なぜか失敗する人には “これ” が足りない。「自分の本当の能力」を見誤っている可能性

なぜか失敗する人には「知的謙虚さ」が欠けている01

あなたは自分の能力をどう評価していますか? 「自分は人よりできるし優秀だ。それに、自信はないよりあるほうがいいではないか」と考えている人は、要注意かもしれません。自信に満ちた人は、自分の本当の能力を認識できず、失敗を犯す危険性があるのです。自信満々な人の何がダメで、どう改善すればいいのでしょうか。

自分を過大評価する危険性

自信満々だと失敗するおそれがあるとは、どういうことなのでしょう。じつは、能力が低い人ほど自分を過大評価する傾向があることがわかっているのです。この現象を、ダニング=クルーガー効果といいます。

これを明らかにしたのは、米コーネル大学の博士、デイヴィッド・ダニング氏とジャスティン・クルーガー氏。彼らは、65名の大学生を対象にユーモアに関する実験を行なったそうです。まず、被験者らに30個のジョークを読ませ、面白さの度合いを評価させました。この評価により、参加者の「本当のユーモアの理解度」が測られています。加えて彼らには、自分のユーモアの理解度が同年代のなかでどのくらいに位置していると思うか、つまり「自分のユーモアの理解度に対する自己評価」を答えさせました。

すると、本当の理解度が上位25%以内の人は「自分の理解度は上位30%程度だ」と、実際の理解度よりも低く自己評価していました。一方、本当の理解度が下位25%以内の人は「自分の理解度は上位40%程度だ」と、自分を過大評価していました。成績下位者は、自分の理解度が低いと自覚できずに、平均して「自分は他人よりユーモアがわかる」と思っていたのです。この現象は、論理的思考や文法知識の実験でも起こったそうです。

ダニング=クルーガー効果に陥っている人の思考は客観性に欠け、自分の能力も他人の能力も正しく判断できていませんビジネスパーソンがこの効果に陥ると、課題をひとりで解決できると思い込んで失敗したり、他人に仕事を任せずチームが機能しなくなったりするなどの失敗を犯す危険性が高まるのです。

なぜか失敗する人には「知的謙虚さ」が欠けている02

Googleでは「自信満々な人」は採用されない

では、ダニング=クルーガー効果から抜け出すにはどうしたらよいのでしょうか。そこで必要なのが、「謙虚さ」です。じつは、Google社の採用で重視されているポイントのひとつが、この謙虚さ。Google社では、自信満々な人は採用されないのです。

Google社の人事担当上級副社長を務めていたラズロ・ボック氏は、著書『WORK RULES!』のなかで、使いやすい人材とは謙虚な人だとしているそうです。具体的には、自分の能力を過信せずミスから学ぼうとする人、自分の意見をもったうえで人の意見を柔軟に取り入れられる人、自分のことは自分で解決し他人のせいにしない人などだとか。

Googleアシスタントのシニアディレクターで、採用も行なうリリアン・リンコン氏も、自慢ばかりする人、自信満々な人はあまり好まないと言います。そういった人たちは、よく話を聞くとじつは経験がないことが多いのだそう。自分の経験について謙虚で、経験から学んだことをきちんと語れる人のほうが好ましい、とリンコン氏は述べます。

Google社の例からわかるように、「自分はできる」と自信満々な人よりも、「自分にはできない・知らないことがある」という謙虚な姿勢をもつ人のほうが、ビジネスの現場では重宝されるのです。

なぜか失敗する人には「知的謙虚さ」が欠けている03

「知的謙虚さ」とは

上で紹介した謙虚さとは、むやみに卑屈な姿勢を指すのではありません。求められるのは、素直でオープンな謙虚さです。

intellectual humility(知的謙虚さ)という、心理学の言葉があります。これは、自分の知識や能力の不足をオープンに受け入れる謙虚さのこと。米ペパーダイン大学の心理学者であるエリザベス・クラムレイ・マンカソ氏のチームは、約1,200人を対象に知的謙虚さと学習の関係について調査しました。調査では、一連の質問に対する参加者の回答を、チーム独自の知的謙虚さの基準で評価したそうです。

その結果、知的謙虚さは、知識やスキルの獲得に強い影響を及ぼしていることがわかりました。つまり、「自分の知識は限られている。自分には知らないことがたくさんある」と自覚することが、新たな知識の獲得につながるのです。

知的謙虚さは、「無知の知」とも言い換えられます。これは古代ギリシャの哲学者ソクラテスが言ったとされる言葉で、自分の無知を自覚することが真の知恵であり、物事を考える第一歩だという意味です。「自分には知らないことがある」という自覚の重要さは、古くから説かれてきたのですね。

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知的謙虚さを得るには

知的謙虚さの重要性はおわかりいただけたことと思います。しかし、ダニング=クルーガー効果に陥って客観性を失っている人が、知的謙虚さを獲得するのは容易なことではありません。そんな人が知的謙虚さを得るにはどうすればよいのでしょうか。ビジネスコンサルタントの細谷功氏は、「メタ思考」と「自責」という2つのポイントを挙げています。

「メタ思考」とは、物事をひとつ上の視点から考えることです。これは、物事を客観的に見るために有効な方法。たとえば、ひとりで企画書を仕上げ、自分のなかでは完璧だと思ったとします。でもそれは本当に完璧でしょうか? ここでメタ思考を働かせます。自分のなかでは完璧でも、同僚や上司、取引先など他人からはどう見えるだろうか。自分のなかではよくやったつもりでも、ほかにもっとすごい企画書をつくっている人はいないだろうか……。このように、より客観的に、視野を広げて自分を見つめ直してみるのです。

「自責」は、原因は自分にあると考えること。謙虚さに欠け、失敗を他人のせいにする人は、自分は優秀だから失敗の原因になるはずがないと思い込んでいます。しかし、誰でもミスはするもの。自分の企画が採用されなかったのなら、「上司が別の企画にひいきをしたから」などと他責にするのではなく「自分の企画のよくなかったところはどこだろう」と素直に自問することが、知的謙虚さへの第一歩になるのです。

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あなたも無意識のうちに、自信過剰になっているかもしれません。謙虚になるために、一歩立ち止まって自分を客観的に見つめ直してみましょう。完璧な人はいません。あなたにも、できないこと、知らないことがたくさんあるのです。

(参考)
Wikipedia|ダニング=クルーガー効果
講談社|ブルーバックス|なぜ能力の低い人ほど自分を「過大評価」するのか
Wikipedia|Laszlo Bock
マイナビ転職中途採用サポネット|Googleの人事が採用する、最も使いやすい人材
Business Insider Japan|「ロックスター」は採用しない ── グーグルのディレクターが求める人材とは
Wikipedia|Intellectual humility
ScienceAlert|People Who Brag About Their Intellect Don't Know as Much as They Think, Study Finds
東洋大学|「無知の知」とは?大学教授がソクラテス哲学をわかりやすく解説【四聖を紐解く④】
ダイヤモンド・オンライン|「無知の知」を知っていますか?

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
早稲田大学文化構想学部在籍。福岡県筑紫女学園高校出身。高校時代から文芸部に所属し、小説を書いている。現在大学では、文芸・ジャーナリズム論系に進むためテクスト論を中心に日々勉強中。

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