参考書を使った勉強法3選。もう勉強で悩まない!

参考書を使う勉強法1

資格試験のために参考書や教科書、問題集を買ってみたものの、どのような勉強法が適切なのか迷っていませんか? ただ問題を解き、解説を読むだけでは、知識を定着させられませんよね。

そこで今回は、時間がなくても効率的に理解を深められたり、何度も復習することによって内容を暗記できたりする、おすすめの勉強法をご紹介します。参考書をどう活用すべきか困っている方は、ぜひ以下の勉強法を試してみてください。

参考書を使う勉強法のポイント

参考書を使った勉強法のポイントは、以下の5つです。

1冊を何度も読み直す

最重要の原則は、参考書を1冊に絞ってとことんやり込むこと。参考書をコロコロ買い替えて “浮気” するのはNGです。

『東大首席が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP研究所、2017年)を著した弁護士の山口真由氏によると、勉強の出来は才能ではなく、テキストを読み返す回数次第。難しいものや覚えにくいことも、とにかく何度も何度も繰り返し読むうち、自然と身につくそうです。

たしかに、“墾田永年私財法” のように複雑な言葉でも、授業で何回も聞いているうちに自然と覚えられましたよね。また、よく会う友だちの名前、テレビでよく見かけるタレントの名前なども、「覚えよう」と意識することなく、いつの間にか覚えているもの。

つまり、記憶の定着に重要なのは「反復」。そのため、1冊の参考書を何度も読み返す勉強法は、シンプルながら非常に効果的なのです。「現役東大生作家」として知られる西岡壱誠氏も、東大生のほとんどが、1冊の参考書をボロボロになるまでやり込んでいたと解説しています。

なお、山口氏が推奨する「7回読み勉強法」のやり方は、のちほど詳しく解説しましょう。

マクロ→ミクロの順で読み直す

参考書を読み返すときは、ざっと全体像をつかむように流し読み(マクロ)、それから細かく読み込んで(ミクロ)いきましょう。世界地図で例えるなら、六大陸の名前→国名→都市名→……というイメージです。

細かい知識をひととおりさらったら、次に読み返すときはマクロ視点に戻る。そのまた次に読むときは、さらにミクロな知識を読み込んでいく……。そんな具合に、マクロ/ミクロの視点を往復しながら読み返しましょう。

この「マクロ→ミクロ」という読み方は、「7回読み勉強法」にもつながっています。

記憶の “とっかかり” をつくる

固有名詞や英単語を覚える際に重要なのが、思い出すときの手がかりをつくっておくことです。最も使い勝手がいいのは「語呂合わせ」でしょう。「kennel(犬小屋)」という英単語の場合、「犬寝る(ケンネル)」という語呂合わせを考えつけば、かなり楽に思い出せるはず。

『参考書だけで合格する法 偏差値37から独学で早慶大・国公立大医学部に入る!』(経済界、2010年)など多数の著書をもつ林尚弘氏によると、暗記したい情報どうしのあいだに「論理的つながり」をつくるのがポイントだそう。早い段階で語呂合わせなどを考え、 “とっかかり” をつくっておけば、記憶が定着するまでの復習回数を最小限に留められるでしょう。

テスト形式で復習する

参考書で知識を得たら、テスト形式でこまめに復習しましょう。メンタリストDaiGo氏によれば、記憶は “インプットするとき” ではなく “思い出すとき” にこそ定着しやすいそう。テストのかたちで “思い出す” プロセスを経ることが必要なのです。

ワシントン大学が2007年に発表した実験でも、テスト形式での復習が記憶の定着に寄与するとわかっています。「テストをせずに復習する」「選択式のテストで復習する」「短答式のテストで復習する」という3つのグループを比較したところ、1ヶ月後のテストでは、「短答式のテストで復習」したグループの成績が最もよかったそうですよ。

テスト形式の復習には、自分でつくった小テストや、市販の問題集を用います。単語カードや赤シートを使うのもいいですね。記憶がスムーズに引き出せるようになるまで、何度もしつこくテストを行ないましょう。

◆テスト形式で復習する例

  • 自分で小テストをつくって解く
  • 問題集や過去問を解く
  • 単語カードを使う
  • 赤シートを使う

なお、最適な復習のペースを知りたい方は、「たった3回 “合計17分”! 記憶が1ヶ月も続く『最高の復習タイミング』があった。」をご参照ください。

持ち運び用の「勉強セット」をつくる

通勤・通学などの移動時間を有効活用するため、持ち運び用の「勉強セット」をつくりましょう。

単語カード・赤シート・蛍光ペンなど、復習に使う最小限のグッズを小さいケースにまとめれば、勉強道具を毎朝カバンに移す面倒がなくなります。また、いつも勉強セットを持ち運ぶ習慣をつければ、移動中にスマートフォンのゲームよりも勉強をしようと思えるでしょう。

思いきった方法ではありますが、資格コンサルタントの高島徹治氏は、参考書を分解して必要なページだけ持ち運ぶ方法を紹介しています。製本に使われているノリは熱で溶けるため、アイロンなどを使えば簡単ですよ。

◆参考書分解の手順

  1. アイロンで背表紙を温め、ノリを溶かす
  2. 表紙がはがれたら、カッターでページを1枚ずつ切り分ける
  3. ホチキスで適度にまとめる(1単元ごと、10ページごとなど)

参考書を丸ごと持ち運ぶのが面倒な方や、外出先で勉強する機会が多い方は、この勉強法を試してみてください。ただし、大切な参考書ですから、くれぐれも慎重に!

参考書を使う勉強法2

参考書を使った勉強法1:7回読み勉強法

ここからは、参考書を使ったオススメの勉強法をご紹介していきましょう。

まずは、前述した「7回読み勉強法」。文字通り、参考書や本を7回読み返すことでインプットする方法です。7という回数は、提唱者である山口氏の経験から導かれたもの。7回も読むと、たいていの本の内容はある程度身につくそうです。

「7回読み勉強法」のポイントは、「薄く何度も」読み返すこと。まずは全体を俯瞰するように読み流し、要旨をつかんでから、徐々に深く読み込んでいきます。具体的な手順は以下のとおりです。

1. 章のタイトル・見出しを拾い読み

最初に読むときは、参考書の全体的な構成をつかむことに集中しましょう。章や節の見出しを拾い読みし、見出しどうしの関係をイメージしつつ、参考書の全体像を脳内に描いていきます。本文にも目を通しますが、キーワードらしき単語や目につく漢字などをさらっておく程度でOKです。

2. 3行ずつななめ読み

2回めも流し読みですが、1回めよりは細かく読んでいきます。3行をひとまとめにするように、大ざっぱな読み方です。1回めでつかんだ全体像を意識しつつ、やはりキーワードや漢字を拾っていきましょう。

3. 同じ要領で再読

3回めも、「3行ひとまとめ」の読み方を繰り返します。あくまでも、キーワードを拾う大ざっぱなななめ読みを心がけ、じっくり読み込まないでください。3回も読めば、参考書の全体像をかなりつかめてきたはずです。

4. 普通のスピードでキーワードを拾い読み

4回めからは、いよいよ普通の速度で読んでいきます。とはいえ、しっかり理解しようとはせず、キーワードを拾うような感覚で結構です。

5. 段落・ページの要旨をつかむ

5回めからは、少しずつ内容を読み込んでいきます。それぞれの段落やページで、だいたい何が説明されているか、要旨をつかむように読み進めましょう。

6. 熟読

6回めは、かなり細かく読み込みます。論点や具体例、キーワードの意味などをしっかり確認しつつ、脳内に参考書の要約を写し取るようなイメージで熟読しましょう。

7. 確認・定着

7回めは、これまで頭に入れた内容を確認し、定着させる作業です。「ここには○○が書かれていたはず」と思い出しつつ、答え合わせするような感覚で読んでいきましょう。

以上が「7回読み勉強法」の具体的なプロセスです。参考書は情報量が豊富なので、なかなか全部を把握しきれないかもしれませんが、新しく勉強を始める際の導入として、買ったばかりの参考書に親しむ術として、「7回読み勉強法」を試してみてください。

参考書を使う勉強法3

参考書を使った勉強法2:小分け暗記法

参考書を使った勉強法として次に紹介するのは、前出の林氏が推奨している「小分け暗記法」。シンプルですが、大量に暗記しなければならない場合はとても便利です。

覚えるべき項目が1,000個ある場合、1,000個を一気に暗記しようとするのは効果的ではありません。新しい項目を覚えているうちに、前に覚えた項目を忘れていってしまうからです。

暗記する項目は10個程度に小分けし、その10個を完全に覚えたら次の10個へ、と少しずつ進んでいきましょう。50個、100個……という節目ごとに総復習をするのもポイントです。

◆「小分け暗記法」の手順

  1. 「10個1セット」で暗記する
  2. テストで10個すべて正解したら、次の10個に進む
  3. 50個覚えたら総復習テストをする。すべて答えられたら次の10個へ
  4. さらに50個覚えたら、その50個で総復習テストをする
  5. これまでに覚えた100個すべての総復習テストをする
  6. 次の10個に進み、1~5を繰り返す

参考書の情報量が多すぎてなかなか暗記できない場合には、この勉強法をぜひ試してみてください。

参考書を使う勉強法4

参考書を使った勉強法3:過去問勉強法

最後は、あえて参考書に頼る頻度を減らし、過去問をメインに使う「過去問勉強法」。『資格試験に超速で合格る勉強法』(すばる舎、2017年)を著した行政書士・尾本一明氏が推奨している方法です。

資格試験合格を目指して勉強しているなら、目標は当然、試験問題を解けるようになること。ならば、最初から過去問や問題集をベースに進め、わからないときだけ参考書を開くようにしましょう。例えるなら、サッカーのやり方を教わってから試合に臨むのではなく、プレーしながらだんだん技術を身につけていくようなものです。

「過去問勉強法」のメリットは、時間を節約できること。通常の勉強法では、参考書の内容を覚えてから問題集に取りかかりますが、「過去問勉強法」ではいきなり過去問に入るため、最短距離で実践力が身につきます。また、参考書を読むのは「わからないときだけ」とルールを決めるので、参考書を開く回数を抑えられます。

過去問を解く過程で気づいたことや、大事だと思ったことは、過去問に書き込んでいきましょう。すると、重要な知識や図表などが過去問内にまとめられるため、過去問が参考書代わりになるのです。

◆過去問勉強法のポイント

  • 過去問や問題集を解くことに専念する
  • わからないときだけ参考書を見る
  • 得た知識を過去問に書き込む

試験日まで時間がないときや、できるだけ速く実力を身につけたいときに有効な方法です。本来、参考書とは問題を解くための「参考」に使うものなのですから、ある意味では本質的な勉強法と言えるのかもしれません。

***
参考書を用いたおすすめの勉強法をご紹介しました。参考書の使い方に迷っている方、より効率的な勉強法を探している方は、ぜひ試してみてください。

(参考)
STUDY HACKER|最速で確実に結果がついてくる「7回読み」勉強法——東大首席卒・NY州弁護士 山口真由さんインタビュー【第1回】
東洋経済オンライン|「地方出身の東大生」の勉強法が本質的すぎた
林尚弘(2010),『参考書だけで合格する法 偏差値37から独学で早慶大・国公立大医学部に入る!』, 経済界.
Mentalist DaiGo Official Blog|科学が認める最強の練習・勉強法TOP5 〜1ヶ月で15万部突破記念
Butler, Andrew and Henry Roediger III (2007), "Testing improves long-term retention in a simulated classroom setting," European Journal of Cognitive Psychology, Vol. 19, No. 4-5. pp.514-527.
高島徹治(2012),『「朝晩1分」からのラクラク勉強 ココからはじめる!「記憶術」』, すばる舎.
尾本一明(2017),『資格試験に超速で合格る勉強法』, すばる舎.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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