「アイデアは才能で生まれる」は半分間違い。発想の確率を高めていく方法があった!

「アイデアは才能が生み出すもの」は半分間違い01

常に新しいアイデアを求められるけれども、いいものがいまいち思い浮かばない……。どうしてあの人は、自分と違ってあんなにぽんぽんアイデアが浮かぶのだろう……。そんなふうに悩んでいる人はいませんか?

アイデアは天から突然降ってくるもの、天賦の才能が生み出すもの—―こう思いたくなる気持ちもわかりますが、それではいつまでたってもアイデアマンにはなれません。なにか再現性のある方法があると助かりますよね。

そこで今回は名著を参考に、アイデアを生み出す「原理」と「方法論」を詳しく紹介します。

アイデアは “既存の要素の組み合わせ” に過ぎない

アイデア本の名著として名高い『アイデアのつくり方』。その著者であるジェームス・W・ヤング氏は、アイデア作成の基本的原理として2つ紹介しています。

1つめの原理は、「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」というもの。たとえば、いまや私たちに欠かせないツールとなったスマートフォンは「携帯電話」と「ノートパソコン」を組み合わせたもの、進化を遂げているスマートスピーカーも「スピーカー」と「人工知能」を組み合わせたものですよね。このように、一見新たな発明品のように思えて、既存の何かと何かが掛け合わさったもの、というパターンがほとんどなのです。

2つめの原理は、「既存の要素を新しいひとつの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい」というもの。たとえば、携帯電話とノートパソコンの関連性に気づけた人は、当時どれくらいいたでしょうか。しかし、スティーブ・ジョブズ氏をはじめとする一流クリエーターたちは、「メールを打つ」「Webサイトを見る」「充電して持ち運ぶ」のように両者につながりを見出し、スマートフォンを構想したのです。

つまり、アイデアとは既存の要素を組み合わせたものに過ぎず、要素どうしの関連性を見つけられるかどうかにアイデア創出の可否がかかっている、と言うことができます。

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アイデアは “この5つのステップ” でつくられる

既存の要素を新しいひとつの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい――「才能」という言葉が出てきましたね。「なんだ、やっぱり結局は才能なんじゃないか……」と感じた人もいるかもしれません。

しかしヤング氏は、アイデアをつくるための方法論として、次の5つのステップを紹介しています。これを読めば、必ずしも才能だけで決まるわけではなく、私たちの努力しだいでアイデア創出の確率は高められることがおわかりいただけるかと思います。

ステップ1:データ集め(意識的活動)

まずは、新しいアイデアの素材となりうるデータや情報を集めにいきます。ヤング氏によれば、収集すべきは次の2種類とのこと。ひとつめは一般常識的な知識を指す「一般資料」、もうひとつは特定分野に関する情報が載った「特殊資料」です。たとえば「スマートスピーカーの新しい機能を考えたい」という場合、人工知能や音声アシストに関するデータはもちろん、スマートスピーカーに興味を持っているユーザー群の志向などが特殊資料に含まれてきます。

ステップ2:データの咀嚼(意識的活動)

次は、ステップ1で集めた資料を咀嚼し、意識的にアイデアを練る段階です。「最近は音声読み上げも普及してきたから、音声で料理をサポートしてくれる機能がもっと充実したらよさそう」「そのときの気分を自動で感知しておすすめ音楽を流してくれる、なんて機能はどうだろう」などなど、一般資料と特殊資料をうまく参考にしながら考えます。ヤング氏は、アイデアをジグソーパズルに例えて、疲れるくらいパズルを組み合わせる努力をする必要性を説いています。

ステップ3:データの組み合わせ(無意識的活動)

限界まで考えてみたら、今度は「無意識的に組み合わさる」のを待ちます。つまり、天啓のひらめきを待つのです。ここでやるべきは、アイデアに関することを意識の外に放り出し、自分の想像力や感情を刺激するものに心を移すこと。音楽を聴いたり、映画を観に行ったり、探偵小説を読んだりするのが有効だそうです。 

ステップ4:アイデアの発見(無意識的活動)

アイデアは突然降ってきます。ひげをそっているときやお風呂に入っているとき、あるいは寝起きで寝ぼけているときなど。特に、休息やくつろぎのひと時を過ごしている最中が多いそうです。いつなんどきでもアイデアを書き留められるように、メモ用紙などを肌身離さず持っていると安心でしょう。

ステップ5:アイデアのチェック(意識的活動)

最後の段階として、そのアイデアを自分だけのものにせず外部に発信していきます。アイデアをある程度整えてから人に話そうとする人も多いかもしれませんが、未完成なアイデアでもどんどん人に話すのがベター。いいアイデアは相手にとってもいい刺激になるので、そこからよりよいアイデアが生まれる可能性もあります。同僚でも上司でも部下でも、気軽にアイデアを言える相手がいれば、それを使わない手はありません。

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いいアイデアを生み出す “確率” は高めていける!

ここまで、5つのステップを説明してきましたが、「意識的活動」と「無意識的活動」の2種類があることに気づいたことと思います。

ステップ3(データの組み合わせ)とステップ4(アイデアの発見)の無意識的活動に関しては、インスピレーションの問題なので、自分でコントロールするのは難しいかもしれません。しかし、残りの「データ集め」「データの咀嚼」「アイデアのチェック」は、私たちが意識的に取り組めるもの。そこでの精度を高めていければ、いいアイデアを生み出す確率も高めていけるはずです。

そこでまずは、最初のステップ「データ集め」の精度を高めていくところから始めましょう。ジャック・フォスター氏の著書『アイデアのヒント』を参考に、コツをいくつかご紹介します。

【1】型にはまった生活から抜け出そう

型にはまった生活をおくり、新しいものが自然に入ってくるのをただ待っているだけでは、新しいアイデアは生み出せない」とフォスター氏は指摘します。人間はえてして、変化を嫌い現状維持をしたがるもの。今の状態をキープするのは楽でもありますが、それは同時に、アイデアの種になるかもしれない新しい刺激をなかなか得られないということを意味します。

ぜひ、ほんの少し勇気を出して、行ったことがないところに行ったり、見たことがないものを見たりしてみてください。たとえば、一度も訪れたことがない場所を訪れてみれば、最近の流行を肌で感じることができるかもしれません。

【2】意識的に「見る」習慣をつくる

みなさんは「カラーバス効果」という言葉を聞いたことはありますか。これは、ある事柄を意識すると、それに関する情報が飛び込んでくるようになる現象のこと。身近な例を挙げれば、ドライブ中に飲み物が欲しくなったら自然とコンビニやスーパーの看板を探してしまう、昼休みにラーメンが食べたくなったらラーメンの4文字が視界に入ってきやすくなる、といった現象ですね。このカラーバス効果を意図的に使うことで、アイデア創出のための情報を集めやすくなります

○○に関するアイデアが欲しい……そんなときは、ぜひ1日を、その事柄を意識し続けながら生活してみてください。インターネットの情報を見ているとき、街を歩いているとき、電車に乗っているときなど、関連する情報が自然と目に飛び込んでくるようになるでしょう。

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「アイデアは才能が生み出すもの」という考え方は半分間違い。日々の行動しだいで、よいアイデアを生み出す確率は高めていけるのです

ご紹介した方法を、ぜひアイデア創出の足がかりにしてください。

(参考)
ジェームス・W・ヤング 著, 竹内均 解説, 今井茂雄 訳(1988),『アイデアのつくり方』, CCCメディアハウス.
ジャック・フォスター 著, 青島淑子 訳(2003),『アイデアのヒント』, CCCメディアハウス.
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【ライタープロフィール】
SHOICHI
大学院修了後、一般企業に就職。現在は会社を辞め、執筆活動をしている。読書、音楽、You Tubeが好き。

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