心に「ゆとり」をもたらす大事な3つのこと。急ぎすぎの人生にこそ遠回りが必要だ

欧州人の生活をヒントにする、平日にできるゆとり行動01

毎日を忙しく生きている社会人や学生の皆さん、生活に「余裕」持てていますか?

いつもエスカレーターを慌ただしく上り下りし、仕事が終わったらいつものルートで家に変えるだけ……。時間がなくて物を片づける暇がなく、作業空間がいつも散らかったまま……。部屋が殺風景でなんだか心が晴れない……。

そんな人は、ほんの少しだけ時間をとって、“ちょっと遠回り” に思えることをしてみてください。それがかえって、あなたにメリットをもたらしてくれるのです。欧州式の生活術をヒントに、その方法を具体的に紹介しましょう。

積極的に体を動かせば「脳が活性化する」可能性

通勤通学に電車やバスを利用している。階段とエスカレーターがあったら迷わずエスカレーターを選択する。このような生活を送っているせいで、体を動かす機会がほとんどないという人も多いはず。

しかし、日本ブレインヘルス協会理事長の古賀良彦医師によれば、運動不足は、疲れやすさや不眠、さらにはストレスの原因になるとのこと。利便性が心身の不調を誘発しているのだとしたら、生活を改める必要がありそうです。

ここで参考になるのがフランス人の生活。アメリカの作家ジェニファー・L・スコット氏は、2001年に交換留学生としてパリの家庭にホームステイしました。留学当時の様子を記した著書『フランス人は10着しか服を持たない』には、興味深い内容が書かれています。

ロサンゼルスで生まれ育ったスコット氏はそれまで、移動手段は近場でも自動車でした。また、建物を登るときは必ずエレベーターを使っていたのだそう。しかし、パリはロサンゼルスほど都市規模が大きくなく(徒歩で市街地全体をまわれる)、エレベーターが設置されていない建物もそれほど多くありません。そのため市民たちは、歩いたり階段を上ったりする機会が多いのだとか。そのようなパリで生活するうちに、スコット氏も、運動したり街を歩き回って楽しんだりする習慣が身についたそうです。

利便性に甘んじてばかりいると、知らず知らずのうちに運動不足になることは否めません。たしかに日本は便利な国ですが、だからこそ意識して体を動かすようにするべきです。

ちなみに、カリフォルニア大学アーバイン校と筑波大学の研究によると、たった10分ほど “軽いゆったりした運動” をしただけで(※固定自転車に座ってペダルをゆっくりこいでもらっただけ)、その後の記憶テストの結果が格段に良くなったという結果が出ています。体を動かすのはやっぱり脳にも良いようですね。

自宅までの道を少し遠回りして歩いたり、積極的に階段を使ったり、昼休みに散歩したりして、運動習慣を取り入れてみましょう。

欧州人の生活をヒントにする、平日にできるゆとり行動02

整理整頓すれば「ストレスが減る」可能性

物が散乱していていろんなところが汚れている部屋と、きれいに掃除されて整理整頓されている部屋。勉強や仕事をするとき、どちらが捗るかは容易に想像できますよね。それでも、なかなか時間がなくて、自分が作業する環境を整えられていない人は多いかもしれません。

片付けコンサルタントである “こんまり” こと藤麻理恵氏は、散らかっていたり汚かったりする環境は「認知力の低下」「集中力の低下」「ストレスホルモン増加によする不安感の増長」「物が見つからないことによる作業時間のロス」など、さまざまな悪影響をもたらすと指摘します。反対に、整理された環境は、人の心を軽くして強いリラックス効果を与えてくれるそうです。

ここで参考にしたいのがドイツの習慣です。ドイツ人の母親を持ち、『タニアのドイツ式整理術』を著した門倉多仁亜氏によれば、ドイツには「本当に必要なものだけを手元に置き、暮らしを整える」ことを心地良いとする風習があるのだそう。そして、門倉氏も、今は日本に住みながらも、その精神を受け継いでいます。

たとえば、門倉氏の1日は「お部屋を “ゼロ状態” に戻す」ことから始まるのだそう。これは、「使った物を “あるべき場所” に戻す」ことを指します。ちなみに門倉氏の家庭では、「メモやプリントはドアの裏に」「仕事用の書類はファイルにまとめて棚に」など、家にあるすべてての物の収容場所が決められているそうですよ。

みなさんもぜひ、「使ったものはもとの場所にしまう」習慣をつけてみてください。最初は少し手間かもしれませんが、長い目で見ると良いことだらけです。

欧州人の生活をヒントにする、平日にできるゆとり行動03

部屋に植物を置けば「幸福度がアップする」可能性

作業空間を整理整頓することの大切さを紹介しましたが、それだと物足りないと感じるあなた。ぜひ植物を取り入れてみてください。

相模女子大学の柴田征司教授らの研究によれば、人間が自然環境に身を置くと、「精神疲労の回復」や「ストレス軽減」の効果があるとのこと。ストレス解消法のひとつとして森林浴が行なわれるのも、そのためです。

そこで、空間に花や観葉植物を置いてみるのはいかがでしょうか。さすがに森林浴とまったく同じ効果は得られないかもしれませんが……2011年の海外大学の研究では、「観葉植物を家に置くと生産性や幸福度がアップする」とも報告されていますから、やらないのは損でしょう。

そして前出の門倉氏も、「自然を身近に感じる」ことを大切にしているのだとか。

ドイツ人はあまり都会暮らしを望まず、家のまわりの環境をとても重視するんです。私自身もそうありたいのですが、東京に住んでいると自然を感じることは難しいので、できるだけ植物などを生活の中で取り入れるようにしています

(引用元:100%LIFE|心豊かに暮らすドイツ式の住まい方

部屋に植物があると、それだけで心も癒されそうですよね。ぜひ自然の恩恵を感じ取ってください。

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普段の仕事や生活にどこか疲れていたりストレスを感じていたりする人は、ぜひこれらを参考にしてみてください。

(参考)
心も体も健康に|運動とメンタルヘルス
ジェニファー・L・スコット(2014),『フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~』, 大和書房.
GLOBE+|ほんの10分の軽い運動でも、脳は活性化する
NEWS JAPAN|「こんまり」流片づけ術、本当に整理整頓で頭がすっきりするのか
門倉多仁亜(2012),『タニアのドイツ式整理術・完全版 モノ・情報・時間の持ち方・しまい方・考え方』, 集英社.
100%LIFE|心豊かに暮らすドイツ式の住まい方
柴田征司(2013),「自然環境の心理学 -自然への選好と心理的つながり、自然による回復効果-」,『環境心理学研究』2013年第1巻第1号 38-45(PDF
ScienceDirect|Benefits of indoor plants on attention capacity in an office setting

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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