「ほめられたい、認められたい」と願う人がしている大きな間違い。あなたは当てはまる?

「ほめられたい、認められたい」と願う人がしている間違い01

仕事をする以上、その成果や仕事ぶりを通じて、周囲からほめられたり認められたり好かれたりしたいと思うのは当然のことです。そうして承認されることが、さらなるモチベーションにつながるという面もあると思います。

しかし、企業研修講師として活躍する堀田孝治(ほった・こうじ)さんは、承認欲求を満たしたいがために「しなくていい努力」をしている人も多いと語ります。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「ほめられたい、認められたい」と願う人がしている間違い02

自分の「すごさ」をアピールするのは完全な間違い

周囲にほめられたい、認められたい、好かれたいという人がやりがちな「しなくていい努力」があります。それは、特に最近で言う「意識高い系」の若い人に目立つのですが、「僕ってすごいでしょう?」というアピールです。

ほめられたい、認められたいといった思いからそうしたくなる気持ちもわかりますが、これは完全な間違い。なぜなら、周囲からほめられたり認められたり好かれたりする人は、なにかすごいスキルをもっている人などではなく、「周囲を幸せにしてくれる人」だからです。

このことは、私がある会社の人事部にいたときに学びました。当時の私は、人事部に初めて配属されたばかり。どんな人を採用すればいいのかという尺度ももっていませんでした。そこで、ある部署の、人を見る目に定評がある部長に相談すると、その人は「大人と子どもを見分けて、大人を採用すればいい」と言ったのです。

なぜ部長はそう言ったのでしょう? 子どもは、親をはじめ周囲から「幸せにしてもらおう」と思っていますよね。一方、本当の意味での大人というのは、自分や家族だけではなく、勤め先の会社の従業員、さらにはその仕事を通じて取引先や社会までも「幸せにしたい」と思っている人です。だからこそ、会社にとって有益な人材となりえて、ひいては周囲からほめられ認められ好かれるようになるわけです。

その言葉を聞いて私は下を向いてしまいました。当時の私は周囲を幸せにしたいと思うどころか、なにかにつけ会社や上司や先輩に対して「理不尽だ!」という思いを抱いていて、「認めてもらおう」「ほめてもらおう」「そのためにスキルを高めよう」と、それこそ周囲から「自分がもらうこと」ばかりを考え、「幸せにしてもらおう」と思っている人間だったからです。

「ほめられたい、認められたい」と願う人がしている間違い03

正論をぶつけるだけではビジネスで勝てない

先にお伝えしたように、周囲からほめられたり認められたり好かれたりする人は、「僕ってすごいでしょう?」とアピールするような人ではありません。自分の勝ちを誇るのではなく、むしろ相手を立てて勝たせることができる人です。それが、周囲を幸せにすることにつながります。

みなさんは服を買うときにどんなお店を選びますか? アパレルショップのスタッフは、服に関する知識をしっかり身につけているでしょう。でも、それを客に対してひけらかし、「お客さまのコーディネートは完全に間違っていますね」なんて言ったとしたらどうでしょうか。客は、「そんなお店には二度と行きたくない」と思うはずです。客に好かれるスタッフとは、正しい知識を持っていながらも、客を気持ちよくさせて客に勝たせてあげられるスタッフです。

もちろん、このことはアパレルショップに限らずどんなビジネスの場にも通じます。私がまだ会社勤めをしていて、ひとり、食堂で昼食をとっていたときのこと。近くの席では、営業部の先輩と後輩のふたりが食事をしながら午前中の商談の振り返りをしていました。先輩は商談での後輩の言動が気に入らなかったようで、「なんであんなことを言うかなあ……」と苦言を呈している。後輩は、「なにかおかしかったですか?」と聞きました。すると、先輩は「おかしくないから問題なんだ」と言うのです。

どうやら、後輩が言ったことはなにも間違っておらず、むしろ正論と言えるものだったようです。だからこそ、後輩の言葉を聞いた取引先の担当者は、「ごもっとも」と思って黙ってしまった。それでは商談の雰囲気が悪くなってしまうでしょう。その先輩は、さらに続けました。「商談に勝つと、商売に負けるぞ!」と。まさに、相手を立てて相手に勝たせ、最終的に自分が認められるための至言と言っていいでしょう。

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ビジネスにおいては「対人関係」こそが重要

もちろん、仕事のためにスキルを磨くのはすばらしいことです。それこそ、クリティカル・シンキングやロジカル・シンキングを身につければ、さまざまなビジネスの場で役立つでしょう。

でも、それだけをもって周囲からほめられたり認められたり好かれたりしようと考えるのは間違いだと私は思います。周囲から評価されないからといって、「自分のロジックがまだまだ甘いんだ」と認識し、「もっと勉強してスキルを磨こう」と考え始めると、ドツボにはまってしまいます。

仕事というのは、ひとりでできるものではありません。社内にも社外にも、必ず対人関係がある。そのことを思えば、相手を立てて勝たせること、そして周囲を幸せにしたいという思いや姿勢こそが大切なものだとわかってもらえるはずです。

「ほめられたい、認められたい」と願う人がしている間違い05

【堀田孝治さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「理不尽だ!」と感じたら要注意。あなたは仕事で“しなくていい努力”をしているのかも
勉強や読書を重視するのは危険!? キャリアアップのための「しなくていい努力」とは

【プロフィール】
堀田孝治(ほった・こうじ)
1966年12月14日生まれ、東京都出身。クリエイトJ株式会社代表取締役。1989年、中央大学法学部卒業後、味の素株式会社に入社。大手外食チェーンの営業担当、冷凍食品の開発マーケティング、「休職」、支店の人事・総務業務、本社人事部での採用・教育業務を担当後、広告部マネージャーを経て2007年1月に独立。現在は主に企業研修講師として活躍している。売り手と買い手、新人とマネージャー、前線と後方部隊といったさまざまな「相手の立場」に実際に立ったこと、そして成功と失敗、挫折と回復を経験したことによる豊富な失敗談を含むビジネスの事例と、当意即妙でユーモアのあるファシリテートに定評がある。著書に『生まれ変わっても、この「仕事」がしたい』(ファーストプレス)、『入社3年目の心得』(総合法令出版)、『自分を仕事のプロフェッショナルに磨きあげる7つの行動原則』(総合法令出版)などがある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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