのように、意味のかたまりごとに行なってもOKです。

Tech stocks jumped today, / with ABC Technologies / leading with a six-point rise. 

Now at $34.20 per share, / ABC's value hasn't been this high / since CEO Elizabeth Moore left. 

The new CEO, / Michael Chen, / made the company smaller / by selling the mobile and tablet parts. 

An important investor noted / that after an unstable time, / cutting down the company should help it stay strong / against market changes and avoid future drops.

繰り返すうちに暗唱のようなかたちになりますが、気にせず、最初から最後までスラスラと発話できるまで練習していきましょう。英文のキーワードを英語で簡単に書いておき、それを手がかりに再現してみてもかまいません。

テキストを読み上げている男性

リプロダクションにおすすめの教材

最後に、リプロダクションを行なう際におすすめの教材をご紹介します。

  1. TOEIC(R) TEST 速読速聴・英単語 STANDARD 1800 ver.2 (速読速聴・英単語シリーズ) 
  2. TOEIC(R) TEST 速読速聴・英単語 GLOBAL 900 ver.2 (速読速聴・英単語シリーズ)

2冊ともTOEIC TESTに対応した教材ですが、ビジネスシーンのスクリプトも豊富に入っており、かつ、リプロダクション練習に適した長さのスクリプトがそろっています。

ご自身の興味がある、もしくは業務で使いやすそうなシチュエーションのスクリプトを選定して、リプロダクション練習を行ない、その表現を英会話のレッスンで積極的に試してみましょう。

おおよその目安として、1の教材はTOEIC500~800点の方、2の教材はTOEIC800点以上の方におすすめです。ぜひ書店で手に取ってみて、ご自身のレベルに合いそうなものを選んでみてくださいね。

***
本記事では英会話をより効果的に実施するための手法を解説しました。

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