「理不尽だ!」と感じたら要注意。あなたは仕事で “しなくていい努力” をしているのかも

仕事における「しなくていい努力」の見極め方01

せっかく努力をするのなら、その努力をかたちにしたいものです。ところが、「実を結ぶはずもない『しなくていい努力』をしている人はたくさんいる」と語るのは、自身も若い頃に「しなくていい努力」を続けた経験があり、現在は企業研修講師として活躍する堀田孝治(ほった・こうじ)さん。ビジネスパーソンの仕事の63%は「しなくていい努力」だというその理由と、判別の仕方を伺いました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

仕事における「しなくていい努力」の見極め方02

ビジネスパーソンの仕事の63%は「無駄」!

「しなくていい努力」と混同されがちなものに「報われない努力」があります。では、サッカーに例えて説明してみましょう。

サッカーでは、1試合のうちにひとりの選手がボールに触れる時間はわずか2分間とも言われます。でも、残りの88分ものあいだ、選手たちは自分の役割を果たすためにフィールドを走り回っている。結果として、試合に負けてしまえば懸命に走り回ったことは「報われない努力」と言えるでしょう。

この「報われない努力」について、私は否定しません。どんなに努力をしても報われないということは、仕事においてよくあることだからです。努力を続けなければ報われることはないのですから、それは仕方のないこと

一方の「しなくていい努力」とは、文字通りの無駄なものを指します。少し極端ですが、サッカーの試合中にひとりだけ野球のバットを振り回したり黙々と腕立て伏せをやったりしているようなことです。そんなことをいくら続けても、サッカーという競技においては結果につながるはずもありませんよね。

ところが、実際には多くの人が仕事という「競技」において、結果につながるはずもない「しなくていい努力」をしています。私が行なっている研修でのアンケート結果から見ると、一般的なビジネスパーソンの仕事の63%は無駄です。言わばそれは、「しなくていい努力」なのです。

仕事における「しなくていい努力」の見極め方03

仕事という「競技」について知らないままの人が多い

なぜ多くの人が、「しなくていい努力」をしてしまっているのでしょう? その要因は、日本の企業の構造にあると考えています。日本の多くの職場では、日々の「業務」の話はきちんとなされていますが、「仕事とはなにか? どんな競技なのか?」といった本質的な話はほとんど行なわれないまま、仕事が始まってしまうのです。

私が新人だった頃に最初の研修で言われたのは、「今日からするのは勉強じゃなくて仕事だぞ」ということだけ。勉強なら、子どものときから就職するまで続けたわけですから、どういうものなのかがある程度わかっています。勉強という競技について知っているということです。

でも、仕事に関してはわからない。つまり、自分がやる仕事という競技のことをなにも知らないままやみくもに努力をしても、その努力は「しなくていい」ものだということになります。

「『勉強』と『仕事』の違いを具体的に書いてください!」。もしこう問われて、かつての私のように2、3個しか書けなかったり、「仕事は責任が重い」とか「仕事は厳しいものだ」といった抽象的な感想のようなものしか出てこなかったりしたら、要注意です。

「しなくていい努力」は、現場のさまざまな場面で見られます。私の著書『しなくていい努力 日々の仕事の6割はムダだった!』(集英社)で挙げたのは全部で45個にもなりますが、ここではひとつだけ具体例を示しましょう。これは、私の実体験です。

当時、まだ若い営業マンだった私は、会社の指示通りにある商品をひとつ100円でお客に買っていただこうとしていました。すると、お客は「ひとつ80円にしてほしい」と値切ってきた。私は「会社にもち帰って検討します」と答えました。ところが、帰社して上司に相談しても「おまえはどうしたいんだ?」と言うだけではありませんか。先輩に相談すると、「俺なら先方に頭を下げて100円で売るな」と言う人もいれば「俺はお客を優先して80円で売るよ」と言う人もいる。私はすっかり困惑してしまいました。

仕事における「しなくていい努力」の見極め方04

仕事には勉強のように決まった「正解」はない

でも、いまならわかります。仕事には勉強のように決まった正解などないということです。このケースでやるべきことは、正解を上司や先輩に示してもらおうとすることなどではなく、まずは「自分で最適な答えを考える」こと。そして100円で売るべきだと思うならお客を説得する、80円で売るなら逆に上司を説得する、あるいは90円で売るなら両者を調整しながら「自分の答え」を「関係者全員の答え」にしていくことです(もちろん、この3パターンだけでなく、実際には答えはもっと考えられます)。

学校の先生に聞きに行くように、正解を上司や先輩に求めるのは、それこそ「しなくていい努力」です。それなのに、当時の私は「正解を教えてくれないなんて、会社や上司や先輩は理不尽だ!」と憤慨していました。

もちろん、「しなくていい努力」はなるべく避けたいもの。では、どうすれば、自分が「しなくていい努力」をしているか否かを判断できるのでしょうか? 難しいことなのですが、ひとつのキーワードとなるのが、若い私が会社や上司や先輩に対して抱いた気持ちである「理不尽」です。

いままで野球をやっていた人は、サッカーのことを知らないままだと、サッカーの試合でも当然のように手を使ってしまうでしょう。そこで注意されると、手を使っていいと信じて疑っていないので「理不尽だ!」と感じます。同じように、仕事という競技がよくわからぬまま、自分なりによかれと思って「しなくていい努力」をしている人は、その努力が周囲に認められないときに「理不尽だ!」と感じることが多いのです。

もちろん、なかにはブラック企業と呼ばれるような本当に理不尽な職場に勤めている人もいるかもしれません。でも、そうではないのに、周囲に対して「理不尽だ!」と感じることが多いようなら、「しなくていい努力」をしているという可能性を疑ってみましょう。

仕事における「しなくていい努力」の見極め方05

【堀田孝治さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「ほめられたい、認められたい」と願う人がしている大きな間違い。あなたは当てはまる?
勉強や読書を重視するのは危険!? キャリアアップのための「しなくていい努力」とは

【プロフィール】
堀田孝治(ほった・こうじ)
1966年12月14日生まれ、東京都出身。クリエイトJ株式会社代表取締役。1989年、中央大学法学部卒業後、味の素株式会社に入社。大手外食チェーンの営業担当、冷凍食品の開発マーケティング、「休職」、支店の人事・総務業務、本社人事部での採用・教育業務を担当後、広告部マネージャーを経て2007年1月に独立。現在は主に企業研修講師として活躍している。売り手と買い手、新人とマネージャー、前線と後方部隊といったさまざまな「相手の立場」に実際に立ったこと、そして成功と失敗、挫折と回復を経験したことによる豊富な失敗談を含むビジネスの事例と、当意即妙でユーモアのあるファシリテートに定評がある。著書に『生まれ変わっても、この「仕事」がしたい』(ファーストプレス)、『入社3年目の心得』(総合法令出版)、『自分を仕事のプロフェッショナルに磨きあげる7つの行動原則』(総合法令出版)などがある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

会社案内・運営事業

  • スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >> HPはこちら

  • english company

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >> HPはこちら

  • strail

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >> HPはこちら