あなたは、ビジネスパーソンとしての目標をもっているでしょうか? 「何かを成し遂げたい」「一流になりたい」と漠然と思いながらも、明確なビジョンまで描けている方は少ないかもしれませんね。
リクナビNEXTジャーナルが20代のビジネスパーソンを対象に行なった調査結果によると、「具体的なキャリアプランを立てていますか」という質問に対して、約6割もの人が「いいえ」と答えています。 目標を見つけるにはどうすればいいのか? そもそも、なぜ目標をもたねばならないのか? そんな疑問を、グロービスのEdtech推進部門にて「グロービス学び放題」の事業リーダーを務める鳥潟幸志(とりがた・こうじ)さんに伺いました。
ビジネスパーソンが勉強をすべき理由
したがって、自主的にスキル開発をしていない人は、変化していく外部環境に対応できなくなってしまうリスクが高いんです。
一昔前までは、1つの職業がなくなるまでにはおよそ3世代くらいかかるイメージだった。つまり祖父母の世代がやっていた職業が、私たち孫の代になって減っていくというイメージですよね。ですから特に大きな自己変革をしなくても、一生同じ仕事を続けることができたんです。
たとえ大企業にいても、リストラをされる、業態がガラッと変わってしまうなど、いつ何が起こるか本当にわからないですよ。
仮に今やっている仕事がなくなったとしたら、次は自分に何ができるのか? 今会社を辞めたとして、すぐに別の仕事に就けるのか? 自分の市場価値は今どれくらいなのか?そういうことを常に考えながら、積極的にスキル開発をしておくべきだと思います。
思考を紙に書き出せば、目標が見つかる
そもそも私たちの思考というものは、とりとめもなく浮かんではすぐに消えてしまう、非常につかみどころのないものです。ただ頭の中で考えているだけでは思考は一向にまとまりません。
自分がどんな考えを胸に秘めているのか、自分自身でもわかっていないことが多いんですよ。色々と書いているうちに、自分の中でピンとくるようなキーワードが見つかることも多いですよ。
どうしても書けない場合には、まず自分の過去の経験を書き出してみるのがオススメです。プラス・マイナスどちらの出来事でも構いません。今まで生きてきて嬉しかったことや、反対に悲しかったこと・悔しかったことなど、とにかく感情が大きく動いたときの経験を思い出して書いてみてください。
たとえば「みんなで○○を成し遂げたのが楽しかった」という経験が見つかったとします。するとそこから「自分は仲間とチームを組んで何かやるのが好きなんだ」という価値観が浮き彫りになりますよね。
同様に「あのとき○○ができなくて悔しかった」「裏切られて悲しかった」などのマイナスな経験も、掘り下げていけば「自分は何が嫌なのか」という価値観に突き当たります。ですから、ただ出来事を書き出して終わるのではあまり意味がありません。あくまでも、出来事の裏にある自分の価値観まで掘り下げることが重要なんです。
目標が決まると行動が変わる
先輩や同僚たちの意見を一通り聞き終えたあとで、私はパソコンに向かい「Word(文書作成ソフト)」の中に自分の気持ちをぜんぶ書いてみることにしたんです。「自分はなぜ起業をしようとしているのか?」「先輩はこう言ったけれど、自分は違うと思う」そんな具合に、自分の思いをひたすら吐き出していった。2~3時間はぶっ通しで書いていましたね。
そうやって書き終わったあと、改めて文章を読み返しました。すると、自分の気持ちはどう考えても起業する方向に向いているということがはっきりした。「本当は、自分は何がしたいのか?」ということに真摯に向き合った結果、答えが明らかになったんです。
たとえば仕事でチャンスが回ってきたとき、目標が明確であれば「やります!」と迷いなく手を挙げられる。でもやりたいことがあやふやな状態だと、つい躊躇してしまうかもしれませんよね。
また、目標の有無は、時間の使い方にも関わってきます。一流になるためには1万時間の努力が必要だと言われている。1万時間というと、1日8時間として約3年。仕事以外の時間から1日2~3時間を切り出すとしても約10年。つまり、目の前の仕事と並行しながらほかのスキルを習得することだって、やろうと思えばできるんです。でもそれは、明確な目的をもっていなければ、なかなか続かないことですよね。
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自分の思いを紙に書き出す機会はあまりないと思います。自分は何をしたいんだろう? と悩んでいる方は、一度徹底的に自分と向き合い、頭の中にくすぶっている思いをすべて吐き出す時間をもってみることでブレイクスルーを起こせるかもしれません。 時間やチャンスを浪費しないために、目標やキャリアプランについては早い段階から考えておきましょう。
【「グロービス学び放題」を詳しく知りたい方はこちらhttps://hodai.globis.co.jp/】
【鳥潟幸志さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「論理的思考力」と「経営の基礎知識」を身につければ、これからの時代を生き残れる。
(参考)
リクナビNEXTジャーナル|キャリアプランは立てている? 先輩社会人のキャリアに関する意識調査
【プロフィール】
鳥潟幸志(とりがた・こうじ)
埼玉大学教育学部卒業 グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了 学位:MBA サイバーエージェントでインターネットマーケティングのコンサルタントとして、金融・旅行・サービス業のネットマーケティングを支援。その後、デジタル・PR会社のビルコム株式会社を共同創業。取締役COOとして、新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事、オペレーション等、経営全般に10年間携わる。グロービスに参画後は小売・グローバルチームに所属し、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。 現在は、社内のEdtech推進部門にて『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める。グロービス経営大学院や企業研修において思考系、ベンチャー系等のプログラムの講師や、大手企業での新規事業立案を目的にしたコンサルティングセッションを講師としてファシリテーションを行う。
【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。